モテるのは俺の友達

Joker0808

第53話




まぁ、何となく予想はしていたが……まさか本当にこんな事になるなんてな……。
俺は地面に這いつくばる大島の頭に手を置く。

「無理させて悪かったな……後は任せろ」

「……情けない………俺は……」

大島はそう言いながら、悔し涙を流していた。
俺はそんな大島の頭を軽く叩いて言う。

「アホ、男が泣くな、みっともない。良いからここで少し見てろ」

まぁ、好きな子にかっこ悪い姿を見せたんだ、プライドの高い奴だったら泣きたくもなるわな……。

「くそぉ………」

「……安心しろ、初白がどう思ってるかなんて俺は知らねーけど……お前は立派な男だったよ」

「……フォローなんていらねぇよ……」

「そうかよ……まぁ、とりあえずバトンタッチってことで」

俺はそう言いながら、悟の前に立つ。

「さて……お前ら、俺が忠告したのに……覚悟は出来てるよな?」

「ひっ! さ、悟! だから俺はヤバイって言ったんだ!」

「あいつ、メチャクチャ強いんだぞ! ど、どうするんだよ!」

「や、やるしかねぇだろ!! やらないと……あいつらがどうなるか分からないんだぞ!」

あいつら?
どう言う事だ?
あいつらももしかして何か訳ありか?
もしかしたら、話し合いで解決出来るか?
なんてことを考えていた俺だが、悟の取り巻きの一人が俺の両腕を背後から拘束してきた。

「い、今だ! いくらこいつでも体の自由がきかなきゃ大した事ねぇ!」

「よし! 良いぞ! そのまま抑えておけ!」

そう言って悟は俺に向かって殴り掛かってきた。
しかし、この程度で動けないと思っているのは考えが甘い。
俺は力尽くで拘束を解き、悟の拳を避ける。
「よっと」

「え?」

「ぶへっ!」

悟の拳は俺を拘束していた取り巻きに当たり、取り巻きはその場にうずくまってしまった。

「おいおい、仲間割れか? 仲良くしろよ」

「くっ……てめぇ……」

「何でも良いけど、そろそろやめにしないか? お前らもなんか訳があってこんな無茶をしたんだろ?」

「うるせぇ!! やらなきゃ……やらなきゃ……香奈が!」

「………おい、もうやめろよ……何があった
? いくらなんでもイタズラでこんな事する奴らじゃないだろ?」

「うるせぇ!! 良いから邪魔をするなぁぁぁ!!」

「……アホ」

何があったのかはわからないが、悟はなんだか焦っている様子だった。
悟は焦った様子のまま俺に再び殴り掛かってきた。
俺はそんな悟の足を引っかけ、悟を転ばせる。

「うおっ!」

悟は顔面から地面に倒れた。

「少し落ち着け、何があった?」

「うっ……お、俺がやらなきゃいけねぇんだ……」

「おいおい……お前まで泣き出すなよ……」

今年の一年は大口を叩く割には、泣き虫が多いようだ。
俺は倒れた悟の近くに行き、話し掛けた。

「何があった?」

「………アンタには関係ねぇだろ!」

「まぁ、そうだな……だが、お前らは俺の大事な後輩の……えっと……鮫島君を……」

「大島だっ! 大事なら名前を覚えろ!!」

俺がそう言うと話しが聞こえたのか、大島が俺に向かってそう叫んできた。

「あぁ、そうそう大島君だ! 大島をボコった……訳を聞く位は普通だと思うが?」

「………アンタに話したって解決なんてしねぇよ……」

「なら、言うだけ言ってみろ……」

「………ダメだ……言えねぇ……」

「そうか……それは、あそこに居るやつと関係があるのか?」

俺はそう言って、電柱の影からこちらを見ている奴を指さした。
大島が悟達にやられている時から居たが、俺以外は誰も気がついて居なかった。
恐らく悟はあいつに監視されているのだろう。
電柱に居た影は俺が指さすと、こちらの方に歩いてきた。
やってきたのは大学生の男だった。

「あらら、見つかっちゃった? 上手く隠れてたんだけど……君やるねぇー」

色黒で金髪、いかにもチャラそうな感じの男だった。
正直整理的に受け付けない。

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