三日月
(64) それから
今日のランチタイムには山下くんが枕弁当、ココハ弁当の他に中位サイズのお弁当も持っている。
そして、いつもと変わらず3人がドタバタと走って来て
「エリ逃げろ!!熊が出た」
「課長、今日のお弁当はウナギなんだそうですよ」
「さすが課長、席取っててくれたんですね!」
「えっ?なんでカズがいるの?早々首になっちゃった?」
「オレは、三木谷建設を担当している営業マンですよ。毎週金曜日は、またランチして一緒に帰ろエリ」
「金曜日は、あゆママの店に来てくれるんでしょ?店に一人にしないで下さい!」
「はい、ココハちゃん、熊は行きますよ〜」
「そう言えばオレ、明日の軽井沢で皆んなに発表したい事があるんだ」
実はあれからオレは、、、
今朝、エリにプロポーズをさせてしまった事が、もの凄く気になっていて、、
それで考えて、4人が揃っている時に、そこで公開プロポーズをして皆んなの記憶に残すくらいの事はやりたいと思ったのだ。
もちろん、2人には立ち会ってもらいたいと言う気持ちもある。
「へー。今更か?おせーぞ、待ちくたびれた」
「なんだよその言い草は。発表する内容が分かるって事かよ?スゲー驚く事かもしれないんだぞ!!実はオレも熊だったとか」
「桜井さん、私もその発表、想像つきます」
「ココハちゃん、まあ、、その想像、たぶん当たってる」
数日来なかっただけの屋上の景色が、ずいぶん変わっている。
ベンチやテーブルが並んでいて、女子社員が数名お弁当を食べるのに利用していて活気がある感じだ
「ところで久々来たら、屋上が賑やかになったな。解放したのか?」
「そう、社長にお願いしてテーブルとベンチも追加してもらったの」
「動物も買おうか?ラクダが良い」
「ラクダは夢があるな。って、冬どうするんだよ!日本の冬はサミーぞ。実家のママラクダからラクダ送ってもらわないと」
「さみーぞ!ラクダって、何だ。」
「ホント主任。寒いです。ラクダ履いてるんじゃないでしょーね??でも確かに、家族は引き離せないですね。鯉だ!池にしよ!」
「それが良い、毎週桜井が来るから池の番すりゃ良いな。」
「なんだと!オレにさせる気か食ってやる。網持って来るぞ!」
「ひど~い」
「ここで会社のバーベキューも出来るわね!桜井さんも参加ね!」
「来る来る!楽しそ~」
 昼休みが終わって二人は恒例の儀式を交わすとそれを見ていたココハちゃんが
「私も!」
 と言って更に、ココハちゃんと山下もそれに加わり今日からは恋人ではなく友達の儀式へと挨拶の名前が変わった
6月13日 土曜日
翌朝 オレは神からのメールで目を覚ました。
内容はこうだ
「直ちに窓を開け、投げキッスをすべし」
なんだ?このハズいメールは??
エリのやつ、これから毎日オレにお告げを出す気じゃないだろうな?
飛び起きカーテンをピシャーっと音を立てて開けると、いつもの寝起きのクシャッとしたエリが、シャボン玉をしている。
昨日はアレを間近で拝めた。
その胸元にはキランとネックレスが光っている
エリに向かって前周りに両手を伸ばし、ゆっくり天に向かって伸びをして、世界中の空気を吸い込むと、特大の声で「オハヨ」と言って驚かせた。
返事の「オハヨ」も特大で、ビックリした。
それから、ハズいが、世界で一番大きな投げキッスをしてやって、そのシャボン玉娘を大爆笑させてやると、胸が幸せでいっぱいに満たされた。
一昨日、あんなに泣かせた隣のウチの同級生が笑ってくれている。
それから暫くして、私は山下のお迎えをカズの部屋で一緒に待っていた。
ドアベルが鳴り自慢のデカイ車で登場した山下くんは、みんなから大ブーイングされている。
「これじゃ~みんなでお話ししながら走れない」
「キャンプもしないのに場所取り過ぎ、駐車場どこにも入れないからな!」
「おいおいわかったよ。ひとまず乗れ、自宅で乗り換える」
「主任はどーせバイクでしょ?4人でバイクに乗せるつもりでしょ?ボルボでいいじゃん親心」
「賛成~」
「オレんちは、車ならいっぱいあるぞ。中でも、これがトップのレアものなんだがな。」
「確かにキャンピングカーは凄い、だがまたの機会にしろ」
「来週は動物園と浅草の寄せ」
「再来週は動物園となんにする?」
「動物園と私のお誕生日会」
3人が
「お~21歳」
「そして次は動物園とハムスターか?」
「これで動物園の元取ったから、次はキャンプしようぜ。猪苗代湖でジェットスキーだ、楽しいぞ~ビキニ着て来いよ!」
「わーい!ビキニ買いに行く。」
「そうだ、オレ車買うんだ。仕事で必要で、エリ、ドライブ行こうな。運転うまくなるまでボルボで練習させてくれ」
「おう、保険かけとくぜ!」
「私も練習付き合う。何処行く?」
「一つ質問なんだけどな、お前ら二人なんで付き合ってないと思ってたんだ?あれは正真正銘の恋人同士って言うんだゾ! 今日の発表が、付き合う事にしましたぁ〜。だったら、頭、はたくからな!」
「それね、二人はコミュ障でそれを克服する為に協力して恋人モドキしてたんだ。でももう練習は必要なくなった」
「ああ、そーかよ。なるほど、よかったな。勝手にやってクレ!」
   結局、メールの謎は謎のまま終わり、そのお陰で、しばらく私達は秘密の共有が出来て、これは本当に神からのプレゼントだと決めると
その後新しい神は、
私が引き継ぐ事にして、カズに笑われました。
個人的には、自分の深層心理のような内なる所から湧いて出た導きなように感じて、受け入れてしまっています。
それからも、スマホは生かして、また神からのメールがいつ届いても良いように、ずっと手の届く場所に
奉りました
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