実況!4割打者の新井さん
どうしても試合に出たい新井さん
まあまあ、そんな堅いこと言わずにさ。
ちょっとくらい見せてくれよ。野球のネタを色々提供してあげてるんだからさー。
と、さらにニヤニヤして彼女の肩に手を置いたが、山吹さんは頑なに小説を見せることを拒否する。
「それは新井君でも絶対にダメ。まだ見せられるような状態じゃないから」
なんだよー、頑固だなあ。そんなわからず屋な女の子には、こちょこちょしてやろう。
「………新井君。どこを触っているの……ちょっと、やめてくすぐったい」
スリムな脇腹の辺りに立てた指を這わせると、彼女は身をよじるようにして逃げようとする。
じゃあ、小説読ませてくれよー。リビングの隣の部屋にある寝室のパソコンでカタカタと執筆しているのは知っているんだ。
「そっちは行っちゃダメ……」
もちろん本気でそんな野暮なことはしないが、椅子から立ち上がると、くすぐり攻撃から逃げようとしていた彼女も一緒になって立ち上がって、必死に俺の腕を掴む。
両手でぎゅっと。少しだけの力を感じるか細い山吹さんの腕がからみつき、一生懸命俺の体を引っ張る。
「ほんとにダメなの。恥ずかしいから」
ふとみると、彼女は今にも涙を溢しそうな顔になりながら、俺に対して必死にお願いしていた。
そんな彼女を見ていたら、無性にムラムラしてきたので、最後は炊飯器を抱えながら、鍋をなめ回すようにして彼女の手作りカレーを完食してやった。
今日はどうしても試合に出なくてはいけない。
山吹さんが対外試合のホーム最終戦である今日の2軍戦を見に来るとあっては、いつものようにロードワークや筋トレばかりをしているわけにはいかない。
1打席だけでもいいから、試合に出してもらわないと。
俺はそう思い立ち、朝だいぶ早めに家を出て、2軍の球場へと向かう。
「おお!兄ちゃん、今日はまた一段と早いな!また自主練習かい?」
朝7時。球場には管理人のおっさんが1人いるだけ。他の選手やコーチはまだ誰も来ていないようだ。
俺はまず、ロッカールームで準備を済ませると、監督室の中を綺麗に掃除し始める。
床をほうきで掃き、カーペットにもきっちり掃除機を掛ける。
細かいごみや髪の毛を処理するためにコロコロもして、窓もキレイに両面磨き、テーブルの上もほこりが1つたりともないようにピカピカに磨き上げた。
そして、コーヒーマシンに電源を入れ、クッキーの箱を開けて、テーブルの真ん中に置く。
これで完璧だ。
ドスドスドス。
ガチャ。
おや。ようやく監督がやって来たようだな。
「わあ、驚いた。なにしてんだ、お前は!」
ガチャリとドアを開けて入室してきたのでウィムッシュと挨拶すると、監督は飛び上がるように驚いた。
一体何を企んでいるのかと、2軍監督は警戒しているようだったが、まあまあまあとりあえず座って下さいよと、ソファーに案内する。
そして、2軍監督の大好きなコーヒーを淹れて、親会社であるビクトリアグループのお菓子部門で1番人気のあるクッキーを差し出してご機嫌を取る。
すると、監督は何やら疑うような視線を俺に向けながら、口を開いた。
「お前、こんなことしてどういうつもりだ? 何か企んでるのか?金は貸さんぞ?」
「いや、お金大丈夫です。最低年俸ですが」
お金を借りにきたと思われたのがちょっとショックだったが、俺は気を取り直して、監督室の床に額を擦り付けるように、得意の土下座をぶちかます。
俺の願いは一つだけ。今日、山吹さんが見に来る試合に出してくれというただそれだけ。
だって、そのくらいいいじゃない。
スタメンで使ってくれとは言わないよ。最近はノックも受けてねえし、サインも分からないし。
ただ代打で構わないから、1打席でいいから試合に出してくれ!!
俺はそんな感じで必死に懇願した。
すると……。
「ああ、まあいいよ。今日だけな。メンバー表にお前の名前入れといてやるから、ベンチに入っとけ。………あと、俺からもお前に1つ頼みがあるんだ」
え?頼み?
