魔導と迷宮~最強の冒険者は少女を育てるようです~
25話
シンシアたちは黒鬼たちを倒した後、助けた冒険者たちと共に森を探索していた。彼らはこの森で活動していることが多くこの森のことには詳しいらしい。
「いやー金級冒険者のセレンさんと<虚空>のお弟子さんに会えるとは光栄ですわ」
戦闘を歩く戦士風な格好をした男、トルネが笑顔で語る。
「セレンさんはともかく私たちもですか?確かに先生は凄い人ですが私たちはまだ最下級冒険者ですよ?」
シンシアの隣を歩いている盗賊風な女、アーネがその疑問に答える。
「全員がそう考えているかはわからないけど少なくとも私たちは冒険者のランクなんて唯の指標だと思ってるの。冒険者のランクは強さよりもギルドへの貢献度を表す場合が多いから。それにあなたたちは私たちが手も足も出なかったあの魔物に無傷で勝った。そんな相手を舐めるような馬鹿ではないのよ、私たちは」
「そのとおり。我らはセレン殿だけでなくあなた方二人にも同様に敬意を持っている」
重戦士風の男、グラードも追従するように同意する。
「そうなんですね。でもその評価は恐れ多いです。私はまだまだですから」
「ん。良い心がけ」
二人は対極な反応を示す。それを見てトルネはけらけらと笑う。
「嬢ちゃんたちおもしれーな。意見や態度は全然違うのに戦いになったらあんだけ息が合うんだからな。でも、シンシアの嬢ちゃん謙遜も行き過ぎれば毒だ。一流の冒険者は自分の実力を適切に客観視できるもんだぜ」
シンシアはその言葉を聞き苦笑いのような曖昧な表情を浮かべた。
「何偉そうに言ってるのよ。私たちもそれができてなかったからやられかけたんでしょ」
トルネは頭を掻きながら目をそらす。その後もアーネはぐちぐちと色々と不満をぶつけている。
「談笑するのもいいけどそろそろ本題に入っていいかしら?」
セレンは透き通るような声を響かせた。三人の冒険者達にかすかに緊張が走る。
「すみません。騒がしくって。今からは真面目に探索しますから」
「いえ、それは別にいいのよ。だけれどまず確認しておかなければならないことがあるでしょ?」
「ん。確かに。あの異常な黒鬼がここでは普通なのか調べておかないと」
「えっと、あの黒鬼はやっぱり異常な部類何ですか?」
シンシアは不思議そうな表情をして周りを見渡す。三人の冒険者達は悩まし気な唸り声をあげている。その様子を見てセレンが話し始める。
「確実に異常だと言えるわ。通常の黒鬼の討伐難度は決して高くないの。それこそこの三人くらいの等級の冒険者なら狩れてもおかしくないくらい。でも、実際はこの子たちを圧倒していた。これだけでもおかしいけどそもそもここに出ること自体がおかしいのよ」
シンシアは疑問符が浮かびそうな表情で小首をひねる。他の四人は意味が分かっているのか納得したような様子だ。シンシアの心情を察してかトルネが語り始める。
「嬢ちゃん、ここは黒鬼が生息するには適した環境じゃねーんだよ。黒鬼は雑食だが基本的に肉食だ。だが、この森にすむ主な魔物は<毒蛇/ベノムスネーク>と<苔亀/モスタートル>この二種類だ。毒蛇はそのまま食べればかなり強い魔物でも無毒化できないほどの強い毒を持ち、苔亀は体のほとんどが甲羅とそれに生えている苔だ。つまりこの森にはあいつらが食べれるような食料がねーんだわ」
「ええ、その通りよ。毒蛇や苔亀は人間にとっては色々と使い道があるから重宝されるけど魔物にとっては大した獲物足りえない。だからここに定住するとは考えにくい。この異常な強さと生息しえない場所に出現したことから考えられるのは人為的に何者かがあれをこの場所に連れてきたということよ」
それを聞き全員の間に緊張が走る。
「セレンさん、これはかなりやばいんじゃ……」
「そうね。帝国の情勢が不安定な今の状況では万が一に対応できないわ」
セレンは考え込むように少し俯きながら目を伏せ、顎に手を当てる。大きく息を吐き、何かを決意したかのように目を大きく見開いた。
「……気は進まないけど早く帝位争いが終わるように私も働きかけてみるわ。どうにかできるかはわからないけど」
「いや十分ですよ。俺たちには何もできませんから。よろしくお願いします」
冒険者三人組はセレンに軽く頭を下げる。
「私も先生にこのことを話してみようと思います。先生ならどうにかできるかもしれませんし」
「そりゃいーな。あの<虚空>が動くならどうにかなるかもしれねーな」
その言葉にシンシアは嬉しそうな笑みを浮かべる。だが、ノインは対照的に複雑そうな表情を浮かべていた。そんな二人をよそにセレンは手を叩き子気味の良い音を立て話を打ち切る。
「それじゃあ、この話はもう終わり。ここからは集中して森を探索するわよ」
