転生して、小魚から龍になる〜人化して国王に〜

ドラ猫

第六十六話 家庭教師

ついに、今日は家庭教師が来る日だ。実はソフィアに聞けば、誰が来るのかなんて丸わかりだが、もちろん俺はそんなことはしない。

「どんな人が来るんだろう?」

「優しい人がいいな、、。」

正直、日本で過ごしてきた俺たちにとってこの世界の勉強、さらには五歳児の勉強なんて簡単すぎると思うが、桜には今まで全く知らなかった令嬢の作法なんてものもやらなくてはならないのだ。不安になっても当然である。

「お!来たみたいだよ。」

俺たちは屋敷の外で母親と数人のメイドたちとで待っていたところ、馬車がやってきた。すると、二人の人影が馬車から降りてくる。


「この度はお招きくださいましてありがとうございます。私の名はローラと申します。A級冒険者です。」

「私は、リズです。A級冒険者です。」

おお!二人ともすごく綺麗な人たちじゃないか。それにA級冒険者なんてすごいな。ちなみに2人の容姿は、

ローラさんが金髪のポニーテールで、リズさんは水色のショットカットだ。どちらかというとローラさんが明るい感じで、リズさんがおとなしい感じだな。

「「よろしくお願いします。」」

俺たちは頭を下げる。


そういえば、この2人は冒険者だと名乗っていたが、桜に令嬢作法なんて教えることができるのだろうか。

【この人たちは元貴族のようです。昔の名前は、ローラ・フォン・マータルト、子爵令嬢。リズリア・フォン・マルビーク、男爵令嬢です。どうやら、嫁入りを拒んで冒険者になったようです。】

へー。それなら納得だ。


「では、二人を部屋まで案内して頂戴。」

義母がメイドにそういうと、2人は屋敷の中に入っていった。

「優しそうな人たちでよかったな。」

「うん!それに綺麗な人たちだったね。兄さん。手出しちゃダメよ。」

おいおい。五歳児がそんなことするかよ笑。俺は信用されてないのかな?

「しねーよ笑」


「ん?なんのお話ししてるの?」

母上が話に混ざろうとしてくる。流石に今のは五歳児の会話ではないだろう。

「お二人が優しそうな人たちでよかったな、と。」

「そうね。でも、あの子たちは元貴族令嬢よ。優しそうに見えたって、実はそうでないかもしれないから油断しないことね。ふふふ。」

こ、こえー。貴族の女の世界ってとことん怖いな。あれだろ。外見だけ仲良く見せてはいるが、実は心の中で悪口言ってるみたいな。そういう腹黒な世界なんだろ。


「では、私たちも戻りましょうか。カイル。サクラ。しっかり頑張りなさい。」

真面目なトーンで母上はいう。いつも俺たちを甘やかしてくるから、すこしギャップを感じる。

「もちろんです。」

「頑張ります!」





「じゃあ、まずはお互いの自己紹介といきましょうか。」

家の中庭でリズ先生のはじめての授業が始まった。どうやら、俺の家庭教師はリズさんで、桜の方はローラさんがつくらしい。

「まずは、私からですね。改めて、私の名前は、リズと言います。得意なのは氷魔法だけど、全四元素魔法扱えます。それに回復魔法も。それと、剣術と弓術、拳術くらいなら教えられます。勉強も任せてください。」

へー。ステータスも見てみるか。

【名前:リズ
 種族:人間族
 年齢:18
 レベル:240
 状態:通常
 HP:680,000
 MP:760,000
 攻撃:720,000
 防御:620,000
 速さ:475,000

 固有能力:凍結魔眼Lv.3
 
 スキル:魔力操作lv.5 魔力感知Lv.6
    上位四元素魔法Lv.3 回復魔法Lv.5
    基本四元素魔法Lv.10

 称号:魔法神の加護 商業神の加護】

ん?凍結魔眼って?

【視界にいるものを瞬間で凍らす魔眼のことです。これは光速以上のスピードがないものは避けられません。】

なるほど。かなり強いんじゃないか?それ。光速以上のスピードを持ってる人間はそうそういないだろうし。

ついでに、今桜の部屋で仕事をしているローラの方のステータスも見てみようか。

【名前:ローラ
 種族:人間族
 年齢:18
 レベル:235
 状態:通常
 HP:750,000
 MP:620,000
 攻撃:530,000
 防御:670,000
 速さ:395,000

 固有能力:完全暗記Lv.5 睡眠魔声Lv.7
 
 スキル:魔力操作lv.6 魔力感知Lv.5
               上位四元素魔法Lv.2
    基本四元素魔法Lv.10

 称号:魔法神の加護 大地神の加護】

睡眠魔声と完全暗記か。

これで、だいたいわかったぞ。2人が結婚せずに冒険者になった理由が、、。

ずばり、魔眼と魔声のせいだな。

【それもあります。】

それも?

【はい。求婚をしてきた男に魔眼や、魔声のことを伝えるとすぐに離れていく、ということが何回も続いたのでしょう。それによって、男を信じなくなったのです。ただ、魔眼や魔声がなくとも、単純に政略結婚が嫌だったようですので。】

なるほど。そりゃーひどい話だな。魔眼や魔声にはそういう偏見がやはりあるのか。2人には、しっかりとした男と結婚し合わせになってもらいたいものだ。

さて、話を戻そうか。今はリズ先生との自己紹介タイムだった。

「改めて、僕の名前は辺境伯が次男、カイル・フォン・ウィルフィードです。魔法なら少し使えますが、武術はあまりやったことはないです。これからよろしくお願いします。あ、それと、リズ先生は先生なんですから、僕に敬語を使うのはよしてください。」

5才児感を出すために僕という一人称にしといた。桜やクリスの前以外では、だいたい僕を使っている。

「うん。わかったよ。じゃあ、これからよろしくね。」

「はい!!」 

俺は元気よく返事をした。


「じゃあ、まずはどのくらい魔法を使えるのか知りたいな。見せてくれるかな?」

魔法か、、。なににしようか。やっぱり始めが肝心というし、多少は俺の実力をわかっておいてもらった方がいいか。

うーん。庭に被害が出ないのがいいな。じゃあ、火魔法を空に向かって放つか。


「じゃあ、行きます。ファイヤショット!」

あ、やべ、、。やり過ぎた、、、。

そこには明らかにファイヤショットのレベルではない、おそらく炎魔法と同等レベルの炎が放たれた。

「えええ!?」

案の定、リズ先生は驚く。

「う、うそ、、。あなた本当に5歳?ち、ちょっとステータス見せてもらえないかしら?」

本来ステータスは家族や信頼のおけるものにしか教えてはならない。ステータスを知られるということは同時に自分の弱みを見せることと同じだからだ。
  
「ええ、いいですよ。では、騎士団の訓練場に行きましょうか。そこに水晶がありますから。」

「ええ。わかったわ。」


こうして、だんだんと俺の異常さが広まっていってしまうのだった。



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