小学生のぼくは日記を書くことにした

文戸玲

優先順位を決める

 ぼくはこれから,何事にも優先順位を決めながら生きていきたいと思う。これからの人生で優先順位を決めて生きていくととても有意義な時間を過ごせるのではないだろうかとわくわくする。なぜなら,ほとんどの小学生は物事の優先順位なんて全く意識せずにただのうのうと欲望のままに生きているからだ。ゲームをしたければ飽きるまでやり続け,実際には飽きることなどないから食う寝るを忘れて精神に異常をきたし,あなたが注意しないからよだなんて夫婦げんかにまで発展する始末らしい。子どもというのは,ぼくたち当の子どもが思っているよりも大人にとっては厄介な生き物であり,それに一日中付き合ってやるよりかはタブレットや携帯ゲームでも持たせて気のすむまで遊ばせてやる方が楽なようなのだ。もちろんぼくは携帯ゲームなどに興味はないし,最近知った言葉で言うならば生産的な生き方をしていきたいと考えているからゲームをして時間を浪費するといった非生産的なことに時間をあほみたいに費やしたくないのだ。少々口が悪くなってしまったが,三浦くんや佐藤さんは快楽におぼれて無制限にゲームをするなんてことは一切ないし,教養の深い人たちである。ぼくは彼らとともに成長して立派な大人になりたい。そのために,当面のぼくの最優先事項は「佐藤さんと仲直りする」ということになるだろう。明日からもそのためにできる努力をしていかなければならない。
 明日,学校に着いたらまずは佐藤さんに三浦くんと三人で一緒に帰ることを提案してみようと思う。そんなことを考えながらロマンチックに星空を眺めてから布団に入った。流れ星でも流れたら仲直りできるようにおまじないをかけようと思った。人生で一度も流れ星を見たことがないぼくにとってはそんなことは起こりそうもないように思っていたが,案の定流れ星は見えなかった。あれはおとぎ話の世界の話なのだろうか。そうではないことはもちろんぼくは知っている。今日もどこかぼくの知らないところで流れ星は流れている。

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