小学生のぼくは日記を書くことにした

文戸玲

佐藤さんが仲間になりたそうにこちらを見ている



 悪代官とそのフンはどこか遠くへ行ってしまった。あっけない終わり方である。三浦くんの方を見ると,先ほどとは打って変わって生き生きとした表情をしている。

「コウシくん,ぼくは感激したよ。ぼくもコウシくんのように強い人間になりたいと思う。」
「三浦くんにそんなことを言ってもらえるなんてぼくは大変光栄だ。それに,ぼくは三浦くんの断固としてあのような連中とは関わらないという態度を見習いたいと思っていたところなんだ。どうもぼくはあの手の連中に仲良くしたくもないのに絡まれやすい性質があるみたいなんだ」
「それ,どこまで本気なの? ぼくはただ怖くて下を向いていただけだよ。それに,コウシくんのあの煽るような言い方,わざとじゃないんだね」
「三浦くん,ぼくはああいう連中と絡むのが好きではないから,言いがかりをつけられるようなことはしていないつもりだよ。でも,口をついて失礼なことを言っちゃっていたのかもしれないな」

ぼくたちは先ほどの事件の分析をしていた。正義のヒーローの存在にものの見事に触れずに。

「二人とも何だか変な話し方。だけど楽しそうね」

佐藤さんは仲間になりたそうにじっとこちらを見ている。ぼくたちは,佐藤さんを仲間として引き入れることとした。佐藤さんも知的で賢いから,いろいろなことを学ぶことが出来るのかもしれない。

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