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こああい

第37話

北青原駐屯地


青原の空に3つの飛行機雲が浮かぶ。
それは昨日より航空自衛隊北青原基地に配属された旧第301飛行隊所属のF-4EJ改と第402飛行隊所属のC-1であった。
航空幕僚監部は特域方面における対飛行生物として旧式の戦闘機を配備することとした。F-4は配備開始から40年近くが経過し老朽化が著しいが、F-15よりも低速性能が優れていることや、万が一喪失してもあまり被害がないことから特域方面にF-4を仕向けることとした。


第301飛行隊はF-35による機種更新が進んでいたが、F-35の供給がストップしたためF-4との混同部隊となっていた。それを退役させたF-4と共に新たに部隊を編成した。
それが第309飛行隊である。
編成はF-4EJ改が10機、連絡機としてT-4が2機と試製F/T-4が4機配備された。(Fighter/Trainingの略)
それに伴ってF-4の操縦手も転属することとなったが、大半がいい歳をした操縦手であった。しかし特域に関して興味津々であったため上層部も"ま、本人たちが喜んでるからいいか"という感じですぐさま転属が決定したという。


ちなみにそのF-4EJ改の操縦手がF/T-4の操縦も担うこととなる。単座型となり練習機の面影は残っていないが、その分レーダーなどが増強されている。そのレーダー性能は退役したF-4EJ改から部品取りしているため、一部探知性能は機体容量の関係から搭載できなかったものの、F-4EJ改と同等の探知能力を備えることとなった。
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F/T-4の武装
固定武装:JM61A1(20mmバルカン砲)
短距離AAM:90式空対空誘導弾・04式空対空誘導弾
中距離AAM:99式空対空誘導弾
ASM:93式空対艦誘導弾
その他各種爆弾
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F-4EJ改先輩もびっくりの種類である。これは防衛装備庁が突貫作業で開発した時にせっかくだから全部つけてしまえと適当に装備したからである。
欠点としては増槽・ミサイルなどをフル装備すると、極端に機動性が落ちて格闘戦など出来なくなってしまうことだった。
しかも、ミサイル・爆弾などを運用したいのなら、F-4使えという話になり普通の運用は増槽2つと短距離AAM2発携行で落ち着くのであった。


そして、ちょうど日バ開戦後(めんどくさいので国名で簡略表示)から1か月後に、北青原基地で第309飛行隊新編行事が行われた。
これには防衛大臣や統幕長なども参加。最近出番がなかった政府専用機も北青原基地に降り立った。


一方そのころ特域では石油の採掘が始まろうとしていた。北青原分屯基地から石油開発会社の機材が次々と石油分布地域へと向かった。
すでに第21師団隷下の施設隊が採掘予定地域の周囲に鉄条網などを張り巡らし、各種センサーなども配置。完全なる防御体制である。
しかも、石油の採掘が始まったら自衛隊員の常駐も始まる。つまりこの地が自衛隊関連施設となり自衛隊法81条の2に定まっている自衛隊の施設等の警護出動が常時発動されるのであった。
また、石油の輸送に用いるパイプラインの埋設も始まっていた。パイプラインをなぜわざわざ埋設するかというと、動物に襲撃されたり、テロの目標とされるのを防ぐためである。




内閣官房


「バナスタシア帝国各地で軍と思わしき集団が行動を始めております」
「よかったな。早めに偵察衛星を打ち上げといて。しかし粗いな」
「仕方がないです。最悪空自の偵察機を飛ばすことにしましょう」


そこに防衛大臣が突っ込みを入れる。


「何馬鹿なこと言ってるんですか。無人偵察機の納入は遅れに遅れ、現有のRF-4EとEJは配備されてから40年近くが経とうとしてます。もう機体が限界です」
「そうだったな。くそ、アメリカめ。とりあえず状況によっては無理矢理にも飛ばしてくれ。あとその偵察機の新型の予算も下ろしてくれ」
「あの~予算が」


総理の指示に財務大臣が苦言を呈す。


「いいじゃないか。補正予算組んでいるだろ?」
「防衛費がそんなことをすると3,4倍増加どころの話じゃすまなくなりますよ」
「いやあの戦争あったし。米国から輸入する飛行機とかも供給できなくなっているからということでね?」
「無理です。せめて2.5倍までにしてください」
「だってよ防衛大臣。すまんがこれでやりくりしてくれ」
「隊員たちに臨時手当も出しています。防衛費をせめて昨年比3.3倍はお願いします」
「3.3倍...だと?今衛星の打ち上げとかでただでさえ予算が枯渇しているのに」
「あっ!では石油の生産分をすべて防衛費に回すというのは?」
「まぁ。いいでしょう。特域の自衛隊敷地となっていますし、産出できたとしても微々たるものでしょう」
「ではそういうことで」


防衛大臣は内心ほくそ笑んだ。政府にもまだ石油については詳しく報告していなかった。実際には先行調査でこの国の石油消費量の20年分は補えることが判明していたからである。これは石油開発を担当する企業の競争入札を防衛省の名において行ったからである。また、海中にも石油が発見されたため、担当業者の入札が行われることとなる。


後々、自衛隊内からは"さすがは防衛大臣様"といわれるのであった。

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