隣の部屋の裸族さん

Joker0808

第3話

「おい、早く帰ろうぜ~」

「どこかによっていく?」

「そうだな、早乙女おすすめの喫茶店にでも行こうぜ~」

「あら良いわね、お腹も空いたし、早く行きましょう」

「あ、悪い……俺はちょっと用事が……」

「用事? 珍しいな」

「あぁ……引っ越したばっかりで何かと入り用でな……」

「なるほどね、片付けとか買い物とかまだ終わってないのね」

「あぁ、そうなんだ早乙女……だから俺は今日はこれで……」

「まぁ、それは仕方ないな……部屋を片付けないと自家発電も出来ないもんな!」

「お前はそればっかだな……」

「男の子なんだから仕方ないわよねぇ~」

「早乙女、お前も男だろ……」

二人に事情を説明し、俺は二人を見送り教室に戻った。
後は八島のところに行って謝るだけだが……許してくれるだろうか?
とりあえず土下座だろうな……なんとしても許して貰わないと、そうしないと俺の学園生活は終わってしまう!!

「くそっ! 昨日、不用意にドアを開けなければ!!」

俺は昨日の自分を責めながら、教室に戻り八島を探す。
しかし、八島は既に教室に居なかった。

「あれ? 居ない?」

もう放課後と言うこともあり、既に教室に人は残って居なかった。
うわっ……もしかしてもう帰った後だったりするか?
だとすると、またインターホンを鳴らして……部屋で謝るしかないか……コンクリの上での土下座は少し痛いが……。
俺はそんな事を考えながら、教室を後にし新居であるアパートに戻って行った。

「居るかな?」

俺の部屋は302号室、八島の部屋は303号室で角部屋だ。
俺は一旦部屋に鞄を置き、八島の部屋のインターホンを鳴らす。

『はい』

昨日とは違い、今日はちゃんとインターホンに出た八島。
俺は一瞬驚いた後、インターホンに向かって話す。

「あぁーあの……隣の部屋の木川なんだけど……」

俺がそう言うとドアの向こうから足音が聞こえてきた。
次第に足音は大きくなり、足音が消えた瞬間、ドアが開いた。

「……何?」

「あ……いや……昨日の事なんだけど……」

わずかに開いた扉から、八島が俺の顔を見ていた。
俺は顔を反らしながら話しを進める。

「あの……本当に昨日はごめん! 謝るから! どうか学校の奴にはバラさないでくれ!!」

俺がそう言って頭を下げると、八島は無言だった。
早くなにか言ってくれないだろうか?
頭を上げるタイミングを完全に逃してしまった。

「あ、あの……八島さん?」

「……別に言わない」

「え!? ま、マジ!?」

良かった!
とりあえず一安心だ!
これで俺の学園生活は守られた!

「じゃ、じゃあ俺はそれだけだからこれで……」

俺はそう言ってドアを閉めようとした。
しかし、そんな俺を彼女の細い腕が止めた。
「待って……」

「え?」

八島はドアの隙間から俺の腕を掴み、俺が自宅に戻るのを止める。

「な、なんだ?」

「私の事も……言わないで」

「え?」

私の事も言わないで?
一体何の事だ?

「な、何の事だ?」

「……見たでしょ?」

「はい?」

え?
本当に一体何の事?
全然分からないぞ……なんだ?
何か俺見たか?
まぁ、この子の裸は見たが……。

「な、何の事か分からんが、俺は君の何かを誰かに話すようなことはしないぞ?」

「………そう……なら良い」

「あ……」

彼女はそう言うと掴んでいた俺の腕を放し、ドアを閉めた。

「変な奴だなぁ……」

俺はそんな事を考えながら、自分の部屋に戻る。
しかし、これでようやく肩の荷が下りた。
これでようやく俺の新生活が始まる!!
そうだ、そう言えば買い物に行かないと今晩の飯も無かったんだ!
俺は冷蔵庫の中が空だということに気がつき、スーパーに向かった。
昔から両親の帰りが遅かったこともあり、俺は料理は得意な方だ。
最近は食べたい物をネットで見つけて、自分で作って食べるのが趣味のようになっていた。

「一人だからこんなもんで良いか……」

俺は買い物を済ませ、自宅に帰ってきた。
昼食は少し凝ったカレーでも作ってみようなんて考えながら、俺は部屋の鍵を開ける。

バゴン!!

「ん? なんだ?」

鍵を開けて部屋に入ろうとしたところで、隣の八島の部屋から大きな音がした。

「大丈夫かなぁ……」

すこし心配になってしまう。
まぁ、恐らくベッドから落ちたとか、何かを落としたとかだろうけど……。
そんな事を考えながら、俺は部屋に入って冷蔵庫に購入した食材を仕舞っていく。

バゴン!!

「またか……」

またしても隣から大きな音が聞こえてくる。 一体どうしたんだ?
まさか……強盗!?
いや、そんな訳ないよな?
でも……女子高生の一人くらいだし……。

ドゴン!!

まただ……。
も、もしかして本当に強盗とか泥棒とかか?

「あいつ……大丈夫かな?」

知っている奴だからから、俺は少し心配になってきた。
少し様子を見に行ってみるか?
インターホン鳴らすくらいしてみるか?

ガタン!!

考えているうちに、またしても大きな音が聞こえてきた。
流石に俺は心配になり、部屋を出て隣の部屋に向かった。


「隣の部屋の裸族さん」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く