隣の部屋の裸族さん
第51話
*
結局俺たちのクラスは最後の最後でイケメンサッカー部員の森下君が追い抜き、見事一位になった。
簡単に表彰式をやった後、俺たちは体育の先生から商品の『筋肉と教育』の本をもらった。
「……たまに町で配ってる宗教の本並にいらないな」
「表紙が先生の腹筋って辺りもセンスの無さを感じるわ……」
受け取った俺たち二組の生徒は全員微妙な顔で本を受け取っていた。
御影先生に至っては、もらった本を速攻でゴミ箱に捨てていた。
「えぇ~それではこれで研修の全日程を終了します。それでは各自部屋に戻って帰る準備をしてください。出発は45分後です」
先生からそう言われ、みんな一斉に合宿場に戻って行く。
俺も強や早乙女と共に自分たちの部屋に戻り始める。
「はぁ~もう終わりかぁ~意外と早かったなぁ~」
「そんなものよ、学校行事なんて」
俺は長く感じたけどな……。
なんてことを考えながら、俺は強と早乙女の会話を聞いていた。
部屋に戻り、俺たちは帰る準備を始めた。
「そういえば高石さん、お願いって何に使ったんだろうな? てか、使ったのかな?」
帰り支度をしながら強がふとそんな話をしてきた。
そう言えばそうだ。
高石はリレーの後であの券を使うみたいな事を言っていたが、使ったのだろうか?
どんなお願いにしろ、俺絡みのお願いでない事を祈るばっかりだな。
「あの子……どんなお願いをするのかしらね」
「そ、そうだな……」
早乙女はそう言いながら俺の方をちらりと横目で見る。
きっと俺を心配ししているのだろう。
俺はそんな早乙女に向かって首を横に振る。
「案外あれじゃね? 好きな人との恋のキューピットになってほしいみたいな」
「……そ、そうかな?」
そうだったら非常にまずい……。
だって、高石の好きな人って俺だし。
先生と生徒会が恋のキューピットなんかになったら、俺の学園生活終わったも同然だし。
「さて、じゃあそろそろ行くか」
「あぁ、そうだな」
俺たちは荷物をまとめてバスの駐車場に向かう。
「えっと……28……29……これで全員揃ったわね。じゃあ全員バスに乗って」
人数を確認し、先生は俺たちに向かってそう言った。
俺たちは荷物をバスの運転手さんに預け、バスの中に乗り込む。
「あ、木川君」
「はい? なんですか?」
「君は少し乗るの待ってもらえる」
「え? なんでですか?」
「良いから、良いから」
「え?」
バスに乗ろうとしたところ、先生からそう言われて止められる。
なんで俺だけ?
そんな事を考えながら、待っているとようやく先生の許しがでてバスに乗れるようになった。
「じゃあ、前から数えて5番目の左側の席に座ってね」
「あの先生、なんで俺だけ席指定なんですか?」
「え? ………いや別に」
「なんで目が泳いでるんですか……」
先生がそう言った瞬間、俺はなんだか嫌な予感がした。
俺は先生に言われた席に座り、バスが出発するのを待った。
席の周りには俺の仲の良いやつはおらず、それどころか周りはなぜか全員女子だった。
「なんだよこの席配置……」
そんな事を考えながら窓の外を見ていると、俺の席の隣に誰かが座った。
「やぁ、偶然だね隣同士なんて」
「……偶然じゃねーんだろ……」
隣に座って来たのは高石だった。
なんだかそんな気はしたんだよなぁ……。
俺は深いため息を吐いた後、高石に尋ねる。
「おい、お前あの券もしかして……」
「ん? 願いが叶う件? うん、さっき使ったよ」
「……ちなみにどんな願いをしたんだ?」
「そんな変なお願いはしてないよ? ただ、先生に『私好きな男の子がいて……』って言っただけだよ?」
最悪だ……まさか強の予想が当たるなんて……。
「はぁ……だから御影先生は俺を指定した席に……」
「どうしたの? ため息なんて吐いて?」
「誰のせいだと思ってんだよ!」
まさか本当に先生と生徒会全員が敵に回るなんて……。
てか、先生達もなんでこんなお願いを受け入れるんだよ!
そんな事を考えているとバスは出発し始めた。
「……」
「……」
「……あのさ」
「なに?」
「あんまり見つめられると緊張するんだけど……」
「あぁ、気にしないで」
「気になるわ!」
バスが出発した後、高石は何か俺に話かけるでもなく、ジーっと俺の事を見ていた。
はぁ……。
ゆっくり眠って帰ろうかと思ったのに、どうにも視線が気になって寝られない。
先生は先生でチラチラ俺と高石を恨みの籠った視線を向けてくる。
そんな視線を向けてくるくらいなら協力するなよ!
