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魔導と迷宮~最強の冒険者は少女を育てるようです~

ノベルバユーザー465165

37話

 会議の決着がついたころ、シンシアたちはギルドの方に来ていた。セレンに会い、今日は依頼をしないという旨を伝えるためだ。二人は扉をくぐり、槍を背負った金髪の女性を探す。すると、依頼が張り出されているボードの横にそれらしき姿を見つけた。帝国ではルナール教の法衣は珍しく、目についたのだ。


「セレンさん、お待たせしました」


 綺麗に切りそろえられた金色の髪が揺れ、優し気な視線が二人を捉える。


「こんにちは、シンシア、ノイン。私も今来たところだから気にしなくていいわよ。さて、それじゃあ今日はどこに行きましょうか?」


 にこりと笑顔を浮かべながらセレンは言う。その言葉にシンシアは愛想笑いのような曖昧な笑みを浮かべた。言いにくそうにしているとノインが事もなさげに答える。


「今日は依頼には行けなくなった。にいの……ブラッドの指示」


 セレンはさして驚いた様子もなく穏やかな表情を浮かべていた。


「そうなのね。分かったわ。じゃあこれはいらないわね」


 セレンはあらかじめボードから確保していた依頼を再び張り直した。その後、眉間に皺を寄せ思案顔を浮かべる。おそらく決まっていたはずの予定がなくなりこれからどうしようか考えているのだろう。シンシアはその隙を狙ったように提案をぶつける。


「あのセレンさん。私たちは帝都から出なければいいんです。ですから帝国にあるルナール神殿に行ってみたいと思っていたんですけどダメですか?」


「別にいいけど………でも、ルナール教徒でないなら行ってもつまらないと思うわよ」


「ん。そのとおり。あそこに行っても得るものは何もない」


 二人から神殿に行くことに対して否定的な意見が返される。だが、シンシアの意思は固いようで真っ直ぐにセレンを見つめている。


「それでもいいんです。それに今日は帝都から出られないですから暇なんですから」


 シンシアの意外な真剣さにノインも渋々その意見に賛成する。


 三人はギルドを出て大通りを真っ直ぐ歩いていく。左右には様々な露店が見えているが活気はあまり内容で人の往来は疎らだった。人通りが少ないせいか一行はギルドを出て数十分ほどで神殿に程近い色場まで来ていた。広場の中心にある芸術的な意匠が施された噴水を眺めながら淡々と歩を進めていく。


「もう少しでルナール神殿よ。まあ、帝国にあるものだからルナール神国にある大神殿なんかと比べるとかなり小さいけどね」


 その言葉通り数分ほどで神殿に辿り着いた。だが、目の前に映ったのは神殿というよりも教会と言った方が正しいと思われる建物だった。


「これが神殿ですか?教会のような気がしますが……」


「ん。なんか思ってたよりしょぼい」


「仕方ないのよ。本当の神殿のようなものを帝国で作るほどの予算がないから。見た目は教会だけど一応建前上はこの建物は信者が礼拝をする教会ではなく神像なんかを安置する神殿という扱いにしなければならないの。あくまでルナール教が信仰する神への敬意を表しているだけで他国で宗教を広めようとしているわけではないという名目がなければならないみたい。馬鹿らしいと思うけど一部の貴族の人にはこういうのが重要みたいなのよね」


  貴族にいい思い出がないのか辟易とした様子で語る。シンシアは興味深そうに話しに聞き入っているがノインは欠伸をしながら目を擦っている。それを見てセレンは毒気が抜かれたのか笑みがこぼれた。


「とりあえず中に入ってみる?外観よりは見る価値があるものはあるけど」


「そうですね。中に入ってみましょう」


  そう言って中に入ろうとした瞬間、巨大な何かが落ちてきたような衝撃が帝都を襲った。三人が後ろを振り返ると広場の方から砂煙が上がってるのが見えた。セレンは二人が声をかける間も無く広場の方へ駆け出した。シンシアたちもそれを追う。広場に着くと粉々になった噴水の上に何かがいるのが見えた。それはかなり大きく周囲の建物と同等かそれ以上に見えた。


「我は聖霧山に住む竜である。貴様らは太古の時代から続く盟約を犯した。その重さを知れ」


  砂煙が収まりその竜の姿が見え始める。半身は光り輝き、もう半身は赤黒く染まっており天使と悪魔が混在しているような奇妙な出で立ちをしていた。三人がその姿見て惚けているとその竜は口から巨大な光の奔流を放った。それは帝城の方へと向かいそのまま貫く。地平の彼方まで届きそうな光の槍に蹂躙された城はぽっかりと穴を開け、城全体の四分の一ほどが完全に破壊されていた。


「今のはほんの小手調べだ。これから先ほどのような攻撃を帝都中に行う。逃げるならば早くした方がいいぞ。一刻もしないうちにこの場を滅ぼすことなど造作もないことだからな」


  その声は帝都中に響き渡り、住民たちに死の宣告を突きつけた。





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