実況!4割打者の新井さん
人生が変わるとき1
「どうなってんだ、この店は! 全然出ねえじゃねえか!ああ!?」
バイト先でパチンコに負けたお客に怒鳴られるのも仕事の1つみたいなもんだ。
恐らくは朝からしこたま負けたのだろう常連のおじさんは遅番で出勤したばかりの俺を取っ捕まえて不満を爆発させる。
この1週間で10万は負けただの、止めた後に別の客に出されただの、大抵はそんな話だ。大抵はそんなクレームだ。
そうは感じても、こちらから自分からうちの店に来たんじゃろがい!てめえのヒキが弱いのを店員のせいにすんなボケ! などとは言えないので、とりあえずは怒りがある程度収まるまで話を聞いてあげて、駐車場に出る自動ドアの側で俺は頭を下げながら、そのおじさんがオンボロのワンボックスカーに乗り込んで帰るまで見送りをしていた。
たまにそのまま出入口に突っ込んでくるんじゃないかと思う日もあるけれども、なかなかそんなことはない。
次の日になればまた違う海の台をしっかり朝から回すようなそんなお客で、パチンコ屋というものは成り立っていることを感じる。
俺はふぅーっと溜め息をつきながらホールにに戻り、いつも通りの業務を続ける。
文句やクレームを言われるのはもちろん気分がいいものではないけど、パチンコ店と客なんて持ちつ持たれつだからな。
いくら文句を垂れようと、普通に遊戯している間は大切なお客様なのだ。
遅番で出勤した俺は、早番のスタッフと引き継ぎをする。何番台のトラブルが解決しなかったため、電源を落として稼働を停止していますとか。逆に朝、店長がメンテナンスした台があるので遅番でも様子見お願いしますとか。
あそこのお客様のお荷物をカウンターでお預かりしているので、お帰りの時には心掛けお願いしますとかそんな感じ。
とりあえず今日見るシマ。何十台と両側にパチンコ台が並ぶ担当のエリアをぐるっと1周巡回して、顔馴染みの常連さんに今日出てるじゃないっすか! なんて挨拶しながら、稼働状況や異常がないかを確認する。
パチンコ店もやはり、アルバイトスタッフの入れ替わりが激しいので、3年も勤めていると、あっという間に年長者になり、社員とアルバイトの板挟み状態になる。
お店の方針や社員の考え方などを新人スタッフに伝えながら、逆にアルバイトから出た出た不満や改善点などをしっかりと吸い上げて事務所にいる社員に報告する毎日。
先ほどのように負けて腹を立てた客の話を聞いたり、新人スタッフが直せなかった台のトラブルなんかも変わって対応する事もしばしば。
俺が入ったばかりの頃はたくさんの先輩スタッフがいたけど、みんな結婚やら就職やらで、大学を卒業するからなどと、順番にいなくなっていく。
すると既存のスタッフにどんどん新しい仕事が下りていき、負担が掛かる。
そして、仕事がつらいと感じてしまうのだ。
今の俺はまさにそんな状態であり、何かの変化が必要。何かを変えなくてはいけない。
そんな思いがあったのも、北関東ビクトリーズのプロテストを受けた理由の1つだった。
「悪いねえ、お疲れ様。もう、今日は上がっていいよ」
閉店して、次の日ためにパチンコやスロット台を1台1台手分けして掃除をしたり、どっか調子の悪くなった台のメンテナンスをしたりで、気付けば規定の就業時間をとっくに過ぎていた。
デスクに座りながら申し訳なさそうな表情で、俺よりも遥かに疲れが溜まっている様子の店長に見送られるようにしながらタイムカードを切り、事務所を出た。
俺は首もとのボタンを外し、インカムの機械を片付けながら更衣室に行き、私服に着替えるとスマホがピカピカしている事に気付いた。
「新井さん、おつかれっす! 向かいの飲み屋にいるんで来て下さいよ!」
「お、おう! じゃー、今から行くわ」
酒好きであるバイトの後輩が何人か連れて居酒屋にいるらしく、俺も生け贄に選ばれたようだ。
特に用事もないし腹も減ったので、俺は上着を着込みながら、身支度を整えて店を後にした。
そしてその後輩が飲んでいるという、パチンコ屋を出てすぐそばにある居酒屋に駆け込んだのだった。
          
