今日からフリーになりまして
第30話
藍原の両親が経営するパン屋は、この地域周辺では有名らしい。
ふわふわの記事と個性豊かなレパートリーが人気の理由だ。
そうは言っても俺は一度も藍原の家のパン屋には行ったことが無い。
行く機会が無かったというのが建前で、本音は藍原の両親に会うのが少し怖かったからだ。
まぁ、正直……別れた今の方が怖いのだが……。
俺がそう思っている間に、藍原の両親の経営するパン屋に到着した。
「ここ、裏口から入って」
「お、おう」
俺は藍原から言われるままに裏口に向かった。
店の名前は『藍パンダ』藍原の藍にパンとパンダを掛けている名前のようだ。
正直ネーミングセンスは微妙な気がするが……これでも人気店なんだよなぁ……。
裏口から入ると、そこは少し狭い事務所になっていた。
「あら、由羽おかえり」
「ただいま、連れてきたよ」
「あ、どうもはじめまして、春山湊斗って言います」
事務所に居たのは藍原の母親だった。
藍原の姉と言われても気がつかない程に若々しかった。
てか、本当に母親か?
「あぁ、君がそうなのね、よろしく」
「はい、よろしくお願いします」
笑顔で挨拶をしてくる藍原の母親に、俺は挨拶を返す。
「早速だけど、これに着替えて厨房に入って貰える? 心配しなくても、いきなりパン作ってなんて言わないから」
「はい、わかりました」
「由羽も着替えてレジやって、今レジやってる人、もう上がりだから」
「うん、わかった」
俺と藍原は制服に着替を持って更衣室に向かい、着替えを済ませた。
「藍原のお母さんと始めてあったよ」
「そう言えばそうだったね」
「なんていうか……」
「ん?」
「綺麗な人だな……」
「……ん」
「アイテテ!! な、何するんだよ!!」
「……別に……なんでも無い」
「はぁ?」
事務所で藍原の母親を待っている間、そんな話しをしていたのだが、何故か藍原の母親を褒めたら腕を抓られてしまった。
なんでこいつはいきなり怒り始めたんだ?
「じゃあ、私はもうレジに行くから」
「お、おうわかった」
そう言うと藍原はレジの方に行ってしまった。
家の手伝いとかで結構やっているのだろう、慣れた様子で接客をしていた。
「慣れてんなぁ……」
俺がそんな事を思っていると、トントンと背中を叩かれ、俺は背後を振り返った。
「君が春山君?」
「え、あ…はい」
俺の後ろには強面の背の高い男の人が立っていた。
鋭い眼光で俺を見ており、腕は俺の1.5倍は有ろうかと言うくらい太かった。
腕も足も筋肉が凄く、なんだかプロレスラーのような感じの人だった。
「厨房」
「え?」
「厨房に行くぞ」
「え? あ、はい!」
まさかこの人と一緒に仕事するのか?
てか、この人がパン作ってるの!?
全然見えないんだけど……。
てか、なんだ! あれか!
どこぞの魔女が働いてるパン屋なのかここは!?
俺は一気に緊張が押し寄せてくるのを感じた。
強面の人は口数が少なく、俺にやって欲しい仕事だけを頼むと、自分の仕事に戻って行った。
藍原の身内の人だろうか?
そうだとしても従兄とかだろうな、藍原とは全然似てないし……。
俺はそんな事を考えながら、言われた仕事をこなしていた。
仕事は主に分量を量ったり、材料を切り分けるのが主な仕事だった。
俺は藍原の手前もあったので、怒られ無いようにテキパキ仕事をした。
「すいません、他に仕事ありますか?」
「……終わったのか?」
「え? あぁはい。材料も切り分けて言われた通りに置いておきました。生地の材料も全部分けて置いておきました」
「……確認する」
「あ、はい」
言われた仕事が終わり、俺は強面の男性に報告した。
男性は俺の仕事を確認していた。
分量は間違っていないか、材料はちゃんと切られているか、細かく確認していた。
「………早いな」
「あ、あんまり早いとダメでしたか?」
「………いや、無理はしなくて良い」
「いや、無理をしてるつもりは無いんですけど……」
「……生地」
「え?」
「……生地、作ってみるか?」
「え? 良いんですか?」
「………問題無い」
俺は強面の男性に教えられ、パンの生地を作り始めた。
パンなんてあまり作った事がないから、俺は強面の男性の説明を一生懸命聞きながら、パンの生地を作った。
「……本当に始めてか?」
「え? はい、パンなんて作る機会が無かったので……」
「……そうか……」
この人は本当に寡黙だなぁ……仕事の話し意外俺になにも話し掛けてこないし。
生地も出来上がり、あとは生地を寝かせて発酵させるだけになった。
「………」
「あの……次の仕事は?」
「……ない」
「え?」
「………終わりだ」
「じゃ、じゃあ掃除でも……」
「それも終わった……」
え? こんなに早く終わるのか?
まだ20時だし……今日は21時くらいまでって聞いてたけど、もしかして早く帰らされるかな?
