転生して、小魚から龍になる〜人化して国王に〜

ドラ猫

第五十九話 冒険者

俺たちが銀の宿に来てから、2週間がたった。

銀の宿は1週間前から営業を再開して、俺ら以外のお客さんも来るようになったが、俺たちは以前、あの広い部屋を使わせてもらっている。

そして、今日からついに冒険者ギルドが再開するということなので、今日は冒険者デビューをすることになった。

「いい?冒険者には、まともな人もたくさんいるし、一生懸命な人もたくさんいる。けどね、一部、柄の悪い人もいるの。あなたたちはすんごく可愛いんだから気をつけてね。ルイちゃんが強いのはわかってるけど、もっと凄い人たちが冒険者にはってこと忘れないように!わかった?」

「「は、はい。」」

アルダおばさんは心配性だな。まあ、俺が逆の立場だったら同じ態度を取るだろうからあまり強くはいえない。




〜冒険者ギルドへの行き道にて〜

「ねぇ、やっぱりさっきから人に見られるんだけど、、。」

「しょうがない。俺たちは顔が可愛いから、、。」

「えー。こんなんじゃ、冒険者ギルドで絡まれちゃうよ。正直めんどくさい。」

それはめんどくさいな。正直、そういう目的のおっさんと話したくないし。目も合わせたくない。

「うーん。じゃあ、仮面でも被るか?」

俺は以前分身たちに作った仮面を思い出す。

「あ!それいいじゃん!ついでに、自動的に認識阻害もつけといてよ。自分でやるのめんどくさいし。」

おいおい。そこまでめんどくさくはないだろ。だが、まあいいか。

「わかった。ソフィア。なんかいいのを頼む。」

【わかりました!】

そして、俺は両手を広げると、例の如くその上に仮面が二つ作られた。

【これなんていかがでしょう!】

「す、素敵!」

「前より、デザイン力上がってないか?前のでも十分凄かったのに、今回はそれを超えてきたな。」

そこには、白色を基調として、桃色、金色、銀色の線が鮮やかな模様を描いた仮面があった。所々に、水色の水玉模様があるのもいいな。

【性能も以前より上がりましたよ。】

「お、じゃあ、見せてくれ。」

【名称:銀湾の仮面ガラクシア
 等級:神話級
 効力:無限魔力 究極無効 認識自動】

「やっぱり兄さんはすごいね。」

「まさか神話級をだすとはな、、。」

俺にとってはあまり必要ないかもしれないが、これを一般人に渡したら、戦争が起きるだろう。俺たちがいなかったら世界を滅ぼせるぐらいの力があるからな。まさしく神話に出てくるような仮面だ。





「ここだな。」

そこには、領主邸以外の建物で、街で一番大きい建物があった。訓練場が併設しているから大きいのだろう。

「じゃあ、入ろっか。」

俺と桜はドアを開けて中に入る。

建物の中はまっすぐに行くと受付があり、右側には依頼書がたくさん貼られた壁があり、左側には大きな空間があり、テーブルや椅子がある。その空間はおそらく酒場や休憩所なのだろうか、多くの人が飲み食いをしていた。

俺たちは仮面をつけたまま受付までまっすぐに歩く。

ここで、仮面の認識識別について話しておこう。

普通の人たちには俺たちが"なんかいる"程度にしか認識されず、興味を示されることはない。悪意を持った人間にはさらにその傾向が強まるようになっている。



「あの、冒険者登録をしたいんですけど。」

俺は受付にいる女の人に話しかける。

「はい。冒険者登録ですね。身分証はありますか?」

「あります。」

そう言って、俺たちはこの街に入る時に俺が作った身分証を出す。

「では、この身分証を冒険者証ライセンスに変更しますがよろしいですか?」

身分証とは冒険者以外が持つものであり、冒険者はその身分証をもとにして作った冒険者証ライセンスを身分証明として持ち歩く。 

「はい。お願いします。」

「では、少々お待ち下さい。」

そう言って、受付のお姉さんは奥の部屋に入っていく。






「はい。作り変えれましたよ。では、冒険者の説明をします。」

お姉さんは冒険者証ライセンスを手渡しながら言う。

「冒険者はFからAまでのランクがあり、お二人はFランクから始まります。また、そちらにステータスを見ることができる水晶がありますのでぜひ活用してください。あと、依頼は自分のランクの前後のランクの依頼まで受けれます。違約金もあるので気をつけてください。では、頑張ってください。」

「わかりました。」

説明を聞いたあと、俺たちは依頼書が貼られた壁のところにやってきた。

「俺たちはFランクだから、この辺か。」

ランクごとにある程度纏まっているからわかりやすい。

「薬草取りとスライム狩りばっかだね、、。」

「まあ、Fランクって、一般人とステータスあまり変わらないことが多いししょうがないよな。」

「じゃあ、薬草取りにしない?スライムは狩ったことあるけど、薬草ってあんまり意識したことなかったし。」

「そうだな。多めにとって、自作ポーションを作ってもいいかもな。」

「うん。でも、兄さんなら、ポーションくらい一瞬で作れるでしょ、、、。」

「ま、まあな。それはそれ。これはこれだ。」

こうして、俺たちはFランク依頼の薬草取りをすることになった。





「これと、これだね。」

俺たちは今薬草を摘んでいる。正直、鑑定眼を持つ俺たちにとっては仕分けなど簡単だから、単純に詰むだけの作業になっている。普通は図鑑と見比べながら、雑草を取らないように気を付けて行わなければならない作業なのだが、、、。

「もうこれぐらいでいいだろ。目安量の二倍はあるだろ。自作ポーション用も十分だし。」

俺は自分の亜空間に収納した薬草の量を確認してから言う。

「そうだね。ちょっと取りすぎちゃったかも。ん?この気配って、、、?」

桜と俺は魔物の気配を感じとる。

「これは、ギカントボアだな。なんでこんなところに、、。」

ここは、領都から出てすぐちかくの森だ。魔の森の近くとはいえ、A−ランクのギカントボアが居ていい場所ではない。

「ま、ちょうどいいや。ギルドで素材の料金をもらえるし。」

「兄さんって、お金も作れるよね、、。」

「作れるが、それをしないのが俺だ。」

ちょっとカッコをつけて言う。さすがにそれはやってはダメだろう。あるところから急にお金ができてしまえば、経済が狂ってしまう。まあ、必要になったら普通にするが、必要になる時などそうそうこないだろう。

俺は風魔法ウィンドカッターで、ギカントボアの首を落とし、すぐさま亜空間に入れる。

「さ、ギルドへ戻ろうか。」

「さすがの早技ね、、。」




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