日本は異世界で平和に過ごしたいようです

こああい

第12話



5日後。
政府は本日より開始される食糧輸入に関して予定通りに実施することを決定した。
しかし、オルスター王国に派遣した艦隊が攻撃を受けた事案をうけ、輸送に関してはおおすみ型輸送艦は港湾設備が整っていないと判断されたため、輸送艇1号型の2隻を投入することにした。なお、護衛に関しては公開防衛は護衛艦たかなみと護衛艦てるづきを投入し、アトラン港周辺のオルスター王国領海までは佐世保警備隊の第3ミサイル艇隊(はやぶさ型ミサイル艇2隻)が護衛する。はやぶさ型ミサイル艇は小型であるかつ、艦砲や対艦ミサイルを搭載しており、防衛には最適だったからだ。
また、異惑星における未知の病原菌は発見されておらず、派遣艦隊に従事した保安官・自衛官等に異常が認められなかったため、とりあえずは国民の食糧を確保することを優先した。
なお、国会では異惑星における情勢に対応するための法案が可決されようとしていた。憲法改正は一部野党を抱き込まないといけないが、法案可決なら、衆参両院で安定多数を獲得している現政権で半ば無理やり押し通せた。


これに対する国民感情だが、負傷した保安官が出血多量で殉職したのを受けたのか、基本的に賛成派が占めていた。なお、今回の法案の詳細は、自衛隊法の改正によるとの項目を追加したことである。
護衛出動とは、内閣総理大臣の承認を受けたうえで防衛大臣が出動を命令するものである。内容は、防衛大臣が護衛対象と認めた者及び護衛する者に危機が迫っていると判断した場合、現場にいる最高位の自衛官が護衛対象及び護衛する者の危機を排除するために最適かつ必要であると認められる武力の行使が出来るというもの。なお護衛出動は政府の方針として日本国外に派遣するすべてに護衛出動を命じることになっている。発動の際は日本国外であるとともに、他国の領海であるならば警告射撃を実施するとともに他国政府への可及的速やかな報告を義務づけている。これは文民シビリアン統制コントロールを徹底するとともに、日本領海であるならば海上警備行動の適応がされるためだ。なお、今回の法改正により、海上警備行動などの自衛隊の行動の一部が改正されている。


しかし、憲法改正については国会で未だに議論が行われている。法改正と違い、国民にも判断する機会があるため内閣の好感度を著しく落としてしまってはいけない。日本のメディアは批判的なメディアが多数存在しているため、うかつな行動はとれないのである。




また、1週間後には外務副大臣によるオルスター王国の王都カスティア訪問が予定されている。なおカスティアまでの移動はオルスター王国側で手配するとのことなので日本側としては自衛隊員を護衛に付かせるしかなかった。そのため第1空挺団より護衛に20名の派遣が決定している。ちなみに、食糧輸送艦隊に追わせて、護衛艦かがが同伴し、いつでもヘリコプター(SH-60K・MCH-101)及び戦闘機(F-35B)が発艦できるようにする。
なお、今回の会談ではオルスター王国との継続的な食糧輸入や日本とオルスター王国との技術共有、オルスター王国との安全保障の協議などについてだ。また、日本における他の戦略物資(石油や金属類)などの調査についても協議する予定だ。なお、日本とオルスター王国との文化についても話し合えたらと政府は考えていた。






防衛省 防衛装備庁
防衛装備庁では先日攻撃を受けた艦艇についての評価を行っていた。しかし、使用された弾丸と思わしきものが未知の物質であることが判明した。なお、分析の限り石材であることが判明していて、石材をどのように硬化し装甲を貫通できるレベルにできるのか等の技術を調べていた。
まだこれについては防衛装備庁の中でも一部にしか知らされていないが、使用された弾丸と思わしきものは先端が尖っているが、あまりに強度が強いことと同時に弾丸の直径の精度があまりに悪すぎるのだ。
今回のものは34mm~36mm程度のものであったが、海上保安庁が撮影した動画より、発射レートが毎分500発程になると推測されている。ちなみにこれは64式小銃に匹敵する発射レートであり、口径が似ているエリコンKD 35 mm機関砲にやや劣る程度の発射レートである。なおこれは87式自走高射機関砲(通称:ガンタンク)に搭載されている。
日本側からすれば約2Kmまで接近していたとはいえ、防弾ガラスを貫通する威力の火砲が搭載されていたことは大変なる脅威である。
防衛装備庁は敵船の引き上げを一刻も早く行いたいが、そうもいかないのが外交なのである。今回の沈没地点は公海上であるが、地球で言えばオルスター王国の排他的経済水域(EEZ)である。オルスター王国にはそんな認識は持っていないのだが、何食わぬ顔で調査するのは厳しいのだ。







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