俺はそんな事を思いながら、イヤホンをして目をつむる。
これで少しはマシになるだろう……。
*
バスに揺られること約一時間。
学校に到着し、俺はようやく高石の呪縛から解放された。
結局一睡もできなかった……。
「はぁ……なんか疲れた……」
「うふふ、色々やって疲れたもんね」
「いや、大半は高石のせいだと思う……」
「えぇ~酷いなぁ~」
「……お前は元気だなぁ……」
俺達は荷物を受け取り、校舎前で軽くホームルームをした後にその場で解散となった。
「あ、木川君」
「今度はなんですか?」
「高石さんを送っていってあげたら良いと、先生思ったり思わなかったりするんだけど……」
「……いや、なんでそんな遠回しに?」
結局俺たちのクラスは最後の最後でイケメンサッカー部員の森下君が追い抜き、見事一位になった。
簡単に表彰式をやった後、俺たちは体育の先生から商品の『筋肉と教育』の本をもらった。
「……たまに町で配ってる宗教の本並にいらないな」
「表紙が先生の腹筋って辺りもセンスの無さを感じるわ……」
受け取った俺たち二組の生徒は全員微妙な顔で本を受け取っていた。
御影先生に至っては、もらった本を速攻でゴミ箱に捨てていた。
「えぇ~それではこれで研修の全日程を終了します。それでは各自部屋に戻って帰る準備をしてください。出発は45分後です」
先生からそう言われ、みんな一斉に合宿場に戻って行く。
俺も強や早乙女と共に自分たちの部屋に戻り始める。
「はぁ~もう終わりかぁ~意外と早かったなぁ~」
「そんなものよ、学校行事なんて」
俺は長く感じたけどな……。
なんてことを考えながら、俺は強と早乙女の会話を聞いていた。
部屋に戻り、俺たちは帰る準備を始めた。
「そういえば高石さん、お願いって何に使ったんだろうな? てか、使ったのかな?」
帰り支度をしながら強がふとそんな話をしてきた。
そう言えばそうだ。
高石はリレーの後であの券を使うみたいな事を言っていたが、使ったのだろうか?
どんなお願いにしろ、俺絡みのお願いでない事を祈るばっかりだな。
「あの子……どんなお願いをするのかしらね」
「そ、そうだな……」
早乙女はそう言いながら俺の方をちらりと横目で見る。
きっと俺を心配ししているのだろう。
俺はそんな早乙女に向かって首を横に振る。
「案外あれじゃね? 好きな人との恋のキューピットになってほしいみたいな」
「……そ、そうかな?」
そうだったら非常にまずい……。
だって、高石の好きな人って俺だし。
先生と生徒会が恋のキューピットなんかになったら、俺の学園生活終わったも同然だし。
「さて、じゃあそろそろ行くか」
「あぁ、そうだな」
俺たちは荷物をまとめてバスの駐車場に向かう。
「えっと……28……29……これで全員揃ったわね。じゃあ全員バスに乗って」
人数を確認し、先生は俺たちに向かってそう言った。
俺たちは荷物をバスの運転手さんに預け、バスの中に乗り込む。
「あ、木川君」
「はい? なんですか?」
「君は少し乗るの待ってもらえる」
「え? なんでですか?」
「良いから、良いから」
「え?」
バスに乗ろうとしたところ、先生からそう言われて止められる。
なんで俺だけ?
そんな事を考えながら、待っているとようやく先生の許しがでてバスに乗れるようになった。
「じゃあ、前から数えて5番目の左側の席に座ってね」
「あの先生、なんで俺だけ席指定なんですか?」
「え? ………いや別に」
「なんで目が泳いでるんですか……」
先生がそう言った瞬間、俺はなんだか嫌な予感がした。
俺は先生に言われた席に座り、バスが出発するのを待った。
席の周りには俺の仲の良いやつはおらず、それどころか周りはなぜか全員女子だった。
「なんだよこの席配置……」
そんな事を考えながら窓の外を見ていると、俺の席の隣に誰かが座った。
「やぁ、偶然だね隣同士なんて」
「……偶然じゃねーんだろ……」
隣に座って来たのは高石だった。
なんだかそんな気はしたんだよなぁ……。
俺は深いため息を吐いた後、高石に尋ねる。
「おい、お前あの券もしかして……」
「ん? 願いが叶う件? うん、さっき使ったよ」
「……ちなみにどんな願いをしたんだ?」
「そんな変なお願いはしてないよ? ただ、先生に『私好きな男の子がいて……』って言っただけだよ?」
最悪だ……まさか強の予想が当たるなんて……。
「はぁ……だから御影先生は俺を指定した席に……」
「どうしたの? ため息なんて吐いて?」
「誰のせいだと思ってんだよ!」
まさか本当に先生と生徒会全員が敵に回るなんて……。
てか、先生達もなんでこんなお願いを受け入れるんだよ!
そんな事を考えているとバスは出発し始めた。
「……」
「……」
「……あのさ」
「なに?」
「あんまり見つめられると緊張するんだけど……」
「あぁ、気にしないで」
「気になるわ!」
バスが出発した後、高石は何か俺に話かけるでもなく、ジーっと俺の事を見ていた。
はぁ……。
ゆっくり眠って帰ろうかと思ったのに、どうにも視線が気になって寝られない。
先生は先生でチラチラ俺と高石を恨みの籠った視線を向けてくる。
そんな視線を向けてくるくらいなら協力するなよ!
俺はそんな事を思いながら、イヤホンをして目をつむる。
これで少しはマシになるだろう……。
*
バスに揺られること約一時間。
学校に到着し、俺はようやく高石の呪縛から解放された。
結局一睡もできなかった……。
「はぁ……なんか疲れた……」
「うふふ、色々やって疲れたもんね」
「いや、大半は高石のせいだと思う……」
「えぇ~酷いなぁ~」
「……お前は元気だなぁ……」
俺達は荷物を受け取り、校舎前で軽くホームルームをした後にその場で解散となった。
「あ、木川君」
「今度はなんですか?」
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