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好き同士ってめんどくさい

Joker0808

第26話




放課後、俺はいつものように帰宅しようと準備をしていると、またしてもうるさいのが教室にやってきた。
「緒方君! 一緒帰ろう!」

「お前……部活は無いのかよ……」

「職員会議で休みって言われちゃって」

「他の奴と帰れば良いだろ?」

「折角誘ってるのに……」

俺は西井と話しをしながら、ふと彩の机をちらっと見る。
彩はもう既に帰った後だった。
きっと今日も仕事なのだろう、俺はそんな事を考えながら、西井の方に視線を戻す。

「悪いけど、今日は真っ直ぐ家に帰る予定だから」

「じゃあ私も真っ直ぐ付いて行くよ!」

「付いてくんな! ストーカーか!!」

「ある意味、そうかも!」

「否定しろよ!」

結局西井は俺の側を離れず、一緒に帰る形になってしまった。
俺はため息を吐きながら、西井と共に帰り道を歩く。 丁度グランドの脇を通ろうとした時だった。
グランドの端っこで、一人準備体操をする男子生徒を見つけた。
よく見ると、どこかで見た顔だ。
俺は目を凝らして見てみると、昨日俺に因縁を付けてきた、西井と同じ陸上部の男子生徒だった。

「おい、部活って今日は無いんだよな?」

「え? うん、休みって先生言ってたし」

「じゃあ、あいつは何してんだ?」

「あ、康一君! 自主練かな?」

康一はこちらに気づかないまま、自主練を続ける。
昨日の一件以来、俺は康一の事が気になっていた。
やっぱりどこかであった事があっただろうか?
あんな態度を取られる覚えが無い。
やっぱりただ単に俺が西井と仲良くしてたからか?
俺はそんな事を考えながら、グランドの脇を通り過ぎて行く。

「お前は自主練しないのか?」

「わ、私は家に帰って筋トレするし!」

「絶対しないだろ」

隣の不真面目な陸上部員を見ながら、俺は康一の事を考える。
なんか……昔の俺みたいだな……。
彩と少しでも釣り合う男になろうと、俺も努力した時期があった。
でも、彩はどんどん俺との差を広げて行った。
そして彩がアイドルになり、俺は気がついてしまった。
俺では彩とは釣り合わないと……。

「ねぇ、緒方君って昔は何かスポーツしてたの?」

「ん? 小学生の頃は空手に柔道、あとは截拳道」

「石けん道?」

「なんだその泡立ち良さそうな武術は………ジークンドーって言えば分かるか?」

「あー! 聞いたことある!! て言うか、武術ばっかりだね」

「まぁ、色々あってな……」

彩と仲が良いと言うだけで、俺は昔から同姓の恨みを買っていた。
彩の告白を断れば、お前のせいだと因縁を付けられた。
可笑しな話しだが、毎回そのせいで俺は暴力を振るわれた。
だから、自分自身で強くなり、自分の身を守ろうとした。
いや、それだけではない。
将来、彩の事も守れれば良いなと思って、俺は強くなったのだ。

「後……中学の時は陸上もやってたな」

「うん、知ってるよ」

「なんで知ってるんだよ。中学違うだろ?」

「私だって中学時代は陸上部だもん! 大会とかで見たことない?」

「ない」

「即答!?」

「だって無いし、あったら言う」

「ま、まぁそうだけどさ………本当に覚えてないし……」

「何か言ったか?」

「なんでも!」

「おわっ! 危ねーだろ!」

西井はそう言いながら、俺に手に持っていた鞄をぶつけようとしてきた。

「っち……避けられた」

「舌打ちすんな!」

なんなだいきなり……。
覚えが無いものは無いんだから仕方ないだろうが……。
俺はそんな事を考えながら、西井に尋ねる。

「そういうお前は、俺の事見たのかよ」

「見たから、告白したんだけど?」

「は? どう言うことだ?」

「なんでもなーい! 知りたいなら、思い出して見れば~」

「はぁ?」

思い出す?
俺は康一以外にも西井とどこかで昔会っているのか?

「教えろよ」

「私を生涯愛して、添い遂げるなら教える」

「要求がぼったくりレベルで高いから遠慮する」

結局西井は俺の家まで付いてきた。
俺の部屋に入ろうとしたが、俺はそんな西井を止め、家まで送っていった。

「ぶー……いい加減入れてよ」

「その言い方やめろ、誤解を招きそうだ」

「えっち!」

「うっせ! じゃあな」

俺はそう言い、西井の家を後にする。
帰り道、俺は西井とどこであったのかを考えていた。 出会っているとすれば、陸上の大会か、陸上部関係の出来事だろうか?
しかし、あんなうるさい奴と会っていれば、嫌でも覚えていそうなものだが……。





「お疲れさまでーす」

私はそう言って、レコーディングスタジオを後にする。
今日は新曲のレコーディングがあり、私は二時間ほどスタジオで仕事をしていた。
これでようやく帰れる。
私はそんな事を思いながら、軽い足取りで帰る準備を済ませる。
帰ったら悠人とまた話しをしたい。
学校で話せない分、家に居る時はいっぱい話しをしたい。
そんな事を考えながら、帰ろうとマネージャーの車を待っていると、真剣な表情のマネージャーが事務所の社長とやってきた。

「あの……なんですか?」

「彩音ちゃん! 昨日の事をちゃんと話しましょうか」

「早くないですか?」

昨日の事とは、私がアイドルをやめたいと言った事であろう。
後日、社長を交えて話しをしようと言ったけど……早すぎない?
今日は早く帰りたいのに……。
私はそんな事を考えながら、スタジオ内の空き部屋で社長とマネージャーの村北さんと話しを始める。

「えっと……彩音ちゃん……」

「はい」

「な、なんでアイドルをやめたいの? 今はかなり調子も良いし……このまま行けば、間違いなく今年の紅白も……」

「いえ、別にアイドルになるのが夢とかじゃなかったですし、それに……夢を叶える為にアイドルって肩書きが邪魔になって」

「何この子……すっごい直球で凄いこと言った……」

私の回答に社長は驚いていた。
村北さんも肩をがっくりと落とし、若干泣き目になっている。

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