モテるのは俺の友達

Joker0808

第46話



「んで、なんでお前がここに居るの?」

「それはこっちの台詞なんですけど」

準備をして待ち合わせの駅前に行くと、そこに居たのは高弥では無かった。
駅前に居たのは、普段着の初白だった。
俺の姿を見るなり、冷めたような視線を俺に向けてきた。
こいつは何も言わなくても失礼いだな……


「なんでお前がいるんだよ、俺は高弥に誘われてここに来たんだが?」

「私も真木先輩に呼ばれたんですけど……なんで先輩が居るんですか? 私の私服が見たいんですか?」

「いや、正直まったく興味無い」

「なんですかその言い草! ちゃんと可愛いって言って下さいよ!」

「あぁ、はいはい、可愛い可愛い」

「そんな思っても無い事を言われてもうれしくありません!」

「どうしろってんだよ」

時間になっても高弥は来ず、代わりに居るのはこのアホだけだった。
まったく、あいつは一体何をしてるんだ?
俺はスマホを取り出し、高弥に電話する。

「おい、何やってんだよ?」

『あぁ、ごめんごめん、僕ちょっと行けなくなっちゃってさぁ~』

「おい、いきなりそれはねぇだろ!」

『ごめんごめん、初白さんも呼んじゃったから、僕抜きでどこかに行ってきなよ』

「ふざけんな、なんで俺がこのアホと」

「聞こえてますよ先輩? 社会的に死にたいんですか?」

俺の返答が気にくわなかったのか、初白は眉間にシワを寄せながら俺にそう言ってくる。
『まぁ、そう言うことだからじゃぁ!』

「あ、おい! ……切りやがった」

「真木先輩なんて言ってました?」

「今日は来れねぇってよ」

「え! じゃあ私は何の為に勝負下着を着て着たんですか!!」

「要らない情報を勝手に押しつけるな」

「はぁ……先輩来ないのかぁ……」

「俺も先輩なんだが?」

「はぁ……イケメンな方の先輩来ないのかぁ……」

「喧嘩売ってるのか?」

もうこいつの失礼さにも慣れてきたな。
しかし、どうしよう。
休日までこのアホと一緒に居る気は俺には無いぞ。
それにこのアホだって俺と一緒に居る気なんてさらさら……。

「はぁ……じゃあ二人でどこか行きますか?」

「は? なんでそうなる」

「だって、折角お洒落しちゃったし、このまま帰るのもなんか嫌なんで」

「あのなぁ、俺とお前で一体どこに行くんだよ?」

「そうですねぇ………神社?」

「何故そうなる」

「いや、私の恋愛成就を願って」

「そこに俺と行って楽しいか?」

「まぁ、多少は?」

「多少ってなんだよ、じゃあお前行きたいとことかあるのか?」

「うーん、それなら……」





「少し強引だったかな?」

僕は駅前の看板の影から、初白さんと平斗を見ていた。
実は僕は昨日の夜、家に帰った後に色々考えた。
初白さんはきっと平斗ともっと仲良くなりたいはずだ。
二人の距離を近づける為には二人で出かけるのが一番だと考え、多少強引だったがこうして二人を外にだした。
僕も昨日は初白さんと出かけて、初白さんの事を知る事が出来たのだ、きっとあの二人も同じように互いを知ることが出来るはずだ。
「しかし、あの二人全然動かないなぁ……何してるんだろ?」

先程の電話から二人はまったく動こうとしない、何かを話している様子だが、ここからじゃ何を言ってるのかさっぱり分からない。

「まったく、ちゃんとエスコートしなきゃダメだろ平斗……」

僕がそんな事を思っていると、急に後ろから話し掛けられた。
話し掛けてきたのは、大学生くらいのお姉さんだった。

「あ、あの……」

「え? なにか?」

「あ、あの今一人ですか? 良かったら私たちとお茶でも!」

「あ、すみません少し忙しいので……」

「じゃ、じゃあ連絡先の交換だけでも!!」

「あ、いや……あの……」

こ、困ったなこのお姉さん結構しつこい……。
僕はお姉さんに逆ナンされてしまい、動けなくなってしまった。
その間に平斗と初白さんの二人はどこかに行ってしまった。

「あ、あの急いでますので!!」

僕はそう言って、その場から逃げるように立ち去った。

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