日本は異世界で平和に過ごしたいようです

こああい

第22話

不審船
「海上自衛隊だ!速やかに投降せよ」
ミサイル艇に攻撃したと思われる船に強行接舷した立検隊は該船の停止を試みた。
立検隊は64式の装備が1人、89式の装備が2人、9㎜機関拳銃の装備が1人という構成になった。なおうち全員が9mm拳銃の装備をしていた。
「なんで魔石砲が直撃して航行できるんだよ!木造船じゃないのかよ!」
「半ギレされても...とりあえず速やかに投降せよ」
自衛官たちは対応に困りながら投稿を促す。
「くそ!なんでこんな目に合わなきゃいけないんだよ!」
そう言いながら構造物の陰に隠れる船員であった。この船舶ははやぶさ型より一回りぐらい大きいサイズである。うまいこと漁船を装っているが現在の航行速度は約20ktと、アトラン港に籍を置く漁船では考えられない速度である。
「総員、前進。出来れば発砲は避けろ」
立検隊は身を隠した船員を確保するために前進する。なお、武器にはきっちりと実弾が装填されていた。
「くそ!とっとと消えてくれ」
突如、船員が陰から飛び出してきた。
「ぐっ...」
立検隊のうちの一人が肩に負傷した。まさかの船員が銃を構えていたのだ。構えていた銃は20世紀の初めに開発されたようなボルトアクション式ライフルだった。
「撃て!」
立検隊隊長が射撃を指示する。その刹那、各隊員のもつ武器から弾丸がばらまかれる。
数秒後、敵対行動をとった船員は船の甲板に倒れた。
「クリア!負傷1名」
「船内の制圧を行う。負傷者に関しては護衛一人を残す」


「海上自衛隊だ!我が艦艇に攻撃をしたとして貴殿らを逮捕する。速やかに投降せよ」
「なんだなんだ?」
突如船内で強烈な音がしたと思えば、操縦室に奇妙な服装をした未知の男らが逮捕するなどと言ってきたため、困惑するのも無理がないのは当然である。
「今すぐ所持している武器を捨てろ。さもなくば我々は貴殿らに発砲しなければならない」
男たちは動揺を隠せないようだ。その後、男たちは手に持っていたボルトアクション式ライフルの銃身を短くしたようなものを床に落とした。
それを見た自衛官は拘束の準備をする。しかし、油断大敵であった。
男は懐からリボルバーを取り出した。そして引き金を引こうとした。


だがしかし。


操縦室に射撃音が響き渡った。それと同時に男の手元からリボルバーが落ちる。
きちんと警戒をしていたもう一人の自衛官が、引き金を引こうとした男の手元に向けて射撃したのである。
この自衛官はもともと射撃技術は高かった。射撃大会で入賞するほどだったが、地方隊から移動したくなかったらしく、今回のはやぶさ型に乗船していたのであった。
もう一人の男は恐怖で足がすくんでいた。




船内を制圧したのち、船内の捜索を行った。オルスター王国海軍は何故かいまだに来ないため、船員たちの救護もできないのである。一応離脱したはやぶさ型を呼び出している。
「なんだ?この光る石」
「この大砲的な奴も気になりますね。説明してくれ」
「ふっ、我々は世界有数の軍事大国だ。だから君たちは知らないだろうが、これは魔石を起爆剤として弾丸を撃つものだ。弾丸っていうのは君たちが使っている矢の先っぽみたいなもんだな」
「...馬鹿だな」
ペラペラと原理をしゃべる情報局員を見て、思わず叫びたくなったようだ。もちろん小声であったが。
「魔石ってなんだ?」
「そんなものも知らないのか?えっでもお前らが乗ってた船は魔力駆動だろ?」
これ以上ぼろを出すと、まずいことになりそうな気がした自衛官らはテキトーにごまかす。
「ああ。我が国で言う魔鉱石かな?」
自衛官は適当にでっち上げた。
「多分あっているだろうな。ってかしゃべったらマズイなこりゃ」
ようやく事の重大性に局員はそれ以降何もしゃべらなかったという。


20分くらいしてやってきたオルスター王国海軍の船に引っ張られて敵船はけん引されていったが、船内で押収したものは引き取ることが出来た。理由としては海軍の警備不足といわれ反論できなかったとかなんとか。
日本側が押収したものは、乗員が所持していた銃器などと、"魔石"と語っていた鉱石、船内に装備されていた魔導交信機などである。




在日米軍 司令部
「いい加減活動させろよ、日本よ」
「このままだと隊員の練度も保てませんしな」
「日本側はうやむやにするだけで、反応を返してきませんからね」
「でも日本側の支援がないと私たちは路頭に迷うことになってしまうな」
「確かにな。臨時政府の資金援助もしてくれている。他国の臨時政府は認めていないが、我らだけ黙認してくれているしな」
「ああ。まぁ中国とか韓国の政府に資金援助したくないのは当たり前の思考だな」
「とりあえず、日本政府のつかんでいる現段階での情報を出来る限り調達してきてくれ」
「了解しました。総司令」


その後日本政府からはある程度の情報が得られたが、代償として幾分かの軍事機密を失ってしまい、"Oh My God!!"と叫ぶ羽目にことをこの時の在日米軍の幹部らは知る由もなかった。

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