その言葉を聞き全員が真剣な表情で頷いた。
「いやー金級冒険者のセレンさんと<虚空>のお弟子さんに会えるとは光栄ですわ」
戦闘を歩く戦士風な格好をした男、トルネが笑顔で語る。
「セレンさんはともかく私たちもですか?確かに先生は凄い人ですが私たちはまだ最下級冒険者ですよ?」
シンシアの隣を歩いている盗賊風な女、アーネがその疑問に答える。
「全員がそう考えているかはわからないけど少なくとも私たちは冒険者のランクなんて唯の指標だと思ってるの。冒険者のランクは強さよりもギルドへの貢献度を表す場合が多いから。それにあなたたちは私たちが手も足も出なかったあの魔物に無傷で勝った。そんな相手を舐めるような馬鹿ではないのよ、私たちは」
「そのとおり。我らはセレン殿だけでなくあなた方二人にも同様に敬意を持っている」
重戦士風の男、グラードも追従するように同意する。
「そうなんですね。でもその評価は恐れ多いです。私はまだまだですから」
「ん。良い心がけ」
二人は対極な反応を示す。それを見てトルネはけらけらと笑う。
「嬢ちゃんたちおもしれーな。意見や態度は全然違うのに戦いになったらあんだけ息が合うんだからな。でも、シンシアの嬢ちゃん謙遜も行き過ぎれば毒だ。一流の冒険者は自分の実力を適切に客観視できるもんだぜ」
シンシアはその言葉を聞き苦笑いのような曖昧な表情を浮かべた。
「何偉そうに言ってるのよ。私たちもそれができてなかったからやられかけたんでしょ」
トルネは頭を掻きながら目をそらす。その後もアーネはぐちぐちと色々と不満をぶつけている。
「談笑するのもいいけどそろそろ本題に入っていいかしら?」
セレンは透き通るような声を響かせた。三人の冒険者達にかすかに緊張が走る。
「すみません。騒がしくって。今からは真面目に探索しますから」
「いえ、それは別にいいのよ。だけれどまず確認しておかなければならないことがあるでしょ?」
「ん。確かに。あの異常な黒鬼がここでは普通なのか調べておかないと」
「えっと、あの黒鬼はやっぱり異常な部類何ですか?」
シンシアは不思議そうな表情をして周りを見渡す。三人の冒険者達は悩まし気な唸り声をあげている。その様子を見てセレンが話し始める。
「確実に異常だと言えるわ。通常の黒鬼の討伐難度は決して高くないの。それこそこの三人くらいの等級の冒険者なら狩れてもおかしくないくらい。でも、実際はこの子たちを圧倒していた。これだけでもおかしいけどそもそもここに出ること自体がおかしいのよ」
シンシアは疑問符が浮かびそうな表情で小首をひねる。他の四人は意味が分かっているのか納得したような様子だ。シンシアの心情を察してかトルネが語り始める。
「嬢ちゃん、ここは黒鬼が生息するには適した環境じゃねーんだよ。黒鬼は雑食だが基本的に肉食だ。だが、この森にすむ主な魔物は<毒蛇/ベノムスネーク>と<苔亀/モスタートル>この二種類だ。毒蛇はそのまま食べればかなり強い魔物でも無毒化できないほどの強い毒を持ち、苔亀は体のほとんどが甲羅とそれに生えている苔だ。つまりこの森にはあいつらが食べれるような食料がねーんだわ」
「ええ、その通りよ。毒蛇や苔亀は人間にとっては色々と使い道があるから重宝されるけど魔物にとっては大した獲物足りえない。だからここに定住するとは考えにくい。この異常な強さと生息しえない場所に出現したことから考えられるのは人為的に何者かがあれをこの場所に連れてきたということよ」
それを聞き全員の間に緊張が走る。
「セレンさん、これはかなりやばいんじゃ……」
「そうね。帝国の情勢が不安定な今の状況では万が一に対応できないわ」
セレンは考え込むように少し俯きながら目を伏せ、顎に手を当てる。大きく息を吐き、何かを決意したかのように目を大きく見開いた。
「……気は進まないけど早く帝位争いが終わるように私も働きかけてみるわ。どうにかできるかはわからないけど」
「いや十分ですよ。俺たちには何もできませんから。よろしくお願いします」
冒険者三人組はセレンに軽く頭を下げる。
「私も先生にこのことを話してみようと思います。先生ならどうにかできるかもしれませんし」
「そりゃいーな。あの<虚空>が動くならどうにかなるかもしれねーな」
その言葉にシンシアは嬉しそうな笑みを浮かべる。だが、ノインは対照的に複雑そうな表情を浮かべていた。そんな二人をよそにセレンは手を叩き子気味の良い音を立て話を打ち切る。
「それじゃあ、この話はもう終わり。ここからは集中して森を探索するわよ」
その言葉を聞き全員が真剣な表情で頷いた。
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