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三日月

ghame

(49) 笑いの神

 
 イカった男性二人には、焼きイカはぴったりな食べ物だったらしく親の仇のように噛みついていた。

 それを見ていら急に笑いがこみ上げてきて、我慢が出来なくなってもう限界という時、横にいたココハちゃんもそれにつられて吹き出し、二人はいつの間にか大爆笑になっていた。

「なんだよ?」
  ココハちゃんが笑いながら返事をする
「ゴメン、何だか分からないけど笑いの神が降りて来たの。」
「神様なら仕方ないな」

 山下くんも一緒になって笑いに付き合うのだが、その内本気になって豪快に笑い出す。
 それをみたカズも
「お前らおかしーんじゃねーか??」
 と言いながら爆笑する。
 ココハちゃんは涙を流すほど笑っていて、皆んな体の中からポカポカして来た。
 笑いが落ち着いた頃に私はぼそっと

「イカが、あんなに強く噛まれて可哀想と思ったらなんか笑えて来て二人が怒ってるのわかってたから我慢してたんだけど。ココハちゃんが吹き出すから、ゴメンなさい」
 両手を合わせて誤った。
「課長が笑うの堪えてるのが、どうしても我慢できませんでした。すいません以後真面目にやります」
 ココハちゃんも両手を合わせる。
「わかれば良い」

「気を取り直して、上野といえば一杯飲み屋へいくか?」
「わーい。行く~!主任飲めないくせに」
 私には事ばかりで楽しくて仕方がなかった。
 感情の浮き沈みがグルグルして振り回されっぱなしだ。
 青春ってきっとこんな感じなんだろうな。

 今日もたっぷりと遊んだ私は家に帰りバスタブにゆっくり浸かりながら今日の神からのメールについて考える。

 あれから道端にテーブルが並べてある居酒屋に4人席を取った。
 泉のよう湧き出て止まらない話題に笑いで取り組んで、答えなんて出さずに次へとスイッチしていく無責任で気楽な時間を過ごした。

 話の内容なんてなんでも良い、それぞれが思い合って困ったことがあったら全力で守る、信頼できる仲間って、こんな感じのことを言うんだろうな。
 幸せで胸がいっぱいになる。

 そんな気持ちに浸っている間も無く、神からの選択を迫られていて実は私にとっては大ピンチなのだ。

 なぜなら、今回の指示は「同窓会で久しぶりに会った友達と明日会う」と。
 ここまでは良いのだが、その後カネから電話があって頼まれごとをした。
 きっとこれが明日の私のやるべき事なんだと思うんだけど、、、その内容が気乗りしないのだ、正直とてもやりたくない。

 ここまで神の声に従って、自分にとっては満足できる未来を切り開いて来た。と、思っているだけに悩ましい。
 その電話の内容は、カネは銀座の高級クラブでホステスをしているそうなのだが、明日大口の顧客が来店するので手伝って欲しいというお願いだった。
 7時に食事をして9時に入店12時まで水割りを作って5時間で3万円でどうか?と言う内容だ。

 返事は今夜中に入れると話してあって、それで重い気持ちで入浴しているのだ。

 よし、エリ考えろ!
私には無縁の世界を勉強して来い。
 そしてそこには凄い発見があり、必要な事だと言うことになるのだろう。
「もう、行くしかない」

 声にまで出して強く決断した。
私の知らない世界を見に行こう。

 それにしてもカズの怒った顔は可愛かったな。
笑いが我慢できないくらいにこみ上げて失礼な事しちゃった。

 お風呂から出るとすぐカネにメールして、喜ばせてあげた。

 仕事が終わったらすぐヘアセットをするので美容室にタクシーを飛ばして来るようにと、場所をメールで送って来た。

 銀座なら6時過ぎには行けるはずだ。
 胸が大きくバクバクして体温が急上昇して汗が出て来たので窓を開けて夜風に当たるとカズの部屋の窓も開けてあって電子ピアノを弾く背中が遠くに見えた。

 その姿をしばらく眺めていたんだが、それだけで何かが満たされていくのがわかった。
 こんな気持ちになるのって、やっぱり家族なのかしら?双子の妹になれそうかも。
 そう言ったらカズ、きっと喜ぶわ。
 音楽を消して、部屋の明かりを消して窓に鍵をかけてカーテンを閉めた。

 聞いていた曲はミスチルだ。


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