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通り魔から助けた美少女が隣の席になった話。

こああい

第7話

土曜日。世間一般では休日として知られている。

だが、進学校では土曜日も授業が当然のごとくある。一応いつもより短い授業であるが、昼の2時半まで学校があることには違いない。
「土曜日は休みてぇ!」などと星野は教室でほざいていたが、お前、来年受験だぞと突っ込みたくなった。実際には星野が陽キャ共と話していたので、ツッコミを入れることは叶わなかったが。


「お前ら、そろそろ定期考査ってこと覚えとけよ~。ゴールデンウイークだからって勉強しない奴には痛い目見さしてやろうか」

終礼の時になんか担任が脅しをかけてきた。さすがに勉強しない奴なんていないだろ...と思っていたが、脳裏に星野の存在が浮かんできた。

・・・やっぱり勉強しないヤツっているんだな~。

すまん、手のひらクルックルワイパーだったわ。


でも意外とあいつはコツコツで勉強するタイプだったりする。俺も星野に考査対策で助けてもらったことがあるので、悪くは言えない。

「なぁなぁ、浩司。ゴールデンウイーク中にお前の家に遊びに行っていいか?」

いつの間にか終礼が終わっていたようだ。窓の外をボーっと眺めてしまった。
そういえば去年も星野が遊びに来たなぁ。

「あーまぁいいけど。泊まりか?」
「お前の父さんがいいなら泊まって徹夜してぇな」
「あー。父さんは最近帰ってこないこともあるから、その日だったらいいぞ」
「まじ?お前の飯うめぇから、ごちそうしてくれよな」

多分こいつは、俺の作る炒飯のことを言っているんだろう。毎度遊びに来るたびに、炒飯を作っている気がする。



◆   ◆   ◆

学校が終わり、人気の少ない住宅街を歩いていく。反対側はとても栄えているのに、この休日の昼間の静かな風景は、自分的にはとても心が落ち着く。

さて、家に帰ったらスーパーに行かないといけない。そろそろ冷蔵庫の中の食材が尽きてきたからだ。星野とその仲間たちの襲来、もとい遊びに来ることも分かっているので、いつもより多めに買いだめておこう。

買う食材で絶対なのは、卵。炒飯を作るので絶対いつもより多めに買う。あとかまぼこも。「俺は炒飯には焼豚しか認めん!」という方もいらっしゃるかもしれないが、スーパーで売っている焼豚はなんかハムみたいで、おいしくない。
だからと言って焼豚を手作りするとなると、豚バラのブロック肉をタコ糸で包んで、表面を焼いた後に結構な時間煮込まないといけない。確かに、手作りの焼豚はおいしいが、いかんせん時間がかかりすぎるのでパスだ。

後買うものと言ったら、普通の豚小間とか野菜。豚小間は万能で、カレーに突っ込んだり、野菜炒めにしたり...といろんな料理に使える。
中でも、俺が好きなのは塩豚丼。レモンを強めに利かせている。

そんなことを考えていると、ふと小さな公園が目に入った。公園といっても、滑り台とブランコぐらいしかない。別にそんなことでは俺は気にも留めなかっただろう。
問題なのは、ブランコに自分の良く見知った顔の人物が一人むなしく座っていたことだ。

そう、座っていたのは霧島。しかも、いつもとは違う雰囲気だった。
いつもの霧島は、みんなに笑顔を振りまくクラスの癒し的存在というイメージがあったが、今、俺が見ている霧島にはそういうオーラが一切ない。


まぁ、何があったのかは知らん。が、思いつくのは失恋だろう。きっと振られたんだろうな。
なので、俺はスルーを決めることにした。傷心していると思われるところに、手出しは無用だ。



「ただいま~。ん?」

家には誰もいないと思っていたのだが、玄関に革靴がそろえておいてあった。

「おう、帰ってきたか。浩司」
「あれ、父さん。今日こんな早く帰ってくる予定だっけ」

本来会社にいるはずの父さんが、片手にコップを携えて廊下に顔を出してきた。でも、スーツをバシッと決めている。

「それなんだが、浩司。父さん、今日からちょっとシドニーの方に出張になってな。1時間ぐらい前に一回帰ってきたんだ」
「え?今日から?俺聞いてないんだけど」
「安心しろ。父さんも聞いてない。まぁ、そういうことでせっかくのゴールデンウィークなのにすまんな」

父さんは申し訳なさそうにしている。が、俺には父さんを責める権利もない。
でもほんと急だよな。だからスーツ着てるのか。とりあえず、リビングに行って荷物を置く。

「まぁ、仕方がないね。出発は何時ぐらい?」
「えーと。夜の8時半ぐらいにフライトだから、羽田には7時半には到着したいなぁ。ちょっと待ってな。検索してみる」

そう言って、ソファーに座って、置いてあったスマホで検索していた。あらかじめ調べておけよ...

「父さん、一回着替えてくるわ」
「おう」

そう言って、二階の自室へと向かった。


数分後、私服に着替えた俺は再びリビングへと降りてきた。

「浩司、5時50分の電車に乗る感じだ。すまないが夕食は一人でとってくれ」

5時50分の電車となると、家を出るのは大体5時半。夜ご飯には間に合わない。

「ああ、構わないよ。父さん、なんかおにぎりとか作ろうか?」
「おっ?作ってくれるのか。ならお願いしようかな」
「お味は何にしますか?」
「なら、シェフのおすすめで」

シェフのモノマネを俺がすると、父さんがニヤァと微笑みながらオーダーしてくる。
今の時間は、大体お昼の3時。でも父さんが出張になるのだったら、準備の手伝いもしてあげないとな。多分まだ準備できてないだろうし、父さんも疲れてるだろうからな。


◆   ◆   ◆


「浩司、学校の勉強は付いていけてるか?」

キッチンでご飯の仕込みをしていると、突然父さんから声をかけられた。

「ま、まぁ。幸い星野が手伝ってくれてるからな」
「星野君は同じクラスだったな。そうか、付いていけてるなら安心だ。お前が3週間も入院したと聞いて、父さん心配だったんだよ。今度星野君にお礼言わないとな」
「ま、まぁ」

星野には感謝しているのだが、あの調子に乗りやすい性格を直せないものか。アイツが調子に乗ると本当に面倒くさい。

「ああ、今月分の食費とか机の上に置いておくな」
「さんきゅ」

―――ピロリピロリ

炊飯器が炊けたようだ。すぐに炊飯器を開け、ご飯を混ぜていく。
そして引き出しからラップを出して、塩を適当に出す。
その上に白飯を広げて載せて、中央に具材を入れる。

おにぎりの具材は、昆布の佃煮と鮭のフレークだ。理由は冷蔵庫の中にあったから。
具材を乗せた後は、おにぎりの形になるように整形していく。ごはんが出来立てなので手が熱い。

「父さん、おにぎりテーブルの上に置いとくね」
「おう、ありがとうな」

えーと、今の時間は4時50分ぐらいか。買い物はどうせなら父さんと一緒に出よう。たまには見送りもいいと思うし。
すでに買うものはリストアップしてあるので、時間まで部屋でゴロゴロしていよう。


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