日本は異世界で平和に過ごしたいようです

こああい

第2話

西暦2020年10月1日 午後7時
日本を襲った地震による影響により、海外との通信が出来なくなり、大手SNSも不通になったことで、日本全体が混乱に陥っていた。
新聞は号外により、通信障害の一報と共に、1時間後には非常事態宣言が発布されたことを伝えた。
テレビ等各種メディアは、通信障害による混乱や、内閣発表について議論をするなどの特集を組んでいた。


一方、政府では収集された情報の精査をして、どの情報を政府が発表するかについて議論が交わされていた。
「なぁ、この和歌山県の潮岬南方50Kmに陸地があるって報告が上がっているのですが」
「それのソースはどこですか?信頼できる情報源以外は発表できないですよ」
「関西国際空港より飛び立った民間機からの報告です。幸い、大体の民間機は帰投しているとの報告は国交省より上がっています」
「それは良かった。でも陸地があるとは不自然だな。自衛隊に偵察にでも行ってもらうか?」
内閣総理大臣、有野将司が提案する。
「それはできないこともありませんが、領空侵犯とかになったらどうするんですか。それで自衛隊機が撃墜でもされたら国民にどう説明するんです?領空侵犯をしたからっていえば野党からの非難は避けられないでしょう」
首席秘書官、増田が反論する。
「はぁ、なんで日本は民主国家なんだろうか」
「そこを疑問に思ってはいけませんよ?」
「とりあえず、日本の領空からでも得れる情報は欲しい。偵察してきてもらうよう、防衛省に伝えてくれ」


同刻 防衛省
「総理より、自衛隊機による哨戒活動の命令を受理しました」
「哨戒活動...か。普段はこんなことださないのにな。つまり領空侵犯はするなということだな。了解した。どこから哨戒機を出すか」
「厚木から出すのがよろしいかと」
「分かった。厚木基地に出動要請を出してくれ」


30分後 総理官邸
「ではこれから閣議を開始します」
「ではまず国内の情勢について」
「では私から。異常ともいえる通信障害はいまだ復旧のめどが立っておりません。総務省では引き続き対応を行っていきますが、不可能であるかと」
「ありがとう。では経産省の方はどうかね」
「はい。経済産業省といたしましては、残存する資源がせいぜい2か月持つか持たないかというところで、国内の物価も徐々に上がってきていることが、不安であるところです」
「分かった。資源の調達手段の早期確保を目標にしていこう。では国交省は?」
「国土交通省では、気象庁の観測がまったくもって実施できていないこと。そして日本を発った民間機の一部が行方不明であるとのことです。」
「う~んGPSとかも不通になっているからなぁ。仕方がないか」
「では防衛省からは先ほど厚木基地より哨戒機を和歌山県南域に向けて離陸させました。夜間ということで得られる情報は少ないですが、少なからず情報が得られると思います」
「わかりました。次に環境省のほうは...」








和歌山県潮岬南域に向けて飛行中のP-1にて


「なぁ、日本が違う惑星に移動したって説信じるか?」
「おい、職務中にそんな話するな」
「でもこんな夜間に飛ぶっていうことはそういうことだろ?」
P-1のクルーらはそんな雑談を交わす。
「まぁ、こんなにも漁船とかの反応がなかったら多少は信憑性は増すが」
一応、日本政府は非常事態宣言によって、航空機や漁船の一切の航行を禁止していた。理由としては、大規模な通信障害や、一部航空機及び漁船が音信不通になったことなどを受けて、これより、被害が拡大するのを防ぐためだ。
そのため、現在日本領海及び領空で活動するものは、報道ヘリなどを除いては全くなかった。
「おい!お前らまじめに仕事しろ」
TACCO1(戦術航空士)から注意されるミッションクルー2名。しかたがなく、モニターを眺める。


すると、わずかな反応があった。
「赤外線センサーにわずかな反応あり!」
「対象の詳細は?」
「生物および陸地であると思われます。生物については現在およそ50から60ノットで飛行しながら当機に接近中であります。会敵時間は残り10分」
「了解。すぐさま回避軌道を取る。司令に連絡してくれ」
すぐさまP-1は回避軌道を取り、基地に帰還するよう飛行する。。哨戒機は戦闘できるわけではないので、危険を察知したならばすぐさま帰還せよと命令を受けていた。


「状況報告!」
TACCO1が状況報告を求める。
「音響センサーについては反応なし。」
「FLIR(赤外線センサー)によって検知されたものについては、IRST(赤外線捜索追尾装置)により引き続き監視を継続。現在は時速約100ノットであり、このままでいくと領空侵犯をする可能性があります」
「了解。スクランブルも視野に入れるよう司令につたえよう」


 

同刻 首相官邸 閣議 
閣議は終盤に差し掛かろうとしていた。
「では関係省庁は引き続き提起した問題について対応をお願いします。」
「急にすみません。」
「なんだ、日野防衛大臣」
「はい。まず、現場海域へ哨戒に向かっていた海自機が、和歌山県の潮岬南方50Km付近に未確認の陸地を発見。および未確認の飛行生物より、時速100ノット程度での追尾を確認。領空侵犯する虞れがあり、スクランブル発進が実施されました」
「なんでそれまで状況が入ってこない。スクランブル発進はもしファーストコンタクトだったらまずいだろう」
「なんともレーダーサイトでは、探知不能であったらしく、熱による探知で判明したとか」
内閣総理大臣は、若干焦りの表情を見せている。
「出来れば撃墜しない方向でやってくれないか?」
「もちろんそういう風に指示はしていますが、何せ、時速100ノットでは戦闘機には遅すぎるとのことで」
「分かった。ではその陸地に明日、海上自衛隊を派遣して現地の状況を確認してきてほしい」
「それは可能ですが、国民にはどう説明しましょう」
「大丈夫。しっかり考えておく」
不安げに総理は答えるのであった。





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