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三日月

ghame

(46) みんなに会うのが第一の目的

           
     6月7日 日曜日   

 翌日は8時に山下くんがココハちゃんの車を運転して現れた
「主任、三木谷建設令嬢に執事として雇ってもらえたんですか?」
「そうなんだよ!良いだろ~ 競争率の高い狭き門。まっ、お給料は出ねーんだけどな。うしし」

「山下くん、わざわざバイクを会社に止めてからココハちゃんの車に乗り換えて来たの?」
「その通り~みんなに会うのが第一の目的、動物見るのは第二の目的」
「主任、それわかるかも」

 朝から早速山下くんはカズへ絡んで来る
「桜井昨日、そういや起きてただろ?本当は課長の膝枕で起きてたんだろ?オレならそうするもん」
 見る見るカズの顔が赤くなる。

 起きてたってこと?

 じゃあ寝てると思って、髪とかオデコとか触ったの気付いてたの?

「えっ?ということはカズ、帰りのタクシーも寝たふり?」
 自分から暴露した事に気が付いて、私も顔が熱くなってしまった。

「主任、課長と桜井さんってお付き合いしてると思います?」
「たぶんお付き合いしている事に気が付いてないのは当の本人達だけじゃないかとオレ的には思ってますが、2人ともまだお子ちゃまだから、我々は見守りましょう。」
「そんな感じなんですね!了解しました。」

 2人の陽気なやりとりを聞きながら昨日の神からのメールを思い返す
「グループデートで学ぶべし」
 とあった。

 今日は何か為になることがあるのかしら?
客観的に友達や異性としての人との関わり方を知るチャンスなのかもしれないわね。

「あ!お二人は年パスなんですね!私も買います」

 お誕生日の記念に、カズが私の為に年パスをプレゼントしてくれたものだ。
 1年間のデートの申し込みをされたように感じて、あの日は舞い上がってしまった。

「じゃあオレも。ココハ待ってろ、買ってくるから」
「執事なのに呼び捨てですか?様が抜けてますよ」
「ココハちゃんも動物園が好きなの?」
「課長、動物園が好きじゃない人いるんですか?ワクワクしっぱなしです。最高の場所だと思います」

   そこにカズが、耳元に話かけて来た
「ヤツらもノルマは100枚違うポーズで写真を撮るだな?」
「だな」
 カズと顔を見合わせてニンマリする

  しばらくして戻って来た山下くんにココハちゃんが質問している
「主任は動物園好きですか?」

「んー。。オレは、オリに入れられた動物が少し可哀想に見える。昔な、柵の中に沢山の狼が入れられてるの見て『密度高!』と思ったのと、毛並みに艶が無くて、寒い国の動物をこんなトコ連れて来て良いのかよ?と思った、ガキの頃の話だ。」
「へー。それは気の毒ですね」

「いまは大人だから、それぞれの事情も理解しようと思うようにしている。」
「じゃあ、その狼の事情は何ですか?」
「えっと、ロシアを代表する狼族の生贄として勇ましく名乗り出たんだ!『オレが行きます!』って」
「なるほど、熊の立場から見る動物園の世界は楽園では無いんですね。。確かに家族と引き離されて知らない土地にいるのってすごく可愛そうだなぁ〜」
「だろ?ココハにはわかると思った。鮭を食べたあの日から。毎日鮭入れてやる」

「私、ししゃもも大好きなの。骨まで食べれるって、体に良い気がしませんか?しかも、なにげにご飯と合うんですよ!」
「オレは肉かな?焼肉が一番」
「私は焼き魚が大好物。サバが一番好きです。お弁当に毎日焼き魚入れられますか?自宅じゃ毎日ってわけにはいかないから。」
「ガッテン、お安い御用」

「じゃあ動物は?主任の一番好きな動物って何ですか?」
「ハムスターだな。昔飼ってて、あれより可愛い動物なんてこの世にいるのか?今日はハムスターもいるかな?」
「動物園にハムスターなんていませんよ!ペットショップで150円で売ってますから、お台場のペットショップに見に行きましょうよ!ついでに美味しいもの食べてデートですね!」
「お!デートか、良いな、しよーぜ。デートなんてどのくらいぶりだ?ココハとならきっと楽しいぞ、なんか色気のある格好して来いよ、そしたら洒落た店に連れてってやる。生足がいっぱい出てないと焼肉屋に連れていくからな、煙まみれにしてやる。」
「焼肉屋も連れてってください。主任がどんだけ食べるか観てみたい。ね、課長4人でまたデートしましょ」

「おう!良いね、みんなでデートしようぜ。今度はオレの自慢の愛車で登場してやる!」
「何乗ってるんですか?」
「見てのお楽しみだ!でっかい奴だ」
「勿体ぶって、ケチだな。じゃあ私の好きな動物は。牛、小学校の時牧場に行って見てから大好きなんです。目が可愛いし、おっきいのに触れるし触り心地も不思議な感じで、穏やかなあの巨体をまた触ってみたいなぁ〜」

「おっしゃ、軽井沢行くか?牛いっぱいいたぞ」
「行く!」
 三木谷さんはスマホを出して検索した画面を山下くんに見せている
「見て、ポニー可愛い。毛がこんなにフサフサして長くてちっちゃくて可愛い」

「明日は軽井沢だな」
「明日は会社ですよ!週末で」
「よし、週末で!泊まりで行けるか?家あるぞ、祖父の家を亡くなった後改造してあって。花火もバーベキューも出来て楽しいぞ~」
「わぁ~行く!泊まりで行きたい楽しそう。お泊まり許してくれるかな?主任からおじいちゃんに許可もらってくださいよ。」
「アホか?社長になんて無理に決まってるだろ!自分でなんとかしろよ!」

    2人の会話を聞いていて気が付いた。
    2人は会話の中でお互いの好きな食べ物、好きな動物、行きたいところを話題にして自然に相手を知って行っている、これが一般的な他人とのコミュニケーションなのか、、。

   隣にいたカズも聞いていてそれに気が付いたようだ
「エリも気が付いたんだねこの会話はまるで10個の質問みたいだね驚いたよ。それでエリはデートどこ行きたい?」
「そうね、軽井沢に皆んなで行くの楽しそう」
「泊まりは大丈夫なのか」
「たぶん大丈夫」

 とは言ってみたもの。
 お母さん居なくて寝れるか心配、眠れなかったら朝まで起きてたら良いのか、、なんとかなるでしょう。

「課長。良いですか?一緒だったら絶対大丈夫、桜井さんと一緒に来てくれませんか?」
「もちろんよ、私はご一緒させてください」
 カズも話に加わって来た
「オレも行きたい、花火とバーベキュー楽しみだ」
「わーい、やったー。来週の土曜日ですか?」
「じゃあオレ食材用意するわ、桜井は課長と花火をお願いできるか?」
「花火了解、主任1人で食材は大変じゃ無いですか?」
「大丈夫、弁当屋の仕入れ先があるから」
「なるほど、プロか。では、お願いします」
「桜井くん、金曜日に話していたお料理スキルも披露して下さい」
「わかりました、何か仕込んで来ます」

「泊まる宿にはな、風呂があるので、着替えと洗面用具タオルは各自で用意。シーツは着いてから洗濯乾燥機までかけて、布団は干す。部屋は各自1室ずつあります。ご質問、ございましたらメールでお問い合わせくださいということだ。」

「はーい。幽霊出ますか?」
「必要とあれば出すことも出来る。オレ様の手にかかりゃ自由自在だ!」
「わぁー、それは最高」



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