実況!4割打者の新井さん
行ってらっしゃいおふたりさん。
「ところであなた、お名前はなんていうんだっけ?」
俺は豊満に膨らむ胸元にそう訊ねた。
「私は、山名(やまな)さやかです」
「あ、山名さんね。そうそう山名さんだったね。大学生?」
「はい、そうです。4年生です」
毎日ランニング途中で寄る度にネームプレートを確認してるつもりなんだけどな。どうしてもそのネームプレートの下。エプロンに包まれた豊満な胸元が気になってしまって。
ツンとした顔付きの堅物そうなポニテちゃんが巨乳なんて。
今もTシャツをはち切らんばかりに………。
「新井さん? どうしました? ぼーっとして」
あまりにも上の空だったようで、山名さんが不思議そうな顔で俺を覗き込むようにしていた。
俺は慌てて取り繕う。
「いや、ごめん。なんでもないです。………それで? ここは2軍の練習場なんだけど。ビクトリーズスタジアムは反対方向だね。駅の方から見ると」
「え? あ、そうだったんですね。初めてきたので間違えてしまいました」
彼女のそんな様子を見て、あまり野球には詳しくないのかなと思った。
駅前で働いていれば、ビクトリーズスタジアム行きのバスは見るはずだから。ビジターのファン向けに至るところに案内板が出ているし。
あまり野球には興味ないのだろうか。
「実はあの、いつも新井さんがお世話になっているからと、球団の方から、試合の招待チケットを頂きまして。まだ生で野球を見たことなかったので、せっかくだからと店長に譲ってもらったんです」
ああ、あのぺったんこな明るい店長さんね。
「へー、やったじゃん。でも、試合やるのはここじゃなくて、隣町の駅近くなんだけど」
「そうなんですね。すみません。あまりよく分からなくて」
「こっから行くとね、電車よりもバスで行った方が……」
「こら。練習サボって女の子のお喋り? チョー、ウケるんだけど」
あ、ギャル美が来た。
邪魔すんな。せっかくポニテちゃんといい感じだったのに。
「あれー、よく見たらシェルバーの店員じゃん! なにやってんの?」
「あ、こんにちは」
ギャル美がいつものように太ももをさらけ出した格好で現れると、山名さんは高身長の体をペコリと下げる。
「ちょっとあんた! 可愛いからってこの子をナンパしてんじゃないわよ。チョー、ウケる」
いかにもな絡み方でギャル美は俺につっかかってきた。
「ナンパじゃねえよ。この子、ビクトリーズスタジアムに行こうとしたら、間違ってここに来ちゃったんだって」
「なにそれ、ドジっ娘じゃん。チョー、ウケる」
俺がそう伝えると、山名さんは恥ずかしそうにうつむいた。
山名さんの手に握られた招待チケット。お尻を俺の方に突き出すようにしながら、それをギャル美が覗き込む。
「あれ? そのチケットよく見せてみ?」
「は、はい」
ギャル美が山名さんからチケットを受け取り、自分のカバンから出したチケットと見比べる。
そして、口と目を見開いた。
「あら! やっぱり!! このチケット私と隣の席じゃん! チョー、偶然! チョー、ウケるんだけど!」
「本当ですか!? すごいですね!」
「それじゃあ、今から一緒にスタジアムに行くわよ! すぐそこの駐車場に私の車があるから、乗せてってあげるわよ」
「あ、ありがとうございます。助かります」
ぽけーっ2人の様子を見ていた俺は当たり前のように放っておかれ、ギャル美と山名さんは、きゃっきゃっしながら仲良さそうに並んで歩き、俺から離れていく。
「おーい、新井くーん! 休憩時間終わりやでー! トレーニングルーム移動するでー!」
少し遠くの方で、なんだかいい車そうな深いエンジン音が聞こえなくなって行き、代わりに新しいトレーニング方法が書かれていそうな用紙を持って、関西弁トレーニングコーチがクラブハウスから現れた。
そういえば、山名さんはいいとして、ギャル美はなんでわざわざこんなところに来たんだ?
