実況!4割打者の新井さん
アメリカおばちゃん4
「お会計は合わせまして、3450円になります」
前々日にパチンコに4万負けた癖に、調子に乗ってバクバク食べましたから、そこそこお腹いっぱいになりまして。
最後にあおさのお味噌汁も頂きましたから、そろそろお店を出ようと店員さんを呼ぶと、アメリカおばちゃんがスクッと一緒になって立ち上がって、また俺に親指を立てた。
色々教えてあげたお礼なのか、代わりに支払ってくれるみたいな感じで申し出てくれた。
たしかにニッポンの回転寿司の流儀をレクチャーはしたけれど、はるか海の向こうから来たしらんおばちゃんだし、奢ってもらう義理はない。
ノー! ノー! ノー! オーケー! オーケー!
とは言ってみたのだが、アメリカおばちゃんもU.S.A.ソウルみたいなものがありますから、俺を押し退けるようにしぬがら、皿の数を勘定した店員さんが置いていったお会計票を2枚手に取り、そのままレジまで持っていってしまった。
俺はお茶を飲み干して、お口を拭きながら、慌てておばちゃんの後を追った。
すると、会計をしようとした店員さんとおばちゃんの間で不穏な空気が流れていたのだ。
「お客様申し訳ございません。こちらのカード、当店ではご利用頂けません」
レジに立つお姉さんがそう告げる。
それを全て聞き取れたわけではないようだけど、おばちゃんはその意味をなんとなく悟ったようだ。
そのおばちゃん手には、俺の人生ではかつて見たことないくらい凄いゴージャスなクレジットカード。
おばちゃんはそれを手にしたまま、まるで自由の女神が崩壊したかのような、絶望的な顔を俺に向けていた。
「ソーリー………ボーイ……」
さっきまでのトレインスシトレインスシと言って、はしゃいでいた元気はどこにいったのか。
おばちゃんの凄いゴージャスなクレジットカードが使えない代わりに、俺が1980円の二つ折り財布から5千円札を出したわけだけど。
その瞬間から、俺が車に乗り込んでバイバイする今の今まで、アメリカおばちゃんは泣きそうな表情でひたすら謝り続けていた。
俺が運転席に乗り込んでもずっとソーリーソーリー言っているから、もしかしたらついでに車に乗せてもらおうと考えているのかと勘ぐってしまった。
そんな時だった………。
「ちょっとー!ビクトリアさーん!」
大通りの歩道。駐車場のすぐ側の道から、ちゃんとした黒のスーツを着て、眼鏡を掛けた日本人女性が現れた。
アメリカおばちゃんはそれに反応し、フラフラとした足取りでその女性に歩み寄っていった。
お連れの方がいらっしゃったみたいだからもう安心ですわね。
俺にはあんまり時間もなかったので、運転席のウインドウを開け、アデュー! と、手を振りながら、俺は再び国道に出て、回転寿司屋を後にした。
そこから7分8分。北関東ビクトリーズの球団本社があるビルにご到着。その裏手にある駐車場に入るところで、警備員のおじちゃんがお出迎え。
青い制服をビシッと着こなし、赤い誘導灯を抱えながら、ニコニコ顔で車に近づいてきた。
「こんにちは! 契約しにきた新井時人でござんす。これまた1人っ子でして」
「おー!入団契約しに来た、新井さんね! これはこれはわ、お疲れ様です。未来のスター選手様!どーもこんにちは! お車は、1番奥に止めてもらえます?」
警備帽の縁から覗く髪の毛が白髪混じりのそのおじちゃんは随分とノリがいい人みたいで、俺を軽くおちょくるようにして煽て、駐車場の奥まで誘導してくれた。
          
前々日にパチンコに4万負けた癖に、調子に乗ってバクバク食べましたから、そこそこお腹いっぱいになりまして。
最後にあおさのお味噌汁も頂きましたから、そろそろお店を出ようと店員さんを呼ぶと、アメリカおばちゃんがスクッと一緒になって立ち上がって、また俺に親指を立てた。
色々教えてあげたお礼なのか、代わりに支払ってくれるみたいな感じで申し出てくれた。
たしかにニッポンの回転寿司の流儀をレクチャーはしたけれど、はるか海の向こうから来たしらんおばちゃんだし、奢ってもらう義理はない。
ノー! ノー! ノー! オーケー! オーケー!
とは言ってみたのだが、アメリカおばちゃんもU.S.A.ソウルみたいなものがありますから、俺を押し退けるようにしぬがら、皿の数を勘定した店員さんが置いていったお会計票を2枚手に取り、そのままレジまで持っていってしまった。
俺はお茶を飲み干して、お口を拭きながら、慌てておばちゃんの後を追った。
すると、会計をしようとした店員さんとおばちゃんの間で不穏な空気が流れていたのだ。
「お客様申し訳ございません。こちらのカード、当店ではご利用頂けません」
レジに立つお姉さんがそう告げる。
それを全て聞き取れたわけではないようだけど、おばちゃんはその意味をなんとなく悟ったようだ。
そのおばちゃん手には、俺の人生ではかつて見たことないくらい凄いゴージャスなクレジットカード。
おばちゃんはそれを手にしたまま、まるで自由の女神が崩壊したかのような、絶望的な顔を俺に向けていた。
「ソーリー………ボーイ……」
さっきまでのトレインスシトレインスシと言って、はしゃいでいた元気はどこにいったのか。
おばちゃんの凄いゴージャスなクレジットカードが使えない代わりに、俺が1980円の二つ折り財布から5千円札を出したわけだけど。
その瞬間から、俺が車に乗り込んでバイバイする今の今まで、アメリカおばちゃんは泣きそうな表情でひたすら謝り続けていた。
俺が運転席に乗り込んでもずっとソーリーソーリー言っているから、もしかしたらついでに車に乗せてもらおうと考えているのかと勘ぐってしまった。
そんな時だった………。
「ちょっとー!ビクトリアさーん!」
大通りの歩道。駐車場のすぐ側の道から、ちゃんとした黒のスーツを着て、眼鏡を掛けた日本人女性が現れた。
アメリカおばちゃんはそれに反応し、フラフラとした足取りでその女性に歩み寄っていった。
お連れの方がいらっしゃったみたいだからもう安心ですわね。
俺にはあんまり時間もなかったので、運転席のウインドウを開け、アデュー! と、手を振りながら、俺は再び国道に出て、回転寿司屋を後にした。
そこから7分8分。北関東ビクトリーズの球団本社があるビルにご到着。その裏手にある駐車場に入るところで、警備員のおじちゃんがお出迎え。
青い制服をビシッと着こなし、赤い誘導灯を抱えながら、ニコニコ顔で車に近づいてきた。
「こんにちは! 契約しにきた新井時人でござんす。これまた1人っ子でして」
「おー!入団契約しに来た、新井さんね! これはこれはわ、お疲れ様です。未来のスター選手様!どーもこんにちは! お車は、1番奥に止めてもらえます?」
警備帽の縁から覗く髪の毛が白髪混じりのそのおじちゃんは随分とノリがいい人みたいで、俺を軽くおちょくるようにして煽て、駐車場の奥まで誘導してくれた。
          
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