モテるのは俺の友達

Joker0808

第47話

*

「買い物ってお前、何買うんだよ」

「そうですねぇ、来たるときに備えて、勝負服でも買いましょうかね」

「そんなの居る?」

「女の子にとって洋服は武器なんです! だから多い方が良いんです!」

「装備する奴がスライムだったら、あんまり意味ないだろ」

「だ・れ・が! スライムですか~?」

「いふぁい……すねるな……」

初白は額に青筋を立てながら、俺の頬を抓ってくる。
まぁ、今のは俺が悪いが、こいつ時々俺の事を先輩だと思ってないんじゃないか?

「たく、お前は俺を先輩だと思ってないのか?」

「まぁ………多少は先輩だと思ってますよ」

「多少ってなんだよ」

「まぁ、そんなどうでも良いことは置いておいて」

「どうでも良くはないだろ」

「あ、あのお店に入りましょう!」

「へいへい……」

初白が指さしたのは、大手のアパレルショップだった。
俺もたまに行くが、一人で行くか高弥としか行った事が無い。
なんだか他の奴と入るのは新鮮だ。

「んで、何を買うんだ」

「まぁ特に決まってはないですね、良いのが合ったら先輩に買って貰う感じです」

「なんでそうなんだよ、絶対買わないからな」

「えぇ~良いじゃ無いですかぁ~可愛い後輩の好感度を上げるチャンスですよ」

「なんで俺がお前の好感度を上げなくちゃいけないんだよ」

「いやぁ~たまに先輩から私に熱い視線を……」

「それは気のせいか、お前の妄想だ、目を覚ませ」

「ギャグじゃないですか、もう……あ、これ似合います?」

そう言って、初白はミニスカートを手に取る。

「あぁ、良いんじゃ無い?」

「そんな適当に返答しないで下さいよ」

「別に適当じゃねーよ、良いと思ったからそう言ったんだ」

「じゃあ、これは?」

初白が次に持ってきたのは、青色のワンピースだった。
まぁ、初白には青とか似合うしな……。
さっきと同じ返答で良いだろう。

「あぁ、良いんじゃ無いか」

「だからぁ! そんな適当に返答しないで下さいよ!」

「いや、そんな事を言われてもなぁ……」

本当に俺は良いと思ったから言っているのだが……。

「じゃあ、どこが良いんですか?」

「全体的に?」

「適当じゃないですか!」

「いや、俺は本当に……」

「まったく……もう良いです、少し待ってて下さい、二種類のうちどっちが良いかを聞く事にします」

そう言って初白は店の奥に進んでいった。
本当に良いと思ったんだが……女は良くわからないもんだ……。
俺がそんな事を考えていると、俺は背後に視線を感じた。

「ん?」

振り向くが、そこには誰も居なかった。
他の客の視線だろうか?

「先輩!」

「ん?」

そんな事を考えていると、初白が今度は二種類のスカートを持ってきた。

「どっちが似合うと思いますか?」

「う、うーむ……」

赤のスカートと黒のスカートか……。
まぁ、正直上にどんな服を着るかによっても印象は大分違うしな……。
まぁ、どっちも似合っていると言えば似合っているし……。

「どっちも良い感じだと思うが」

「またそれですか! もう! いい加減ちゃんとした感想を下さいよ!」

「いや……俺は」

「もう、良いですよ、赤い方が欲しいのでこっちを買ってきます」

初白は俺にそう言うと、頬を膨らませながらレジの方に向かっていった。
なぜだ?
俺はちゃんと自分の感想を言ったつもりなのだが……。

「面倒だなぁ……」

女とは色々面倒だな……。

「そう言えば……あいつも同じ事を言ってたっけな……」

レジに並ぶ初白を見ながら、俺はそんな事を思ってしまった。
これじゃあ、高弥と同じだな……。
あいつも昨日初白と出かけて、同じような事を思ったんだろうか?

「はぁ……なんだかなぁ……もう吹っ切れたと思ったんだが……」

俺は中学時代の時の事を思い出しながら、初白の会計が終わるのを待った。

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