今日からフリーになりまして

Joker0808

第49話

な、なんだか……初めてのデートを思い出すな……最近はデートしても怒れてばっかりだったから、なんか新鮮で良いな。

「んじゃ行くか」

「うん」

藍原にそう言い、俺は藍原を連れて水族館に向かい始める。
俺が藍原の一歩先を歩いていると、ふと手に何かが触れるのを感じた。

「え……」

「あ……いや、その……手とか繋いでも良い?」

「あ、いや……ちょ、ちょっと恥ずかしくないか?」

いきなりどうしたんだ藍原は……。
付き合ってた頃も恥ずかしいからって、手を握ったこと無かったのに……。

「ん……いや、その……握ったこと無かったから……握りたいかな……って思って」

「お、俺は……その……」

柔らかく小さな手は俺の手をギュッと握って話そうとしない。
俺はそんな藍原の手を振りほどくことなど出来るはずもなく……。

「じゃ、じゃぁ……このまま行くか」

「うん……」

そのまま手を握って水族館に向かった。

「あ、歩くの……早くないか?」

「だ、大丈夫……」

あぁ……なんで別れた後にこんなドキドキするデートをしてんだよ!!
おかしいだろ!!
自分自身にそう言い聞かせながら、平静を装った。

「さて、入場券買うか……あ、一回手……離すぞ?」

「あっ……う、うん」

券売機で入場券を買い、俺たちは中に入っていく。
休日と言うだけあって、水族館は混んでいた。

「この道順通りに進むのか」

「みたいだね」

「えっと……最初は海の魚たちか……」

最初の水槽には海に生息しているのであろう魚が展示されていた。

「うーむ……なんかパッとしないな……アジとか昨日晩飯で食べたし……」

「もう、食べる事しか考えてないんだから。あっ! ほら、サメ!」

「へぇ~サメってこんな小さいのも居るんだな……」

順路通りに進みながら、俺と藍原は水族館の中を回っていく。

「うわぁ……なんか深海の魚って不気味だな……」

「なんかグロイよね……」

「こっちはクラゲか……なんか地味だな」

「そう? 綺麗じゃない?」

「あ、そう言えばクラゲも食えるのかな?」

「もう、食べることばっかりね……お腹でも空いたの?」

「いや、そう言う訳じゃないけど」

「じゃあ、次はペンギンでも見に行こう」

「ペンギンは食え……」

「いや、食べれるわけ無いでしょ!」

まぁそうだよな。
俺と藍原はそんな話しをしながら、水族館を回った。
なんとなくだが、やっぱり付き合っていたころよりもなんだか気が楽だし楽しい。
何よりも藍原が楽しそうなのが、俺にとっては嬉しかった。

「可愛い~!」

そう言いながら藍原が見ているのは、ペンギンだ。
飼育員さんの後をよちよち足で歩いている。 俺が見ても可愛いのだから、女子からしたら相当可愛いんだろうな。
藍原は可愛いを連呼しながら、スマホで写真を撮りまくっている。

「いやぁ~可愛かったなぁ~」

「そうねぇ~癒やされたわぁ~」

「そろそろ腹減らないか?」

「湊斗が減ったんでしょ?」

「まぁ……それもある」

「もう……じゃあ何か食べに行く?」

「そうだな」

「何食べたい?」

「魚以外」

「あれ? お魚って言うかと思ったのに」

「いや……なんか色んな魚見たら食べる気が失せたっていうか……」

「主に深海魚のコーナーを見たからでしょ? じゃあお昼はファミレスでハンバーグ?」

「いや……今日はドリアとかにしようかな?」

「あれ? ハンバーグ好きじゃなかった?」

「……覚えてたのか?」

「ま、まぁ……その……好きだし……」

そんな事をそんな顔で言うなよ……。
ドキッとするだろうが……。
俺と藍原はそんな話しをしながら、ファミレスに向かった。
少し並んだ後、席に着くことが出来た。
やはり休日とあって、どこも混んでいる。

「藍原はどうするんだ?」

「……あのさ……」

「ん? なんだ?」

「いや……私は湊斗って呼ぶけど……なんで湊斗は私を由羽って呼ばないの?」

「え? そ、それは……」

考えて見ればなんでだろう?
てか、なんで藍原は俺を名前で呼ぶようになったんだっけ?

「もう付き合いも長いんだし、名前で呼んでくれても……」

「た、確かにそうだな……じゃ、じゃあ名前で呼ぶ努力をするよ」

「じゃあ、呼んで見てよ」

「え!? あ、じゃぁ……ゆ、由羽」

「う、うん……な、なんか恥ずかしいわね」

「お、お前が言えって言ったんだろ!!」

はぁ……彩葉も藍h……いや由羽もなんで呼び方にこだわるんだか……。
呼ぶこっちは結構恥ずかしいのに……。

「ねぇ……」

「ん? どうした?」

「昨日は……どんなデートだったの?」

「え……」

昨日のデートとは彩葉との事だろう。
やっぱり気になるのか……。
俺は由羽に昨日のデートの事を話した。

「あぁ……じゃあ湊斗の特技が役にたったんだ」

「まぁな、一年前……藍は……由羽も驚いてたな……」

「懐かしいわね……あの時は猫のぬいぐるみを取ってくれたわよね?」

「良く覚えてるな……また何か、取って欲しかったら言えよ」

「うふふ、じゃあそのときはお願いするわ」

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