なんて事を俺が考えていると、厨房のドアが開き藍原のお母さんがやってきた。
「あら、あなた仕事は?」
「……終わった」
「あら、今日は早いのね、どうしたの?」
「………」
ふわふわの記事と個性豊かなレパートリーが人気の理由だ。
そうは言っても俺は一度も藍原の家のパン屋には行ったことが無い。
行く機会が無かったというのが建前で、本音は藍原の両親に会うのが少し怖かったからだ。
まぁ、正直……別れた今の方が怖いのだが……。
俺がそう思っている間に、藍原の両親の経営するパン屋に到着した。
「ここ、裏口から入って」
「お、おう」
俺は藍原から言われるままに裏口に向かった。
店の名前は『藍パンダ』藍原の藍にパンとパンダを掛けている名前のようだ。
正直ネーミングセンスは微妙な気がするが……これでも人気店なんだよなぁ……。
裏口から入ると、そこは少し狭い事務所になっていた。
「あら、由羽おかえり」
「ただいま、連れてきたよ」
「あ、どうもはじめまして、春山湊斗って言います」
事務所に居たのは藍原の母親だった。
藍原の姉と言われても気がつかない程に若々しかった。
てか、本当に母親か?
「あぁ、君がそうなのね、よろしく」
「はい、よろしくお願いします」
笑顔で挨拶をしてくる藍原の母親に、俺は挨拶を返す。
「早速だけど、これに着替えて厨房に入って貰える? 心配しなくても、いきなりパン作ってなんて言わないから」
「はい、わかりました」
「由羽も着替えてレジやって、今レジやってる人、もう上がりだから」
「うん、わかった」
俺と藍原は制服に着替を持って更衣室に向かい、着替えを済ませた。
「藍原のお母さんと始めてあったよ」
「そう言えばそうだったね」
「なんていうか……」
「ん?」
「綺麗な人だな……」
「……ん」
「アイテテ!! な、何するんだよ!!」
「……別に……なんでも無い」
「はぁ?」
事務所で藍原の母親を待っている間、そんな話しをしていたのだが、何故か藍原の母親を褒めたら腕を抓られてしまった。
なんでこいつはいきなり怒り始めたんだ?
「じゃあ、私はもうレジに行くから」
「お、おうわかった」
そう言うと藍原はレジの方に行ってしまった。
家の手伝いとかで結構やっているのだろう、慣れた様子で接客をしていた。
「慣れてんなぁ……」
俺がそんな事を思っていると、トントンと背中を叩かれ、俺は背後を振り返った。
「君が春山君?」
「え、あ…はい」
俺の後ろには強面の背の高い男の人が立っていた。
鋭い眼光で俺を見ており、腕は俺の1.5倍は有ろうかと言うくらい太かった。
腕も足も筋肉が凄く、なんだかプロレスラーのような感じの人だった。
「厨房」
「え?」
「厨房に行くぞ」
「え? あ、はい!」
まさかこの人と一緒に仕事するのか?
てか、この人がパン作ってるの!?
全然見えないんだけど……。
てか、なんだ! あれか!
どこぞの魔女が働いてるパン屋なのかここは!?
俺は一気に緊張が押し寄せてくるのを感じた。
強面の人は口数が少なく、俺にやって欲しい仕事だけを頼むと、自分の仕事に戻って行った。
藍原の身内の人だろうか?
そうだとしても従兄とかだろうな、藍原とは全然似てないし……。
俺はそんな事を考えながら、言われた仕事をこなしていた。
仕事は主に分量を量ったり、材料を切り分けるのが主な仕事だった。
俺は藍原の手前もあったので、怒られ無いようにテキパキ仕事をした。
「すいません、他に仕事ありますか?」
「……終わったのか?」
「え? あぁはい。材料も切り分けて言われた通りに置いておきました。生地の材料も全部分けて置いておきました」
「……確認する」
「あ、はい」
言われた仕事が終わり、俺は強面の男性に報告した。
男性は俺の仕事を確認していた。
分量は間違っていないか、材料はちゃんと切られているか、細かく確認していた。
「………早いな」
「あ、あんまり早いとダメでしたか?」
「………いや、無理はしなくて良い」
「いや、無理をしてるつもりは無いんですけど……」
「……生地」
「え?」
「……生地、作ってみるか?」
「え? 良いんですか?」
「………問題無い」
俺は強面の男性に教えられ、パンの生地を作り始めた。
パンなんてあまり作った事がないから、俺は強面の男性の説明を一生懸命聞きながら、パンの生地を作った。
「……本当に始めてか?」
「え? はい、パンなんて作る機会が無かったので……」
「……そうか……」
この人は本当に寡黙だなぁ……仕事の話し意外俺になにも話し掛けてこないし。
生地も出来上がり、あとは生地を寝かせて発酵させるだけになった。
「………」
「あの……次の仕事は?」
「……ない」
「え?」
「………終わりだ」
「じゃ、じゃあ掃除でも……」
「それも終わった……」
え? こんなに早く終わるのか?
まだ20時だし……今日は21時くらいまでって聞いてたけど、もしかして早く帰らされるかな?
なんて事を俺が考えていると、厨房のドアが開き藍原のお母さんがやってきた。
「あら、あなた仕事は?」
「……終わった」
「あら、今日は早いのね、どうしたの?」
「………」
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