小学生のぼくは日記を書くことにした

文戸玲

中川くんは頭が悪くて優しくない


 ぼくは中川くんを観察することにした。中川くんは頭が悪いからだ。ケンカが強いから誰も何も言わないが,九九だって四の段と七の段が完璧に言えないし,漢字も得意ではない。それでも,正々堂々としているのなら良いのだけど,テストの時には消しゴムを落としたふりをして隣の人の答えを見たり,女の子にちょっかいを出したりする。中川くんは人のやさしくないのだ。人にやさしいというのはどういうことなのかを研究するために,人にやさしくない人を観察してその違いについてまとめようと思ったのだ。我ながら,ぼくはおばあちゃんの言う通り賢いのだと思った。
 今日は頭の悪い中川くんについて分かったことをまとめてみようと思う。

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