三日月

ghame

(58) 三日月の空想の世界

          
      6月10日 水曜日

 朝目覚めると日課になっている部屋の窓を開けた。
 目覚ましは、毎日6時にセットしているが昨日も早くからベットに入り泥のように寝たのでまだアラームの鳴る前だ。
 時計を見ると5時、エリの部屋の窓が開いているはずがない。
 最近は、月光の第3章を制覇しようと決めて、夢中に打ち込んでいる。
 椅子に浅く腰掛けて、ヘットフォンをしたが空想の世界へと意識が飛んでしまうのだった。

 エリが部屋に来た日、ソファーに座ったエリの膝小僧が白く光ってドギマギしていた時に膝掛けを要求されて心を読まれてのかとドキッとした。
 その後寝てしまって起きたら帰ってしまっていて自分の部屋が寒々と感じた。

 それから、エリは明るくなったな。
あの二人の絡みにも楽しんで参加するようになって、笑顔も増えてギクシャクしていた会話も自然になった。

 そういえば、金曜日のあゆママのアドバイスは深く響いた。
 まず自分を好きになる事、あの言葉があって今回の転職には迷わなかった。
 それから「誰を好きかではなく、誰と一緒にいるときの自分が好きか」だろ?
 断然4人でいる時の自分が、一番自然体だと思うから好きだ。
 山下が俺の部屋へのお初のお泊まり客だ。
あいつはどんな形のピースでもぴったりハマってしまう不思議なジグゾーパズルのピースだ「不思議なジグゾーパズルのピース」は名言だろ、ココハちゃんに新規登録申請をしてみよう。

 そして神からの金曜日の指示は「同窓会でエリの隣に座れ」だった。
 オレは本能でエリには会わせてはいけない奴が来るような直感に、いたたまれなくなって会場から連れ出してしまった。
 ゴールドのドレスを着て髪を結った首筋や、ネックレスのひかる胸元を誰にも見せてはいけないと思ったのだ。
 エリはそんな俺のわがままにいつも付き合わせてしまって、嫌な顔一つせず毎回それを楽しんでいるように見える。

 それから山下の家に向かう車の中で、ウトウトしていた俺を膝に抱いてくれた。
 驚いたが、心地よく良い匂いまでして時折オレの顔や髪を弄ぶひんやりとした指にゾクゾクさせられっぱなしだった。

 翌日の神から出ていた指令は
「グループデートで学ぶべし」
 エリとも気が付いたんだがあの二人の会話は、かなり目から鱗で、メモしたかったくらいだ。
 それからアメ横の三人組はなんだ?
 今思い出しても胸糞悪い。待っていた二人の怯えたあの表情を見たら、持ってる食べ物をぶちまけて飛びかかりそうなほど理性が飛んだってのに。最後はエリの大爆笑で空気を一変してくれて、その後の時間も、とても楽しく過ごせた。

 翌日、三木谷建設が最後の日となるのだが。
神の指令は「キチンとした格好で会社にいく」これは転職を受けろというメッセージに違いないと感じた。
 エリにあそこまで悲しい顔をさせてしまったことに胸が痛んだんだが、あの会社にいるといつまで立ってもエリの部下でいる事になる。
 男として、それはダメだろ?

 そして新しい会社となる訳なんだが「?」と思う指示だった
「挨拶をしろ、他人を褒めろ」
 三木谷建設の時と同じだ!このマニアルは新天地では応用が効くという事なんだな。

 その新しい会社なんだが、さすが大手。なんと言ってもオフィスがキレイで働いているスタッフも洒落ている。
 女性の髪やネイルがギラギラしていて目がチカチカしてくる。
 初日から女子社員から恥じらいも無く質問責めに会い、合コンの誘いや飲みの席の案内と、目まぐるしい時間だった。
 今日が本当のスタートになる。
 気合を入れて臨まねば、その前にエリの顔が一目見れると良いんだけど、初日の今日は7時半に自宅を出る予定でいるから、すれ違いかな?


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