三日月
(55) もう少しやれる気がする
さて、最後のカズとの通勤は明るく振る舞うように決めていたので、週末のお泊まりの話をすることにしていたのだが
カズからの第一声が
「昨日カネと楽しかった?12時過ぎまでは起きてたんだけど、そんなに遅くまで珍しいね、お話弾んで良かったじゃ無いか」
ギクーっと、した。
「そうなの、カネ社交的で話題も豊富だからなんだかすごく勉強になった感じ。あれが人間力ね」
「何か面白い話はなかったの?」
「そう言われたら、特にはないかな?」
「オレも今度は一緒に行きたい、同窓会の様子も聞きたいし」
「ほんとだね、また誘われたら一緒に行こう。」
「そういえば、花火を買いに行かないとじゃない?」
気まずかったので話題を変えた。
「そうでした。なんだか買いに行く時間なさそうだね。」
「お散歩の時ドラックストアに立ち寄る?」
「それしか無さそうだね」
「それと、何を作るの?お料理披露するのよね?」
「そうなんだよ!ホイル焼きかな?それとも焼きおにぎり?思案中です」
「私も考えてみる」
「よろしくお願いします」
「それとオレさ、新しい仕事始めると、家帰ったらすぐに泥のように寝る体質なんだ、明日まで泥になるかもしれないから、お散歩できなかったらごめん」
「わかったわ、泥になって下さい」
「話がまだ続いて悪いんだけどオレさ、三木谷建設スッゲー楽しかった。エリのおかげで友達も出来たし、いっぱい笑ったし、ピアノもひけたし思い出いっぱいだ。そして、も少しやれる気がするんだ。もう昔の自分じゃ無いから。実は前の会社で濡れ衣を着せられて辞めざるを得ない状況に追い込まれたんだけど、あの時、信頼できる友を一人でも作っておけば、結果は違ったものになってたはずだ。要領は得たつもりだ自分を試して来る。」
「うん、カズなら大丈夫、私が、そしてみんなが保証する。愚痴も聞くし、甘えても、拗ねても良いよ。寝たふりも許してあげる。だから心のままに後悔だけはしないで、カズの見たい未来を見て来て!」
「ウオシャー!エナジー補給出来た」
「山下くんがかなり移って来てるよね?それなら益々問題ない。」
「オレもそんな気がする」
   駅前の分かれ道で、
カズは右手の拳を伸ばして来たので、私も拳を伸ばして儀式をすると、それぞれの場所へと消えて行った。
そして昼休みに、やっぱりカズは現れなかった。
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