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三日月

ghame

(48) イカ焼き

  時刻はまだ4時前
動物園から出て第一声はカズだ
「これからどうする?」

次に山下くん
「弁天門から出たらアメ横だろ?」

そしてココハちゃん
「だな!アメ横に決まってる。子供の頃に横綱が魚市場で取材をしていて、黄色いTシャツを着てたんだけどそれがデカイデカイ、主任のベントーみたいに大きかったです。」

次は私の番だ
「えっと。それは、その横綱さんは相当大きかったのね!」

 3人が驚いた顔をした。
 そして爆笑するので、何かおかしいことを言ってしまったのかとドキドキして顔が熱くなって来る。
 ドギマギしている私のためにカズがフォローを入れてくれた。

「エリ。そーだ、主任の弁当箱なら横綱も余裕で入るよ。黄色いから卵焼きだ」
「課長オレ、卵焼きと間違えて食っちゃう。」
「課長かわいい」
 その場が優しい空気に包まれた

 商店街には串に刺さった苺、メロン、ぶどう色とりどりのフルーツ露店や、どら焼き、パンダの顔の可愛い肉まん、お好み焼きに似たアメ横焼き、どれも美味しそうで目移りしてしまう。

「なんか食いたいもんはないか?オレは、イカ焼き、焼き鳥全部食いたい。ココハ、鮎の塩焼きもあるぞ」
「主任、歩きながらはあゆは食べれません。」
「あら?あゆって、あゆママ。ママは食えねーな。」
「シシャモ揚げがある。あれなら骨も食べれるから歩きながらでも食べられますね。食べたいな。」
「おしゃ、待ってろオレはイカ焼きだ。」
「主任、オレもイカ焼き食いたいから一緒に行きます、エリはなんにする?」
「えっと、エビの揚げてるのが食べたい」
「OK!エビ好きなんだもんな待ってて、すぐ買って来る」

「課長、端の方に移動して待ちましょうか?」
 確かに、揉みくちゃにされそうだ
「そうね、混雑してるから通りの邪魔になちゃうわね」

 揚げ物屋さんは繁盛していて、なかなか二人は戻って来ないし、ここからでは様子も見えなくて少し不安になって見に行こうとしたところにココハちゃんの知り合いらしき男性が3人で声をかけてきた。

「お!ココハこんなとで何してんだ?久しぶりだな元気か?」
 ココハちゃんは、嫌そうな顔をして答える
「元気よ、皆さんも元気そうでよかったわ。お友達が一緒なので失礼します」
「なんだよ。同級生なのに冷たいじゃないか?オレらカラオケ行くんだけど一緒にどう?」
「今日はデートなのでいけません、それでは」
「デートって女二人でかよ?デートはたくさんいた方が楽しいよ」
 見かねて口を挟む
「私達二人じゃないの。男性が後二人居て本当にデート中なの」
「お姉さん、とてもお綺麗ですね」

 突然目の前の男性が吹っ飛んで、私は
「え?」
 と、なる。
 目の前には真っ赤な顔をした山下が立っていた
「お前も飛びたいか?二人が困ってるじゃないか!うせろ!」
 男たちは弾かれたように走って立ち去った。
物凄い迫力だ。「熊?」

「ははは。脅かして悪い!オレら兄弟4匹の熊って地元では呼ばれてたんだ。本当に熊だろ?」
「ああゆうヤツらは許せん!二人とも怖かっただろ?もっとボコるか?今度は桜井が。って、ココハ知り合いだろ、悪いことしちゃったな」
「良いの、あの人達高校を中退した不良よ課長にも怖い思いさせてしまってゴメンなさい。なんてしつこいのかしら蛇みたい」
 ココハちゃんは、青い顔でブルっとしてる。

 カズを見ると、両手にカップを三つ持って目はギラギラさせて男たちの消えた方角を見つめている。 
 初めて見たその怒りの表情は私の心を揺さぶり、写メに収めておきたい。と、思った。


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