転生して、小魚から龍になる〜人化して国王に〜
第七十話 究極大回復
シルクと仲良くなってからというもの、同じ馬車に乗ることになってしまった。まあ、別に良いんだが、、。やはり、このお転婆少女の相手は疲れることもある。サクラは女同士で仲良くなってるみたいで楽しそうだけどね。
そして、今日はついに王都についた。
王都はウィルフィード領都よりも活気付いていて、豪華な建物も多い。中心にはもちろん王城がそびえ立っている。王都は区分ごとに分けられていて、貴族区、商業区、住宅区、冒険者区など幅広い。
俺たちが泊まるのは、貴族区のなかでも、格式の高いところだ。
そして、明日はお披露目会。
つまり、今日、王女との面会となる!
「カイル。私は先に王様に会ってくる。カイルは屋敷で待っていなさい。」
「わかりました。」
「マルクよ。長旅ご苦労であった。」
「はは。ありがたき幸せにございます。」
「して、何やら報告があると聞いたが?」
「はい。息子の、カイルの大回復魔法についてです。既にレベル10になっていることを4日前ほどに確認いたしました。」
「な、なんだと!?それは誠か!?」
「はい!」
「あれから一ヶ月しか経っておらんのだぞ、、。いくらマルクとはいえ、流石に信じられん、、。」
「はい。私もこれが真実であると証明する必要があると思います。そこで、王城にある水晶で試してみて欲しいのです。」
「あいわかった!もし、それが真実ならば、娘を治してもらおうではないか!」
もちろん俺は王城での王と父上の会話を聞いていた。
そして、父上はそろそろこの屋敷に戻ってくる。
「カイル!!すぐに王城に行く準備をしなさい!」
「もうできていますよ。」
「あ、そうか、、。では行くぞ!」
俺と父上はすぐに馬車に乗り込み、王城へと向かう。
「これから向かうのは、王の私室だ。謁見の間ではないから、格式張る必要はないが、くれぐれも粗相の内容に。」
父は王城の廊下を歩きながら言う。
「わかりました。」
「うむ。」
しばらく歩くと、いかにも立派なドアが見えてきた。
「ここだ。」
ーーコんコンーー
「失礼します。マルクです。」
「ああ、入ってくれ。」
奥から声がする。
ドアを開け、俺と父上は中に入る。
「カイルを連れてきました。」
「うむご苦労。それと、ようこそカイルよ。そなたのことはよく聞いている。」
「はじめまして、ランブルク国王様。カイル・フォン・ウィルフィードでございます。」
俺は片膝をつきながら言う。
「ハッバッハ!なかなかに賢い子じゃのう。して、今回はそなたのステータスを見せてもらうために読んだのじゃ。」
「わかりました。では、」
そう言って、俺は水晶の上に手をかざす。
名前:カイル・フォン・ウィルフィード
種族:人間族
年齢:5
レベル:1
状態:通常
HP:3,000
MP:4,000
攻撃:2,500
防御:2,400
速さ:2,600
固有能力:物質創造Lv.4 大回復魔法Lv.10
スキル:基本四元素魔法Lv.4 剣術Lv.3
鑑定眼Lv.2 練金魔法Lv.2
称号:魔法神の加護 大地神の加護
運命神の加護 生命神の加護
商業神の加護 技能神の加護
武神の加護
「な、なんじゃと!?」
王様は叫びながら驚く。
「大回復魔法のことは聞いていたが、なんだこの能力値、スキル、そして、称号の数!?」
「とりあえず、落ち着いてくださいな。あなた。」
王妃様が部屋に入ってきながら言う。
「あら、こんにちは。ウィルフィード様、それと、カイル君。」
「これは王妃様。はじめまして。」
「わかった。マルクよ。信じようではないか。そして、カイルよ。お願いがある。娘を治してやってくれないか、、。」
「私からもお願いします。もう何年もあの子の笑顔を見ていないのです。どうか、、。」
王様、王妃様の両方が深々と頭を下げる。
「あ、頭をあげてください。もちろん全力を持って治させていただきます。」
「「あ、ありがとう!」」
「では、さっそく、アリスの部屋に行こうか。」
「はい!」
「ねぇ、アリス。昨日、面白い兄弟にあったの。ちょうど私たちと同じ5歳の。お披露目会であったらアリスもきっとお友達になれるわ!」
「まあ、それは楽しみね。でも、私、お披露目会に参加できるかわからないの。」
「そ、そうなの、、。」
私は泣きたくなった。それは病気が悪化しているという証拠であるからだ。
でも、絶対に泣いてはいけない。カイル君が言っていたように、アリスの前では暗いところを見せちゃいけない!
