話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

三日月

ghame

(37)エリから見える世界

  
   6月3日 水曜日

 翌日私は、6:00にアラームの音で目を覚まし
ダービーが気になったのでベットの中でスマホを開く

 母親には「毎朝6:00に起きているので音がなっても構わない」と言われているが、隣のベットでまだで寝ているようにしか見えない。

 考えてみると情緒不安定と不眠症に悩まされ、更に闇を怖がる私の為にと、寝室に鍵をかけ一緒に寝てくれたのがきっかけで、今では母親と一緒でないと寝れない体質になってしまっている娘の事を、お荷物だったりしないのかな?
 そのせいで修学旅行も行かなかったし、お友達の家にお泊まりもした事が無いけど、別にそれでも充分に幸せだったのはお母さんが居てくれたからだ。

 母の仕事は自宅でPCがあればできるもので、寂しい思いはしたことは無いが、北海道で家族3人暮らしていた楽しい時間を知っているだけに 常に空虚感は付き纏っている。
 父は、この家には1度も来た事がない。たまに元気にしてるか?と、電話が来るくらいだ。

 父については外に子供を作り、家族を捨て再婚した男として、苦しんでいた母を見ていただけに、家族に対して夢など持てなくなったが、今の歳になると大人の事情を理解しようと努めるくらいにはなっている。

 父が帰らなくなった頃、更に中学生だった私にとっては衝撃すぎる悪夢が襲い一生男なんて必要無い。と、深く心に傷を負ったのだった。
 
 さて、暗くなるばかりの過去を振り払い、
母親に対して深い感謝を持ちつつ

 そろそろ起きようと思ってベットから重くなった頭を持ち上げると 「おはよう」と、声が聞こえた。

「お母さんおはよう。いつもありがと」と言って自分の部屋に行った。
 窓を開けてカズの部屋を見るが、寢ているのかカーテンは動かない。

 日曜日に買ったウサギのシャボン玉を持って来て「カズも一応男だったな」と、隣の部屋に向かって、さっきのモヤモヤした感情を身体から吐き出すように5回ほど吹きかけてみるとカーテンが開いてクシャとした頭のカズが顔を出す。

 目を擦りながら私を見つけると元気よく笑って
 「オハヨウ」と、声に出さずに口パクして来たので私も同じく
 「オハヨウ」と、口パクして見せる。
 同じ男性でも中には、こんな癒しの塊も居るんだなと、愉快な気持ちになった。

 そのまま見ているとカエルのシャボン玉を取りに行って私に向けて飛ばしてくれたので、私もカズに向けてシャボン玉を吹く。

 それからスマホを見せると指で「OK!」サインをしてヘイデイに入って来てくれて、しばらく窓越しにゲームをした。

 7時過ぎると
「少し鍵盤触ってもいいかな?」
 とゲーム内にメッセージがあって
「ピアノ?じゃあまた9時に」
 と返事をすると、カズはