好き同士ってめんどくさい

Joker0808

第52話

俺とユートは山道を歩き、反乱軍の隠れ家を探していた。

「クソッ! なんでこんなところに隠れ家を!!」

「一目に付かないようにじゃない?」

「それらしき建物なんてどこにも無いし!」

「そりゃあ隠れ家だからね」

「クソッ!! 早くしないと!!」

「悠人、少し落ち着いたらどうだい? 気持ちは分かるけど、焦ったってなにも良いことなんて無いよ」

「焦ってなんて居ない! 俺は!!」

俺は思わずユートを怒鳴ってしまった。
そうは言うものの自分では良く分かっている、自分が焦っている事も冷静ではないことも……。

「君は……やっぱり僕なんだな……」

「はぁ? いきなりなんだよ……」

怒鳴った俺に対してユートは笑顔でそう言った。

「なんで笑ってんだよ」

「いや……昔の僕と君が良く似ていると思ってね」

「は、はぁ?」

「僕も昔、アーネ攫われた時は焦ったよ……心配するあまり、冷静さを失っい、行き場の無い怒りを仲間にぶつけてしまった」

「……何が言いたいんだよ」

「僕はその時、仲間に言われたんだ……自分一人で抱え込むなと……だから君も自分一人で抱え込まないで欲しい、僕も彼女が心配だ、君は一人じゃない、僕も居るしアーネも付いている。だから……落ち着いて冷静に考えよう」

「………悪い……熱くなってた……」

「分かってくれたなら、それで良いよ」

ユートの言うとおりだ、心配しているのは俺だけでは無い、ユートだってアーネだって心配してくれている。
それに俺だけが突っ走ったところで何も解決しない。
「建物を魔法で隠しているとしたら、魔法の痕跡がどこかにあるはずだ……それを探そう」

「あぁ、その痕跡って言うのはどうやって探すんだ?」

「そうだな……例えば景色が不自然だとか……」

「景色が不自然なところか……」

俺は周囲を見渡し、不自然なところが無いかを探す。 すると、明らかに不自然な立て札を発見した。
立て札には「危険立ち入り禁止」と書いてあったが、周囲に何か危険な様子は無い。

「なぁ……アレってなんか変じゃないか?」

「ん? 立て札か……確かにおかしいな……危険と書いている割には何も無いし……しかも不自然な魔力を感じる……もしかして、この奥か……」

俺とユートは立て札の奥の森の中に入って行く。
特に俺から見て変わった様子は無いのだが、ユートは何かを感じているらしく、終始警戒している様子だった。

「なぁ……何かあるのか?」

「あぁ……どうやら当たりのようだ……フン!!」

「うぉっ!!」

ユートは突然俺の脇にあった木を切り倒す。

「あぶっねーな!! なんだよ急に!!」

「見れば分かるよ」

「え? な、なんだ!?」

ユートの切った木が倒れずにそのまま煙を出して消えていった。

「なんだ……消えた?」

「あぁ……魔法で出来た木だ……ここら辺一体が魔法でカモフラージュされてる証拠だよ」

「じゃあ、この奥が!」

「そうだ……可能性は大きい、急ごう!」

「おう!」

俺とユートは森の奥に走り出した。
道は一本道だった。
細い林道になっていて、あまり日が当たらず、薄暗い。

「なんか不気味だな……」

「そうだね……まぁ隠れ家なんて言うくらいだからね……」

そんな事を言いながら走っていると、俺の足に何かが触れた。

「ん? 何かに……触ったような……」

「どうかしたかい?」

「いや……何かに触れたようなって……うわっ!!」

「悠人!!」

俺が足下を確認しようとした瞬間、俺の足に植物が絡みつき、俺を宙吊りにする。

「な、なんだぁ!?」

「魔物か!!」

俺を宙吊りにしたのは、大きな花の化け物だった。
触手のように複数の植物の根を動かしており、頭には大きな口が付いている。

「クソッ!! 急いでるって言うのに……悠人! ジッとしていてくれ! 今すぐに片付ける!!」

ユートはそう言うと、剣を抜き構える。

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