ーーコンコンーー
「入るぞ。」
この声は、王様!?それに、カイル君もいるじゃない!?
「ど、どうしてここに?」
「おお、シルクよ。いたのか。うーん。どうする?カイル。邪魔になるか?」
「いえ。いてもらって構いません。その方がアリス様も安心なさるでしょうし。」
「うむ。そうだな。」
え?え?なんのこと?
私はさっぱりわからなかった。
「シルク。今から、俺が君の友達、アリス様を助けるよ。」
私は耳を疑った。あのカイル君が!?確かに少し大人びていたけれど、、、。私と同い年なのに、、。
お父様と昔少しあったことのあるウィルフィード領主、それと、誰?私と同じくらいの歳の男の子がいた。
どうやら、シルクとは顔見知りらしい。
「シルク。今から、君の友達、アリス様を助けるよ。」
え?今なんて言った?私を助けるだって?そんなの無理に決まってる!この国で一番と言われている回復術師でも不可能だったのだから!それに、伝説と言われていた完全回復薬ですら、、。
「む、無理です!私の病はもう治せないんです!私は死ぬ運命なんです。」
私は吐き捨てるように声を荒げて言った、、。
「アリシア、、」
どこか、お父様が寂しそうな、悔しそうな顔をしている。
「ご、ごめんなさい。でも、本当のことなんでしょう。」
そういうと、泣き出したくなってきた。
私は死ぬんだ。それもあと、1週間ほどで、、。
死にたくない。まだ生きていたい。まだ楽しいこと全然できてない。
そう思うと、自然に涙が溢れてきた。
王女様が泣き崩れる。シルクは王女の右手を握って悔しそうな、悲しそうな顔をして俯いている。
「国王様。回復させるには、アリシア様の体に触れる必要がありますが、よろしいですか?」
「かまわぬ。私はウィルフィードのことを信頼しているし、必要があるならば仕方ないだろう。」
「わかりました。」
王女とシルクはまるでこちらの声など聞こえていないようだ。
王様と王妃、父上は俺を見つめている。
俺は静かにベッドで寝ている王女様の近くへと行く。
「アリシア様。背中をこちらに向けてくれませんか?」
素直にそういう。触れる位置は心臓に近ければ近いほど良い。魔力の中枢は心臓だからだ。
「な、なによ。なにをするつもり?」
シルクが聞いてくる。
「今から、回復魔法を使う。」
「ほ、本当にするの!?」
「ああ。」
「アリシア様。どうか私を信じてください。必ずあなた様を元気にさせて見せます。」
「ぐすっ、わかりましたわ。」
王女は大人しく上半身を起こして、こちらに背中を向ける。
ちなみに、王女の服装はピンクのパジャマだ。
「では、いきます。国王様よろしいですね。」
「う、うむ。」
俺は念のため尋ねておく。おそらく、この技を使えば、王女は人間ではなくなるだろう。本当にそんなものをして良いのかと、、。まあ、王様にはそんなことはわからないと思うがな。
正直、この技は俺でもかなりの力を使う。
そして、王女背中に右手を置く。
ではいくか、、、
「究極大回復!!」
その瞬間、俺の髪の毛は逆立ち、俺から黄金のエネルギーが溢れ出る。そのエネルギーは俺の右手へと集まり、王女の体へと流れていく、、、。
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