実況!4割打者の新井さん
アメリカおばちゃん1
1枚3000円のステーキやら天ぷらやらピザやらなんやらを腹いっぱい頂きまして、多少は野球の話もしながら、また明後日にと言いながら中込さんと別れた。
それから俺は、行き付けのパチンコ店に向かい、ぽっこり出たお腹を擦りながら後輩を探した。
新装開店ということでいつもより賑わっている店内。その店内のスロットコーナー。いわゆる荒波タイプと言われる、ハイリスクハイリターンなマシンが並ぶシマに俺の後輩はいた。
そいつの台の上に設置されたデータ表示器のランプはビカビカと光っており、ドル箱には既に半分ほど。600枚のメダルが詰め込まれていて、依然大当たり中という状態だった。
なにしてんすかー? 遅いっすよー!などと声高に文句を言う後輩に、俺プロ野球選手になったよと伝えたが取り合ってはもらえず。
そんなことより、今打っている台の挙動が絶好調で、俺が渡した1万円の半分も使わずに、何万分の1というプレミアフラグを引き当て、さらにフリーズ演出が発生して、大量の上乗せゲーム数をゲット。もう何をせずとも、4万5万勝ちがほぼ確定した状態で、後輩はまさに有頂天。
俺の話など聞いてもらえるはずはなかった。
タバコをプカプカふかしながら、ペットボトルのコーラをがぶ飲み。人生で最も幸福に満ちた顔をしているので、俺もその流れに乗るわと言い残して空き台を探しに出かけた。
もう夕方になる頃で、仕事終わりで来店した人間もたくさんいますから、めぼしい空き台なんてなかなか見つからず、なし崩しで座った萌え系のパチンコ台で3万ちょうどを溶かす結果になったわけですが、俺はニッコニコですよ。
プロ野球選手になりましたから。
プロ野球らしくパチンコで思いっきり散財して、プロ野球らしく帰り際にチーズ牛丼の特盛をかきこみ、プロ野球らしく家で埃のかぶった安物のスーツを引っ張り出し、プロ野球らしく軽自動車を優雅に運転して、契約のために宇都宮にやって来たわけですが。
高速を使うと逆に時間がかかってしまうので、仕方なく下の道を1時間運転して、北関東ビクトリーズの球団本社とやらに向かっているわけですよ。
バイトを急遽休みにしてもらいまして。
ビクトリーズの本社は栃木の宇都宮市の中心地。駅近くの2等地くらいのところにドンと構えていた。なかなかに高いビルの中にあるみたい。
そもそも、ビクトリーズとは主にアメリカで展開する、お菓子やドリンク製品の製造を手掛けている会社で、正式名称はなんちゃらビクトリアカンパニーというらしい。つまりはプロ野球で初めての外資系企業。異例中の異例。
それくらい、新球団設立に名乗りを上げる日本企業がなかったというわけ。こんな不景気ですしね。
これからもしかしたら、もしかしたら、お世話になるかもしれない球団の情報はそのくらいだ。
しかし、やはり多少の興奮と緊張があるのか、約束の時間よりもだいぶ早く宇都宮に着いてしまった。
下手に早く本社に行っても失礼だし、スーツのほこりを落とすのに精一杯で、朝飯も食べてこなかった。
ちょうど目の前に回転寿司屋がある。
俺はそのお店の駐車場に、運転している軽自動車を優雅に滑り込ませた。
スーツの上着は車内に脱ぎ捨て、財布の中身を一応確認し、俺は回転寿司屋に足を踏み入れる。
自動ドアが開くと、外気よりかは少し涼しい空気を感じた。
平日ではあるが、昼時のため、半分くらいのテーブルやカウンター席が埋まっていた。
「いらっしゃいませ!おひとり様ですか?」
店内に入るとすぐに女性の店員さんが現れ、俺をカウンターの席に案内した。
出入り口に近いコンベアの先頭に近い席。
左側に1人で瓶ビールを開けている年配の男性の2つ隣の位置に座った。
「こちらおしぼりでございます! 何か御座いましたら、パネルをタッチしてお呼び下さい」
回転寿司は久しぶりだなあと、おしぼりで手を拭いているだけでテンションが上がってくる。
俺は正面にあるタッチパネルで、まずはマグロの赤身と真ダコを1皿ずつ注文した。
「ピロリロ! おまちどおさま! ピロリロ! おまちどおさま!」
ほどなくして、パネルにお待たせ致しましたの文字が現れ、注文した赤身とタコが到着した。
新幹線型の模型がシュバッと現れ、お皿を取るとシュバッとまた走り出す。
その2皿を手元に取り、乗せていたミニチュア新幹線を見送りながら、お寿司に醤油をたらす。
箸でまずは赤身を掴み、醤油をつけて口に運ぶと、マグロの旨味が口一杯に広がる。
ほのかに香るシャリの食感も心地よい。
1皿100円ちょっとの寿司ではあるけど、なかなかにいけるぞ。
ほんとはもっと高い寿司も1度は食べてみたいけどね。野球選手として活躍したら、食べられるようになるだろうか。
          