俺に会いにきたのかな?
それにしても、まだ今シーズン1勝もしていないチームの招待チケットをもらってもねえ。
俺は豊満に膨らむ胸元にそう訊ねた。
「私は、山名(やまな)さやかです」
「あ、山名さんね。そうそう山名さんだったね。大学生?」
「はい、そうです。4年生です」
毎日ランニング途中で寄る度にネームプレートを確認してるつもりなんだけどな。どうしてもそのネームプレートの下。エプロンに包まれた豊満な胸元が気になってしまって。
ツンとした顔付きの堅物そうなポニテちゃんが巨乳なんて。
今もTシャツをはち切らんばかりに………。
「新井さん? どうしました? ぼーっとして」
あまりにも上の空だったようで、山名さんが不思議そうな顔で俺を覗き込むようにしていた。
俺は慌てて取り繕う。
「いや、ごめん。なんでもないです。………それで? ここは2軍の練習場なんだけど。ビクトリーズスタジアムは反対方向だね。駅の方から見ると」
「え? あ、そうだったんですね。初めてきたので間違えてしまいました」
彼女のそんな様子を見て、あまり野球には詳しくないのかなと思った。
駅前で働いていれば、ビクトリーズスタジアム行きのバスは見るはずだから。ビジターのファン向けに至るところに案内板が出ているし。
あまり野球には興味ないのだろうか。
「実はあの、いつも新井さんがお世話になっているからと、球団の方から、試合の招待チケットを頂きまして。まだ生で野球を見たことなかったので、せっかくだからと店長に譲ってもらったんです」
ああ、あのぺったんこな明るい店長さんね。
「へー、やったじゃん。でも、試合やるのはここじゃなくて、隣町の駅近くなんだけど」
「そうなんですね。すみません。あまりよく分からなくて」
「こっから行くとね、電車よりもバスで行った方が……」
「こら。練習サボって女の子のお喋り? チョー、ウケるんだけど」
あ、ギャル美が来た。
邪魔すんな。せっかくポニテちゃんといい感じだったのに。
「あれー、よく見たらシェルバーの店員じゃん! なにやってんの?」
「あ、こんにちは」
ギャル美がいつものように太ももをさらけ出した格好で現れると、山名さんは高身長の体をペコリと下げる。
「ちょっとあんた! 可愛いからってこの子をナンパしてんじゃないわよ。チョー、ウケる」
いかにもな絡み方でギャル美は俺につっかかってきた。
「ナンパじゃねえよ。この子、ビクトリーズスタジアムに行こうとしたら、間違ってここに来ちゃったんだって」
「なにそれ、ドジっ娘じゃん。チョー、ウケる」
俺がそう伝えると、山名さんは恥ずかしそうにうつむいた。
山名さんの手に握られた招待チケット。お尻を俺の方に突き出すようにしながら、それをギャル美が覗き込む。
「あれ? そのチケットよく見せてみ?」
「は、はい」
ギャル美が山名さんからチケットを受け取り、自分のカバンから出したチケットと見比べる。
そして、口と目を見開いた。
「あら! やっぱり!! このチケット私と隣の席じゃん! チョー、偶然! チョー、ウケるんだけど!」
「本当ですか!? すごいですね!」
「それじゃあ、今から一緒にスタジアムに行くわよ! すぐそこの駐車場に私の車があるから、乗せてってあげるわよ」
「あ、ありがとうございます。助かります」
ぽけーっ2人の様子を見ていた俺は当たり前のように放っておかれ、ギャル美と山名さんは、きゃっきゃっしながら仲良さそうに並んで歩き、俺から離れていく。
「おーい、新井くーん! 休憩時間終わりやでー! トレーニングルーム移動するでー!」
少し遠くの方で、なんだかいい車そうな深いエンジン音が聞こえなくなって行き、代わりに新しいトレーニング方法が書かれていそうな用紙を持って、関西弁トレーニングコーチがクラブハウスから現れた。
そういえば、山名さんはいいとして、ギャル美はなんでわざわざこんなところに来たんだ?
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