今日からフリーになりまして

Joker0808

第44話

「うぉ! な、なんだ?」

「うわぁ! また大当たり!! 9999枚だって!!」

「これ消費出来ないんじゃ……」

大量に出て来るメダルを集めながら、俺はそんな言葉を呟く。
凄いな……今日はかなりついているようだ。 もう今日一日では使い切れない程のメダルを稼ぎ、俺たちはメダルゲームをやめた。

「凄いな……まさかこんなに増えるとは……」

「え? いつもはこんない増えないの?」

「直晄と来ても100円分のメダルでもって三十分かな? 清瀬……じゃなくて、い…彩葉さんセンスあるんじゃない?」

「あ、いま清瀬さんって言いかけた」

「うっ……だ、だから慣れないんですよ!」

「うふふ、冗談よ。まだ慣れないわよね? 無理しなくて良いから、少しづつなれてね」

笑顔でそう話してくる彩葉に俺は頬を赤く染める。
やっぱりこの人……すげー可愛い……しかも話してて楽しいし……なんか不思議とあんまり緊張もしない。
俺たちは稼いだメダルを店に預けて、次はクレーンゲームコーナーに向かった。

「クレーンゲームも色んな形式のがあるんだねぇ~」

「爪で引っかけて落とすやつとか、ボールを穴に入れるやつとか、色々あるよね……実は俺得意だったり」

「えぇ~? 本当?」

「あ! 疑ってるな! なら証明して見せようじゃないの!」

「あんまり無理しなくて良いからね、無駄使いはダメだよ?」

「まぁ、任せてよ!」

俺はそう言いながら、クレーンゲームの台の前に立つ。
狙うはクマを模したゆるキャラのぬいぐるみだ。
正直可愛いとは思わないが、さっきから彩葉が見ていたし、気になっていたのだろうな。
「えっと……どうなってるのか……」

俺は台の中を見回しながら、どうやってぬいぐるみを取るかを考える。
これなら、ぬいぐるみを一回起こして、タグに爪を引っかければ行けるかな?

「よし、まずは100円で」

「大丈夫?」

「うん、多分200円でいける」

「本当にぃ~、そんな事を言っちゃって大丈夫?」

「うん、多分ね……」

俺はアームを動かし、まずはぬいぐるみの頭を掴んで状態を起こそうとする。

「よし! 上手くいった!」

「え? 起き上がっただけだよ?」

「それで良いんだよ、見てて」

俺はもう100円を入れて、再びクレーンゲームのアームを動かす。
ぬいぐるみについているタグを狙い、俺はアームを動かす。

「よし! 良い感じの位置だな……あとは上手く引っかかってくれれば……」

俺がそう思っていると、クレーンのアームの爪はぬいぐるみのタグに引っかかった。

「よし! 取れた!」

「え? 嘘!?」

ぬいぐるみはそのままアームの爪に引っかかって持ち上がり、そのまま取り出し口に落下した。

「おぉ! 本当に取れた!」

「だから言ったでしょ……はい、あげる」

「え? 良いの?」

「良いも何も、その為に取ったんだし。俺は要らないから」

「ありがとう!」

俺がそう言うと、彩葉は満面の笑みで笑いながら、ぬいぐるみを受け取った。

「ほらな、得意だろ?」

「以外だったなぁ~。取れなくてムキになって、何千円も使うのを想像してたのに」

「本当に信じて無かったんだ……直晄とかと良く来るから得意になったんだよ」

「へぇ~、デートでこんな簡単に景品取るなんて……女の子からしたら得点高いよ」

「それは嬉しいな」

俺と彩葉はそんな話しをしながら、ゲームセンターを後にした。
メダルゲームに夢中になっていたせいか、時間があっという間に過ぎていた。
もう夕方でそろそろデートも終わりの時間だ。

「どうだった?」

「え? 何が?」

「ん……私を彼女にしたくなった?」

「ぶっ!! な、何を急に!」

公園のベンチで先程買った飲み物を飲んでいると、彩葉が急にそんな話しをしてきた。

「ごめんごめん。でも気になっちゃって……」

「ま、まぁ気持ちはわかるよ」

そうだよなぁ……気になるよなぁ……。
しかし、俺の気持ちはまだ決まっていない……だからここで答えを出す事は出来ない。
我ながら決断力が無いな……。

「ねぇ……少し昔話しをしても良い?」

「え? 急にどうしたの?」

「まぁ、聞いてよ……」

彩葉はそう言いながら、話し始めた。

「昔、私って結構人見知りが激しい方でさ……あんまり友達がいなくてさ」

「そうだったのか……」

「でも……ある日友達が出来たんだ……男の子だったけど、同じマンションに住んでて……いつも一緒に遊んでた」

「へぇ……その男の子は今何してるの?」

「ん? 私の隣に居るよ」

「え?」

ん?
彩葉の隣には俺しか居ないが……まさか……その男の子って……。

「も、もしかして……彩葉って霊とか見える系?」

「そうじゃないよ! もう! 鈍感過ぎない?」

「え? もしかしてその男の子って……」

「湊斗君だよ。まぁ、忘れてても無理は無いよね? 十年以上前の話だし」

そう言われ、俺は昔の事を思い出す。
彩葉……そう言えば、最近母さんが言っていた名前も彩葉だったな……。

「も、もしかして……あの泣き虫の?」

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