バイト先でパチンコに負けたお客に怒鳴られるのも仕事の1つみたいなもんだ。
恐らくは朝からしこたま負けたのだろう常連のおじさんは遅番で出勤したばかりの俺を取っ捕まえて不満を爆発させる。
この1週間で10万は負けただの、止めた後に別の客に出されただの、大抵はそんな話だ。大抵はそんなクレームだ。
そうは感じても、こちらから自分からうちの店に来たんじゃろがい!てめえのヒキが弱いのを店員のせいにすんなボケ! などとは言えないので、とりあえずは怒りがある程度収まるまで話を聞いてあげて、駐車場に出る自動ドアの側で俺は頭を下げながら、そのおじさんがオンボロのワンボックスカーに乗り込んで帰るまで見送りをしていた。
たまにそのまま出入口に突っ込んでくるんじゃないかと思う日もあるけれども、なかなかそんなことはない。
次の日になればまた違う海の台をしっかり朝から回すようなそんなお客で、パチンコ屋というものは成り立っていることを感じる。
俺はふぅーっと溜め息をつきながらホールにに戻り、いつも通りの業務を続ける。
文句やクレームを言われるのはもちろん気分がいいものではないけど、パチンコ店と客なんて持ちつ持たれつだからな。
いくら文句を垂れようと、普通に遊戯している間は大切なお客様なのだ。
遅番で出勤した俺は、早番のスタッフと引き継ぎをする。何番台のトラブルが解決しなかったため、電源を落として稼働を停止していますとか。逆に朝、店長がメンテナンスした台があるので遅番でも様子見お願いしますとか。
あそこのお客様のお荷物をカウンターでお預かりしているので、お帰りの時には心掛けお願いしますとかそんな感じ。
とりあえず今日見るシマ。何十台と両側にパチンコ台が並ぶ担当のエリアをぐるっと1周巡回して、顔馴染みの常連さんに今日出てるじゃないっすか! なんて挨拶しながら、稼働状況や異常がないかを確認する。
パチンコ店もやはり、アルバイトスタッフの入れ替わりが激しいので、3年も勤めていると、あっという間に年長者になり、社員とアルバイトの板挟み状態になる。
お店の方針や社員の考え方などを新人スタッフに伝えながら、逆にアルバイトから出た出た不満や改善点などをしっかりと吸い上げて事務所にいる社員に報告する毎日。
先ほどのように負けて腹を立てた客の話を聞いたり、新人スタッフが直せなかった台のトラブルなんかも変わって対応する事もしばしば。
俺が入ったばかりの頃はたくさんの先輩スタッフがいたけど、みんな結婚やら就職やらで、大学を卒業するからなどと、順番にいなくなっていく。
すると既存のスタッフにどんどん新しい仕事が下りていき、負担が掛かる。
そして、仕事がつらいと感じてしまうのだ。
今の俺はまさにそんな状態であり、何かの変化が必要。何かを変えなくてはいけない。
そんな思いがあったのも、北関東ビクトリーズのプロテストを受けた理由の1つだった。
「悪いねえ、お疲れ様。もう、今日は上がっていいよ」
閉店して、次の日ためにパチンコやスロット台を1台1台手分けして掃除をしたり、どっか調子の悪くなった台のメンテナンスをしたりで、気付けば規定の就業時間をとっくに過ぎていた。
デスクに座りながら申し訳なさそうな表情で、俺よりも遥かに疲れが溜まっている様子の店長に見送られるようにしながらタイムカードを切り、事務所を出た。
俺は首もとのボタンを外し、インカムの機械を片付けながら更衣室に行き、私服に着替えるとスマホがピカピカしている事に気付いた。
「新井さん、おつかれっす! 向かいの飲み屋にいるんで来て下さいよ!」
「お、おう! じゃー、今から行くわ」
酒好きであるバイトの後輩が何人か連れて居酒屋にいるらしく、俺も生け贄に選ばれたようだ。
特に用事もないし腹も減ったので、俺は上着を着込みながら、身支度を整えて店を後にした。
そしてその後輩が飲んでいるという、パチンコ屋を出てすぐそばにある居酒屋に駆け込んだのだった。
          
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