実況!4割打者の新井さん
この男も1軍に。
突然現れた試合に出るチャンス。
それが訪れた瞬間、俺は我を失った。
喉がやたら渇き、冷や汗が出てくる。ベンチに置いてある自分のグローブがどれかすらも分からない。
やばいやばいやばい。落ち着け俺。落ち着け俺。と、自分に言い聞かせていると、グラウンドに出ていたトレーナーが両手で大きくオーケーサインを出した。
浜出君共々、桃ちゃんの痛めた箇所は大したことないようだ。
しかし。それよりも痛いのは、ノーアウト3塁。ただでさえ重たい2点ビハインドだというのに。
「衝突した浜出と桃白は大丈夫のようですが、ノーアウト3塁のピンチを迎えます。連城は続投するようですね」
「昨日、一昨日で中継ぎをだいぶ使ってますからねー」
「バッターは、4番ファースト中野」
相手は中軸。うちの連城軍にはコントロールを乱したようだ。
「ボール!」
「あっと、5番関には、ストレートのフォアボール。連城、これで4番5番に連続フォアボール!これでノーアウト満塁になってしまいました!」
甘く入ってはいけない。そんな気持ちがマウンドに立つ連城君を縛り付けたのか、ここに来てまさかの連続フォアボール。
またピッチングコーチがマウンドに行き、さすがに監督も出てきた。ピッチャー交代だ。
しかし、こんな大ピンチに誰を使うのだろうか。こんなタフな場面。
「北関東ビクトリーズ。ピッチャーの交代をお知らせいたします。ピッチャー、連城に代わりまして………李。ピッチャー、リ・ロンパオ。背番号37!」
は? ロンパオ? どっかで聞いた気が………。
「コンチハ、アライサン。イッテキマス」
あ! 入団テストにいた敵チームのサウスポー。お前も入団していたのか!!
「さあ、この場面に出てきたのは2日前に契約したばかりの台湾人サウスポーのリ・ロンパオですねえ。手元の資料ですと………6年前の台湾ドラフトの1巡目指名された現在24歳の選手ですが、肩の故障に悩まされまして昨年台湾の所属チームを戦力外。そして去年秋の北関東ビクトリーズのトライアウトで内定をもらいながらも、メディカルチェックを通ったのが今から1週間前と、ようやく今日1軍に合流出来たこのリ・ロンパオですねえ」
「いやー、なかなかいい球投げてますよ。スピードもありそうです」
ロンパオはマウンドに上がると、丸めた左手に息を吹き込む。ロージンの粉が飛び散る中、セットポジションから投球練習を開始する。
ロンパオの左腕から放たれたボールがキャッチャーの鶴石さんのミットに飛び込んでいく。
ズバボン! と、ミットを突き破りそうなくらいの威力があるのが、ベンチから見ていてもよく分かる。
球速も147キロ辺りをバンバンと計測する。1球だけ投げたカーブも低めにコントロールされている。
打順は左が3人続くところ。
投球練習を見る限り、このピッチングが出来るなら、抑えられるかもしれない。
それが訪れた瞬間、俺は我を失った。
喉がやたら渇き、冷や汗が出てくる。ベンチに置いてある自分のグローブがどれかすらも分からない。
やばいやばいやばい。落ち着け俺。落ち着け俺。と、自分に言い聞かせていると、グラウンドに出ていたトレーナーが両手で大きくオーケーサインを出した。
浜出君共々、桃ちゃんの痛めた箇所は大したことないようだ。
しかし。それよりも痛いのは、ノーアウト3塁。ただでさえ重たい2点ビハインドだというのに。
「衝突した浜出と桃白は大丈夫のようですが、ノーアウト3塁のピンチを迎えます。連城は続投するようですね」
「昨日、一昨日で中継ぎをだいぶ使ってますからねー」
「バッターは、4番ファースト中野」
相手は中軸。うちの連城軍にはコントロールを乱したようだ。
「ボール!」
「あっと、5番関には、ストレートのフォアボール。連城、これで4番5番に連続フォアボール!これでノーアウト満塁になってしまいました!」
甘く入ってはいけない。そんな気持ちがマウンドに立つ連城君を縛り付けたのか、ここに来てまさかの連続フォアボール。
またピッチングコーチがマウンドに行き、さすがに監督も出てきた。ピッチャー交代だ。
しかし、こんな大ピンチに誰を使うのだろうか。こんなタフな場面。
「北関東ビクトリーズ。ピッチャーの交代をお知らせいたします。ピッチャー、連城に代わりまして………李。ピッチャー、リ・ロンパオ。背番号37!」
は? ロンパオ? どっかで聞いた気が………。
「コンチハ、アライサン。イッテキマス」
あ! 入団テストにいた敵チームのサウスポー。お前も入団していたのか!!
「さあ、この場面に出てきたのは2日前に契約したばかりの台湾人サウスポーのリ・ロンパオですねえ。手元の資料ですと………6年前の台湾ドラフトの1巡目指名された現在24歳の選手ですが、肩の故障に悩まされまして昨年台湾の所属チームを戦力外。そして去年秋の北関東ビクトリーズのトライアウトで内定をもらいながらも、メディカルチェックを通ったのが今から1週間前と、ようやく今日1軍に合流出来たこのリ・ロンパオですねえ」
「いやー、なかなかいい球投げてますよ。スピードもありそうです」
ロンパオはマウンドに上がると、丸めた左手に息を吹き込む。ロージンの粉が飛び散る中、セットポジションから投球練習を開始する。
ロンパオの左腕から放たれたボールがキャッチャーの鶴石さんのミットに飛び込んでいく。
ズバボン! と、ミットを突き破りそうなくらいの威力があるのが、ベンチから見ていてもよく分かる。
球速も147キロ辺りをバンバンと計測する。1球だけ投げたカーブも低めにコントロールされている。
打順は左が3人続くところ。
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