小学生のぼくは日記を書くことにした

文戸玲

三浦くんと友達になる

 
 五時間目の授業が終わると,ぼくは荷物を片付けている三浦くんのところへ向かった。三浦くんは机の横のフックにかけていた通学用の帽子を手にかけてこれから帰ろうというところだった。


「三浦くん,ぼくは一緒に帰りたいと思っているところなんだ。君はどう思っているところ?」

自分でもなんだかへんてこな話をしていると思った。どれだけ頭が良くて天才になると期待されていても,あまり話したことのない人に「一緒に帰ろう」ということは緊張するのだと感じることが出来たから,ぼくはまた一つ賢くなったのだろう。

「コウシくん。ぼくはこれから帰ろうと思っていて,一人のつもりだったけど一緒に帰ろうと言ってくれる人がいてとても嬉しいところだよ。」

三浦くんもなんだかへんてこな話し方をした。でも,ぼくみたいに緊張した雰囲気ではなく,よくできたへんてこな話し方をするロボットみたいな話かたに合わせてくれたのだ。とっさにこんなことが出来るのも三浦くんがジンカクシャたるゆえんだろう。こうして,ぼくと三浦くんは一緒に帰ることになった。

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