ちょっとくらい見せてくれよ。野球のネタを色々提供してあげてるんだからさー。
と、さらにニヤニヤして彼女の肩に手を置いたが、山吹さんは頑なに小説を見せることを拒否する。
「それは新井君でも絶対にダメ。まだ見せられるような状態じゃないから」
なんだよー、頑固だなあ。そんなわからず屋な女の子には、こちょこちょしてやろう。
「………新井君。どこを触っているの……ちょっと、やめてくすぐったい」
スリムな脇腹の辺りに立てた指を這わせると、彼女は身をよじるようにして逃げようとする。
じゃあ、小説読ませてくれよー。リビングの隣の部屋にある寝室のパソコンでカタカタと執筆しているのは知っているんだ。
「そっちは行っちゃダメ……」
もちろん本気でそんな野暮なことはしないが、椅子から立ち上がると、くすぐり攻撃から逃げようとしていた彼女も一緒になって立ち上がって、必死に俺の腕を掴む。
両手でぎゅっと。少しだけの力を感じるか細い山吹さんの腕がからみつき、一生懸命俺の体を引っ張る。
「ほんとにダメなの。恥ずかしいから」
ふとみると、彼女は今にも涙を溢しそうな顔になりながら、俺に対して必死にお願いしていた。
そんな彼女を見ていたら、無性にムラムラしてきたので、最後は炊飯器を抱えながら、鍋をなめ回すようにして彼女の手作りカレーを完食してやった。
今日はどうしても試合に出なくてはいけない。
山吹さんが対外試合のホーム最終戦である今日の2軍戦を見に来るとあっては、いつものようにロードワークや筋トレばかりをしているわけにはいかない。
1打席だけでもいいから、試合に出してもらわないと。
俺はそう思い立ち、朝だいぶ早めに家を出て、2軍の球場へと向かう。
「おお!兄ちゃん、今日はまた一段と早いな!また自主練習かい?」
朝7時。球場には管理人のおっさんが1人いるだけ。他の選手やコーチはまだ誰も来ていないようだ。
俺はまず、ロッカールームで準備を済ませると、監督室の中を綺麗に掃除し始める。
床をほうきで掃き、カーペットにもきっちり掃除機を掛ける。
細かいごみや髪の毛を処理するためにコロコロもして、窓もキレイに両面磨き、テーブルの上もほこりが1つたりともないようにピカピカに磨き上げた。
そして、コーヒーマシンに電源を入れ、クッキーの箱を開けて、テーブルの真ん中に置く。
これで完璧だ。
ドスドスドス。
ガチャ。
おや。ようやく監督がやって来たようだな。
「わあ、驚いた。なにしてんだ、お前は!」
ガチャリとドアを開けて入室してきたのでウィムッシュと挨拶すると、監督は飛び上がるように驚いた。
一体何を企んでいるのかと、2軍監督は警戒しているようだったが、まあまあまあとりあえず座って下さいよと、ソファーに案内する。
そして、2軍監督の大好きなコーヒーを淹れて、親会社であるビクトリアグループのお菓子部門で1番人気のあるクッキーを差し出してご機嫌を取る。
すると、監督は何やら疑うような視線を俺に向けながら、口を開いた。
「お前、こんなことしてどういうつもりだ? 何か企んでるのか?金は貸さんぞ?」
「いや、お金大丈夫です。最低年俸ですが」
お金を借りにきたと思われたのがちょっとショックだったが、俺は気を取り直して、監督室の床に額を擦り付けるように、得意の土下座をぶちかます。
俺の願いは一つだけ。今日、山吹さんが見に来る試合に出してくれというただそれだけ。
だって、そのくらいいいじゃない。
スタメンで使ってくれとは言わないよ。最近はノックも受けてねえし、サインも分からないし。
ただ代打で構わないから、1打席でいいから試合に出してくれ!!
俺はそんな感じで必死に懇願した。
すると……。
「ああ、まあいいよ。今日だけな。メンバー表にお前の名前入れといてやるから、ベンチに入っとけ。………あと、俺からもお前に1つ頼みがあるんだ」
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