隣の部屋の裸族さん

Joker0808

第50話

「はぁ……変な奴に捕まったなぁ……」

「おいおい、何をくよくよしているんだい? 少年!」

「ん? なんだ上屋敷か」

「なんだとはなんだよ! こんな可愛い友人が心配して声を掛けてあげてるっていうのに!!」

列に並んでいると丁度隣は上屋敷だった。
どうやら俺と走る順番が同じらしい。

「別になんでもねぇーよ」

「ふっふっふっふっ! そんな隠さなくてもわかってるんだよぉ~」

「な、なんだよ、気味悪い……」

上屋敷は腕を組んで不気味に笑いながら、俺の居顔を見る。
そして得意げに上屋敷は俺に話す。

「付き合ってるんでしょ? あの高石さんと」

「はい?」

「だから、さっきの……」

「いやいや、なんでそうなる」

「え? だって昨日の晩湖で……」

「お前……まさか居たのか?」

「あ……」

上屋敷は、しまったみたいな顔で俺の顔を見ていた。
まぁ、これに関しては俺も上屋敷のことをのぞき見しているので何も言えないのだが……。

「どこまで聞いた?」

「え? いや、遠くに居たから会話までは……怒ってる?」

「そうか……いや、別に怒ってるわけじゃない。実を言うと俺も上屋敷が告白されてたとこ見てたし」

「え!? 嘘!!」

「見事に振ってたな」

「のぞき見なんて酷いよ!!」

「その言葉、そっくりそのまま返すよ」

話をしている間に、リレーは始まった。
クラスの一番最初のランナーが走り始め、辺りは応援する他の生徒達の声で騒がしくなり始めた。





私、上屋敷佐恵はリレーの順番を待ちながら、最近仲の良いとなりのクラスの木川君と話をしていた。

「で? 告白されたんじゃないの? モテ男君」

「まぁ、告白されたけど……あぁ、もういいや。お前には話ておくわ」

「え?」

木川君はそういうと、昨日の出来事を話し始めた。

「え!? す、ストーカー!? あの子が?」

「あぁ、人は見かけによらないだろ?」

「確かに……なんで木川君みたいなのを……もっと良い男子がいっぱいいるのに」

「事実だけどなんかむかつくな……」

どうやら木川君が昨日の夜、高石さんから脅迫を受けたらしい。
あんなに可愛い子がストーカーだなんて……世の中何があるか分からないわね……。

「まぁ、そんな感じで今俺は高石に付きまとわれてる……」

「そういう事だったんだ~」

あれ?
なんでだろう……あの子が彼女じゃないってわかったら、なんか胸の中がスッキリしたような?
気のせいかな?

「そういう訳だ、お前もなんかいい案無いか? 高石から嫌われる方法とか」

「えぇ~良いの? あんな可愛い子と付き合えるチャンスなんて、この先無いかもよ?」

「可愛いけどストーカーなんだよ、しかも重度の」

「付き合ったらストーキングしなくなるんじゃない?」

「いや、高石はもっとひどくなると思う……」

「あ、もしかして最近はやりのヤンデレってやつ?」

「デレがあればいいけどな……はぁ……なんか、お前がまともに見えてきたよ」

「え? まともって?」

「俺の知り合いの中でまともって事」

「あぁ、まぁ木川君が変だもんね」

「おいコラ、どういう意味だ」

そんな話をしている間にドンドン順番は回っており、そろそろ私たちの番だった。

「なぁ、頼むよお前も協力してくれよ」

「えぇ~どうしよっかなぁ~」

私は立ち上がり、レーンに入って準備をする。
木川君もそろそろ順番のようで、私のレーンの隣にやってきた。
私は協力を求めてくる木川君が何だか珍しくて、少し意地悪したい気持ちになってしまった。

「じゃあ、このレースで私を追い越せたら協力してあげる」

「はぁ? うちのクラス負けてんだぞ!?」

「追い越せなかったら……」

私はそう言いながら構える。
そして、前の走者からバトンを受け取った瞬間、隣の木川君に言う。

「名前で呼んでっ!!」

「はぁ!?」

私はそのまま100メートルを笑顔で全力疾走しはじめる。





あ、あいつ……何を考えてやがる……。
俺は前の走者からバトンを受け取り、上屋敷の背中を追っていた。
てか、あいつ足はやっ!!
当たり前だが、走るのがそこまで得意ではない俺は上屋敷を追い抜くことなって出来ず、そのままの順位で次の走者にバトンを渡した。

「はぁ……はぁ……」

「おいおい~運動不足じゃないかい? 少ね~ん」

「うるせぇ! 大体あの差を縮めるなんて無理だ!」

「おいおい~負け惜しみなんて男らしくないぞ~」

「お、おまえなぁ~」

うぜぇ……。
俺がそんな事を思っていると、上屋敷は俺の手を差し出す。

「さぁ、負けたんだから、ほれほれ~」

「あ? なんだよ……」

「名前で呼べよ~恥ずかしいのかぁ~」

「っち……面倒くせぇ……」

「あ! 今舌打ちした!? 約束は約束でしょー!」

「俺は約束したつもりはねぇんだよ!!」

「いいじゃん、名前で呼ぶくらい……琉唯君」

「はぁ……あのなぁ、この年になるとそういうのは誤解されるだろ?」

「なんで?」

「いや、なんか付き合ってるとか勘繰られたりとか……」

「何意識してんだよぉ~私の事好きなのかぁ~このこの~」

「あぁ、全くお前は……わかったよ、今度から名前で呼ぶから……」

「うふふ~名前で呼び合うなんて、これはもう本格的に私達は親ゆ……」

「いや、ちげーよ」

「なんでだよぉ!」

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