それから俺は、行き付けのパチンコ店に向かい、ぽっこり出たお腹を擦りながら後輩を探した。
新装開店ということでいつもより賑わっている店内。その店内のスロットコーナー。いわゆる荒波タイプと言われる、ハイリスクハイリターンなマシンが並ぶシマに俺の後輩はいた。
そいつの台の上に設置されたデータ表示器のランプはビカビカと光っており、ドル箱には既に半分ほど。600枚のメダルが詰め込まれていて、依然大当たり中という状態だった。
なにしてんすかー? 遅いっすよー!などと声高に文句を言う後輩に、俺プロ野球選手になったよと伝えたが取り合ってはもらえず。
そんなことより、今打っている台の挙動が絶好調で、俺が渡した1万円の半分も使わずに、何万分の1というプレミアフラグを引き当て、さらにフリーズ演出が発生して、大量の上乗せゲーム数をゲット。もう何をせずとも、4万5万勝ちがほぼ確定した状態で、後輩はまさに有頂天。
俺の話など聞いてもらえるはずはなかった。
タバコをプカプカふかしながら、ペットボトルのコーラをがぶ飲み。人生で最も幸福に満ちた顔をしているので、俺もその流れに乗るわと言い残して空き台を探しに出かけた。
もう夕方になる頃で、仕事終わりで来店した人間もたくさんいますから、めぼしい空き台なんてなかなか見つからず、なし崩しで座った萌え系のパチンコ台で3万ちょうどを溶かす結果になったわけですが、俺はニッコニコですよ。
プロ野球選手になりましたから。
プロ野球らしくパチンコで思いっきり散財して、プロ野球らしく帰り際にチーズ牛丼の特盛をかきこみ、プロ野球らしく家で埃のかぶった安物のスーツを引っ張り出し、プロ野球らしく軽自動車を優雅に運転して、契約のために宇都宮にやって来たわけですが。
高速を使うと逆に時間がかかってしまうので、仕方なく下の道を1時間運転して、北関東ビクトリーズの球団本社とやらに向かっているわけですよ。
バイトを急遽休みにしてもらいまして。
ビクトリーズの本社は栃木の宇都宮市の中心地。駅近くの2等地くらいのところにドンと構えていた。なかなかに高いビルの中にあるみたい。
そもそも、ビクトリーズとは主にアメリカで展開する、お菓子やドリンク製品の製造を手掛けている会社で、正式名称はなんちゃらビクトリアカンパニーというらしい。つまりはプロ野球で初めての外資系企業。異例中の異例。
それくらい、新球団設立に名乗りを上げる日本企業がなかったというわけ。こんな不景気ですしね。
これからもしかしたら、もしかしたら、お世話になるかもしれない球団の情報はそのくらいだ。
しかし、やはり多少の興奮と緊張があるのか、約束の時間よりもだいぶ早く宇都宮に着いてしまった。
下手に早く本社に行っても失礼だし、スーツのほこりを落とすのに精一杯で、朝飯も食べてこなかった。
ちょうど目の前に回転寿司屋がある。
俺はそのお店の駐車場に、運転している軽自動車を優雅に滑り込ませた。
スーツの上着は車内に脱ぎ捨て、財布の中身を一応確認し、俺は回転寿司屋に足を踏み入れる。
自動ドアが開くと、外気よりかは少し涼しい空気を感じた。
平日ではあるが、昼時のため、半分くらいのテーブルやカウンター席が埋まっていた。
「いらっしゃいませ!おひとり様ですか?」
店内に入るとすぐに女性の店員さんが現れ、俺をカウンターの席に案内した。
出入り口に近いコンベアの先頭に近い席。
左側に1人で瓶ビールを開けている年配の男性の2つ隣の位置に座った。
「こちらおしぼりでございます! 何か御座いましたら、パネルをタッチしてお呼び下さい」
回転寿司は久しぶりだなあと、おしぼりで手を拭いているだけでテンションが上がってくる。
俺は正面にあるタッチパネルで、まずはマグロの赤身と真ダコを1皿ずつ注文した。
「ピロリロ! おまちどおさま! ピロリロ! おまちどおさま!」
ほどなくして、パネルにお待たせ致しましたの文字が現れ、注文した赤身とタコが到着した。
新幹線型の模型がシュバッと現れ、お皿を取るとシュバッとまた走り出す。
その2皿を手元に取り、乗せていたミニチュア新幹線を見送りながら、お寿司に醤油をたらす。
箸でまずは赤身を掴み、醤油をつけて口に運ぶと、マグロの旨味が口一杯に広がる。
ほのかに香るシャリの食感も心地よい。
1皿100円ちょっとの寿司ではあるけど、なかなかにいけるぞ。
ほんとはもっと高い寿司も1度は食べてみたいけどね。野球選手として活躍したら、食べられるようになるだろうか。
          
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