転生して、小魚から龍になる〜人化して国王に〜

ドラ猫

第六十五話 父と子

「では、食事を始めようか。」

父上の宣言により、夕食が始まる。

一通り食べたところで、家族の会話が始まる。

「さて、そろそろステータスについて聞こうか。」

「はい。」

そう言って俺は立ち上がり本来は騎士用として使われている水晶の近くへと行く。

「これが僕のステータスです。」

俺が水晶へと手をかざすと、透明な板に文字が書かれているような不思議な何かが出てくる。そこには、俺のステータスが書かれていた。


 名前:カイル・フォン・ウィルフィード
 種族:人間族
 年齢:5
 レベル:1
 状態:通常
 HP:220
 MP:350
 攻撃:150
 防御:80
 速さ:180

 固有能力:物質創造Lv.1 大回復魔法Lv.1

 スキル:基本四元素魔法Lv.1 剣術Lv.1
    鑑定眼Lv.1 練金魔法Lv.1

 称号:魔法神の加護 大地神の加護
   運命神の加護 生命神の加護
   商業神の加護 技能神の加護
   武神の加護


ーーーダン!!!!ーーー

父上が机を叩いて立ち上がる。

「な、なんだそのステータスは!?」

父上が声を荒げて言う。

やはり、この反応となるか、、。そもそも、加護の数が多すぎるし、強力なスキルが多すぎる。

「あなた、、落ち着いて、、。」

母上が少し興奮気味の父上をなだめる。

「ああ、すまなかった。しかし、ここまでのステータスとは、、、。七神全てからの加護だと、、。それに、能力値も5歳とは思えない、、。」

「ええ。驚きね。」

「カイル君すっごーい!!」

俺が水晶から手を離すと、ステータス画面が消える。

「じゃあ次は私だね。」

後ろに控えていた桜が手をかざす。


 名前:サクラ・フォン・ウィルフィード
 種族:人間族
 年齢:5
 レベル:1
 状態:通常
 HP:320
 MP:250
 攻撃:90
 防御:150
 速さ:120

 固有能力:色彩操作Lv.1

 スキル:基本全元素魔法Lv.1 鑑定眼Lv.1
                

 称号: 魔法神の加護 大地神の加護
   運命神の加護 生命神の加護
   商業神の加護 技能神の加護
   武神の加護


「はぁ〜。」

父上のため息が聞こえてくる。

「桜もか、、まあ、双子だから加護は似ていてもおかしくはないが、、。」

「サクラちゃん、すっごーい!!」

「あらあら、2人とも、母さん誇らしいわ。」


父上だけが、頭を抱え、母と姉は少し呑気だな、、。





やはりか、、、。異常なステータスになることは予想されたが、ここまでとは。寵愛や、祝福ではないものの、七神からの加護など聞いたことがない。それだけで、神々から守られた存在なのがわかる。

すなわち、神の子なのではないかと。


ウィルフィードの奇跡において、私たちを救ってくれたのは、金髪でオッドアイの青年であった。オッドアイを持つ人というのは神に通ずる何かを感じさせ、幸運の印であるとされてきた。

そして、カイルとサクラは2人ともがオッドアイだ。それに、、、

カイルに至っては、あの奇跡を起こしてくれた英雄に特徴が酷似している。

まさか、本人か!?と思ったこともあったが、流石にそれはあり得ないだろうということで、もしやその子供ではないのか?という考えに至った。あの英雄がもしかしたら降臨された神であって、その子供を我々に預けてくださっているのではないかと。

少なくとも、あの英雄とカイルたちはなんらかの関係があると思っている。それが、本当の親子ではないのだとしても。


改めてカイルとサクラを見る。この子たちは5歳にしては大人しい。今までわがままを言ったことが一度もないのだ。それこそ、姉のエレナは事あるごとにあれが欲しいだのいってくるのだが、、、。

その面から考えても、やはりこの2人は異質であると感じる。しかし、どんなに異質であったとしても、私たちセリナと2人でしっかり育てると決めたのだ。もし、生みの親が神だったとしても、俺たちがここまで育てたのだと自信が持てるぐらいに。おそらく、俺に信託をくださった神は俺にそういうことを望んでいるのだと思う。

育て方に関して、何もおっしゃっておられなかったのがその証拠だ。私の思うように、本当の子供であると思って教育をする。それが大事であると思っている。

だから、姉のエレナ、兄のライウェルと比べて特別扱いなどせず公平に接している。後継にするのもカイルではなく長男のライウェルと決めている。

もしかしたら、また神託があり、カイルとサクラを引き取りに来る時が来るかもしれないが、それは俺の力が及ばないところにあるので考えないことにした。その時はその時なのだ。


それは置いといて、今回のこのステータスいかがしたものか、、。 

貴族にはステータス公表の義務がある。それは貴族間の力関係を保つのに重要な事であるし、国規模の有事の時にはその力が必要になる可能性もあるので、情報の統制は必要なのだ。

おそらく、全神からの加護など報告しても信じてくれるのは王や数人の交流のある貴族ぐらいだろう。

しかし、偽ステータスの公表は重罪となる。それで、取り潰しになった貴族も過去に入るほどだ。だから、最終的には信じられることになると思うが、、、。

逆に、信じられたら信じられたでまた厄介な問題が出てくる。

カイルとサクラを狙った婚約の申し込みが殺到したり、引いては、国のためだとか言い、カイルとサクラを一生国の奴隷として働かせるなども考えられる。


そこで、私はもう一度カイルのステータスを思い出してみる。

固有能力が二つもあるのか、、。物質創造と大回復魔法!?

先程は見た瞬間に称号に飛びついてしまい深く考えていなかったが、、、。

これまた、貴族に利用されそうなスキルだな、、。特に大回復魔法、、。存在は知られているが、実際に持ってる人などいなかった伝説というべき魔法。

まさか、それを使えるとは、、、。

私は、五年前の王城での王とのやり取りを思い出す。

第二王女は5年前の瘴気の影響で病弱となっている。瘴気の影響でというのを知っているのはほんの一握りの人間だ。それが触れ回ったら、瘴気が移るなど迷信めいたことを言い出す人が出て要らぬ中傷がある可能性があるからだ。ただの生まれつき病弱となっている。

今まで何人もの回復術師が王女を治そうとしていたが、治らなかった。伝説級である完全回復薬パーフェクトポーションでさえ治らなかったとの噂だ。

だが、、もしかしたら、カイルなら、王女を治せるかもしれない、、、。

私はそう淡い期待と共にそう思ってしまった、、、。






「カイル、サクラ。一月後に、王都でのお披露目会がある。これは、貴族間での新たな信頼を築く重要な場だ。しっかりと準備をしておくように。」

父上が真剣な顔で俺たちに言う。

「「わかりました。」」

「それと、2人には家庭教師をつけようと思う。カイルは、魔法、剣術、勉強。サクラは魔法、勉強、令嬢作法だ。家庭教師は明日来ることになっている。楽しみにしていてくれ。」

「はい!!」

家庭教師かー。楽しみだな。

「それと、カイルは大回復魔法のレベルを上げれるように努力しなさい。それはきっと何かの役に立つはずだから。」

「わかりました!」

なるほど。俺は完全に父上の考えを理解した。おそらく、俺に大回復魔法のレベルを上げさせて、一ヶ月後の王都で王女を治させようと言う魂胆だな。

俺にとっても都合がいいから、大人しくレベルを上げてるフリでもしていよう。正直今の俺にスキルのレベル上げなど必要ないからな。そんなもの創造之王オメテオトルでレベル十の段階で作り出せば良いからだ。






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