転生して、小魚から龍になる〜人化して国王に〜

ドラ猫

第六十八話 一ヶ月後

ようやく明日は王都へ旅立つ日だ。

この一ヶ月、リズ先生の元、勉強に励み、今まであまり使っていなかった元素魔法の精密操作の訓練を行った。まあすぐにできてしまったが。

桜も慣れない作法に苦労していたようだが、桜には固有能力《大賢人》があるので、覚えるのはお手の物だ。

よって、今では完璧にこなしている。

張り合いがなくて少し残念そうな2人の先生を見ると、なにか申し訳ない気持ちが出てくるが、こればっかりはしょうがない。


今は夕食中だ。

「カイル。改めて今日ステータスを見せてくれないか?この一ヶ月の成果を知りたい。」

父が言う。

「わかりました。」

父は念のため大回復魔法のレベルを確認しておきたいのだな。

「入ってこい。」

父がドアに向かって言う。

すると、水晶を置いた台を運ぶメイドが入ってきた。

どうやら用意周到なようだ。

「では、いきますね。」

そう言って俺は水晶の上に手をかざす。


 名前:カイル・フォン・ウィルフィード
 種族:人間族
 年齢:5
 レベル:1
 状態:通常
 HP:3,000
 MP:4,000
 攻撃:2,500
 防御:2,400
 速さ:2,600

 固有能力:物質創造Lv.4 大回復魔法Lv.10

 スキル:基本四元素魔法Lv.4 剣術Lv.3
    鑑定眼Lv.2 練金魔法Lv.2

 称号:魔法神の加護 大地神の加護
   運命神の加護 生命神の加護
   商業神の加護 技能神の加護
   武神の加護

「な、なに!?!?」

「あらあら。」

前にもこんな展開があったな、、。





「カ、カイル、、。大回復魔法がレベル10っていうのは本当なのか、、?」

私は目の前のことが信じられなかった。

「はい。父上に重点的に鍛えろと言われましたので。僕の鑑定眼でも同じ結果になっています。」

「そ、そうか。わかった。」

私はそれ以上なにも言えなかった、、。

や、やはり神の子なのだろうか、、。

私はそう結論付けるほかなかった。


しかし、カイルのおかげで王女様を救うことはできそうだ。

そもそも、なぜそんなに王女様を救おうとしているのかというと、、

国王、ランブルク様への恩返しだ。


ランブルク様は、私にとって父親と言っても良いくらいの関係であった。

幼い頃に父上を亡くし、先代の祖父上が当主となり、育ててくれたがそれも長くは続かなかった。

そして、ついに自分が当主となったときには優遇とまでは行かないが、何かと気を使ってもらっていた。父親のように相談を受けてくれたりもした、、。

ここで、私は決心をする。王女のことをカイルに話すのだ。

「カイルよ。あとで私の私室に来なさい。重大な話がある。」

私はカイルにそう告げる。すると、カイルは怪訝そうな顔一つしないで、

「わかりました。父上。」

と全てを察しているかのように言う。





「失礼します。」

俺はそう言って、父の部屋のドアを開ける。

「よく来たな。では、そこの椅子にでも座ってくれ。」

俺は促された席に座る。

「それで、要件というのはな、、。」

少し言い淀んでるみたいだ。そもそも、この話は国家機密であり、子供に話していいような内容ではない。

「実はな、王女様の余命が残りわずかなんだ。」

「そうですか、、。」

「あまり驚かないようだな。」

「まさか、王女様だとは思いませんでしたが、いずれかの方が僕の大回復魔法を必要としているということはなんとなくわかりましたから。」

俺はもっともらしいことを言う。

「そうか、、。やはり賢いな。カイルは。では、話は早い。5日後のお披露目会の前日に王女様と面会してもらう。その時に大回復魔法で使える最高の技を使ってほしい。それで治せなければ仕方あるまい。」

「わかりました。父上。」

「うむ。よろしく頼むぞ。」




翌日、よく晴れた朝、俺たちは王都へ受けて出発する。

俺ら家族全員(兄を除く)に、それぞれの専属メイド、さらに5人ほどのメイドを連れ込み3日ほどの馬車での生活となる。

「それでは、出発する!」

父上の声と共に馬車が動き出す。


「カイルとサクラにとっては、初めてライウェルと会う機会になるな。それと、エレナはこの屋敷としばらくはお別れだ。学校があるからな。」

「はい!父上!」

半泣きになりながら、姉は元気よく答える。ずっと過ごした家とお別れなんて悲しいよな、、。
















コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品