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魔導と迷宮~最強の冒険者は少女を育てるようです~

ノベルバユーザー465165

49話

 座り直したアインにユニは会談での第一皇子のことを告げる。


「ウルから少し聞いてるかもしれないけど会談の最中にいきなりフリューゲル皇子が死んだわ。それも確実に魔法によって殺された」


 アインはさして驚きを見せずに青い獣の方をじっと見つめている。


「それはそうでしょう。そんな不審な死を演出できるのは魔法くらいですから。それで何が言いたいんですか?」


 アインはユニの真意を問う。今聞いた事実だけでは何を意図しているのか感じ取れなかったためだ。アインはこの話をウルに聞いた段階で第三の勢力がこの戦いには関与していたことを確信していた。だが、もしそうだとしたらその目的が何だったのかがわからない。帝国が荒れる原因だけ作ってそれがカームベルによって取り除かれるのを黙って見ていたことになるからである。ユニは当然そのことを知っているし、誰がやったかも検討はついているだろう。ウルもそれを示唆するようなことを言っていた。アインの逸る気持ちが小刻みに揺らす右足と滲みだす大量の魔力にも表れている。


「気になるのは分かるけどそんなに焦らないで。ほら、あなたの魔力の圧力でコルネットちゃんが苦しそうよ」


 アインはちらりとコルネットの方を見ると表情が強張り、冷や汗を流していた。軽く息を吐きながら自戒し、魔力を抑える。


「すまなかった。以後気を付ける」


「気にしないでください。このくらいで気圧される私にも問題がありますから」


 コルネットはぎこちない笑みを浮かべる。アインは彼女の好意に甘え話を進めるようにユニに目配せをする。


「さて、話を戻すわね。アインも薄々感づいてると思うけどこの件に関わっているのはザイン、あなたの義兄よ」


 アインは瞳孔を大きく開き、拳を強く握る。その大げさな態度の意味が分からずコルネットは困惑する。


「コルネットちゃんはこれではわからないわね。だからちゃんと順を追って説明するわ。まず、私たちカームベルは現在八人のメンバーが所属しているけど三年前までは九人だったのよ。だけど、私の方針に従えないからって抜けちゃったのよ、カームベルを」


「つまり、その人物が今回の帝国の騒動の裏にはいたということでしょうか?」


 ユニの説明を遮るようにコルネットの質問が飛ぶ。


「その通り。あと、勘違いしないで欲しいのだけれどこれはあくまで私の推測よ。確実な情報というわけではないわ」


 その言葉にアインは疑問を抱き、ユニに食って掛かる。


「ユニ様、それは本当ですか?あなたが帝国内でのザインの行動を知らないなんて信じられないのですが………」


 アインの言葉にユニは楽しそうな笑い声を漏らす。アインはその反応に思わず鋭い視線を向ける。


「別にあなたをからかってはいないわ。でもアイン、私の力を過信しすぎるのはよくないわよ。私だって人の多い場所での情報収集は十分には行えないわ。私の作った子たちを紛れ込ませるのが難しいからね。あなたも分かっているでしょう?」


「ですがザインは攻略者。その膨大な魔力は隠そうと思ってもそう簡単に隠せるものではないでしょう。それにもし隠ぺいしていてもユニ様なら見破ることなど造作もないことのはず」


「ザインのことを甘く見すぎよ。あの子の『魔法』を使えば私だけじゃなく誰であってもザインのことを感知できない方法はあるわ。寧ろなければあの子は私のもとを離れたりしなかったでしょう」


 アインはその言葉を聞き、暫くの間沈黙を保つ。ユニの言葉の方が納得ができるが簡単に納得できない感情が暴れているからである。そんなアインと同様にコルネットも心中穏やかではなかった。突如暴露された大きな秘密に驚き、そして自分がどう行動するべきかを試算し始めた。そんな二人の思考を慮ってかユニが発言する。


「二人とも考えるのは後にしなさい。別に今後すぐに何かが起こることはないわ。それぞれが好きなだけ考えて納得のいく答えを出しなさい。それぞれに思うところはあるだろうけど今片付けられることではないでしょう」


 アインは何か思うところがあるような様子だったが素直にその言に従う。


「……分かりました。ではユニ様の要件も終わったでしょうし失礼します」


 アインはそそくさとその場を後にした。アインの姿が消えたのを確認するとユニがコルネットに語り掛ける。


「さっきの話を口留めはしないけど王国や神国の一部の人間も知ってるから帝国だけのアドバンテージにはならないということだけ一応伝えておくわ。それ以外は好きにしなさい」


 そう言ってユニが作り出した青い獣はコルネットと初めて会った部屋へと戻っていく。コルネットはその姿を深々と頭を下げ見送った。







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