日本は異世界で平和に過ごしたいようです

こああい

第50話

翌日
「ではこれから護衛艦しまかぜ・きりさめの紹介を行います。紹介はしまかぜの方を私、浅川一等海佐、きりさめを山下二等海佐が担当いたします。どうぞよろしくお願いします。
まず初めに、誠に申し訳ありませんが、手荷物検査を受けていただきます。また、刀や銃などの危険物はお預けください」


無事、手荷物検査を終えた一行は、まず甲板に案内された。
「こちらが護衛艦しまかぜの主砲となる、127mmの速射砲です。正式には73式54口径5インチ単装速射砲といいます。この速射砲は前後に1基ずつ備わっており、1分に40発程射撃を行えます。のちほど訓練射撃を実施いたします」
ここで、質問が飛んでくる。
「質問なんですが、主砲はこの2つだけでしょうか」
「そうです。このしまかぜにおける主砲は2基のみとなります」
「それだけで敵を撃沈できるのです?」
「それは後の訓練射撃をお楽しみにしてください。きっとわかりますよ」
「よろしいですか?では次に艦内へと案内いたします。艦内は非常に狭いので頭などお気を付けください」


その後、艦内へと案内される。まず艦橋の案内である。
「こちらがしまかぜの艦橋です。一番手前のこのハンドルで船の舵を取ります。右手にありますのが航海レーダーの画面となります。そして左手に...(以下ry」


「では続きまして、訓練射撃を実施いたします。今回は提供していただきました、標的艦に向けて射撃を実施いたします」
『51番52番、45度、仰角35度、発動よーい!発動』
前面甲板の主砲が標的に向けて回転する。
「ではこれから射撃を致します」
『5連射発射よーい!、撃てぇ!』
大きな掛け声と共に127mmが5回ずつ火を噴いた。
「おおおー!」
「命中、撃ち方やめ」
主砲2基が元の位置(砲方向が進行方向になること)に戻る。
「そんな...12cm級の砲があんな早く撃てるんだ?」
「しかも見た感じほとんどが目標に命中しているぞ。なんという命中率だ」
「主砲が2基しか積んでいない理由がお分かりになったでしょうか。補足にもなりますが、このしまかぜは大分旧式となっておりまして、しまかぜ型以降の護衛艦は主砲は1基のみとなっております」
「でもさすがに1つの砲だけでは敵の撃退は難しいのでは?」
「我が海上自衛隊はそもそも数十の敵と対処することを想定しておりません。対処数はせいぜい10隻までであり、海上自衛隊の通常の行動ならば4隻で行動いたします。そのため割り当てられた艦艇に向けて射撃する際にも十分事足りることとなっております」


とは言っているが、実際には地対艦誘導弾ないしは、F-2などからの空対艦誘導弾からも敵艦艇を撃破する。艦砲を主兵装として攻撃する事態はほとんど想定されてないのだ。


「では続いてヘリコプターへの試乗を行います。発着する後部甲板へとご案内いたします。なお、20名までとさせていただきますので、あらかじめご了承ください」
搭乗する人員が決まった後、SH-60Jが2機、同行していたすずつきから飛来する。


「では順番に搭乗してください」
ヘルメットの無線を介して伝達が行われる。その後ヘリコプターに乗った一同は遊覧飛行を行った後、港に帰港した。


シーランド共和国海軍 総合司令部 (所在地:テマヘラー港)


ここでは、海上自衛隊の視察を経た海軍幹部たちと、政府高官が集って会議を行っていた。


「噂には聞いていたが、あれほどの艦隊と技術を有しているのなら、帝国海軍の主力、第6艦隊が沈んだのも理解できるな」
「あれは確実に敵に回さない方がいい部類だ。オルスター王国がうまいことやってくれて助かった」
「主要国代表会議へ正式に招待するか?」
「一応バナスタシア帝国の敗戦の時の臨時会議で日本国が帝国を打ち破ったことから、帝国の後釜に挙げることを提案されているな」
「我が国との関係は強固にしたいが、我が国の軍事力強化と捉えられて周辺諸国との緊張状態に陥るのは避けたい」
「とりあえず世界的に見て日本国は強国といえるのは間違いない。あのヘリコプターというものは多分世界随一ではなかろうか。飛竜や翼竜と異なり、滑走を必要とせず飛竜と同等の速度で飛行する。しかもあれは生物ではないときた」
「あの上部の回っている"ローダー"とやらが飛行する原理らしいが、全くわからんな。ただ言えることとしては、竜母みたいな大型の艦艇を用意しなくとも、航空戦力が獲得できる点だな」
「あと、飛竜は上空で停止することが出来ますが、もって1分であるところを、ヘリコプターは燃料がある限り無制限にできるとも言っていたな」
「日本国の誇張であることも否定はできないが、航空戦の脅威であることには間違いない」
「あと、艦艇そのものの能力も高い。最大55Km/hも出せるとは」
「それに加え、主砲の精密攻撃の技術は素晴らしい。連射もあんなに早くできるとは」
「ただ、2基だけでは火力に欠けますな。よほど高度な技術を要求する代物なのか、日本国が出し惜しみをしているだけなのか」
「出し惜しみをしているなら、更なる技術があるだろうな」
「とりあえず、明日日本国の方々に主要国代表会議に招待するとの旨を伝えましょう。反対意見は?」
会議場は満場一致であった。
「ではそのように通達することといたしましょう。これを以て会議は終了といたします」





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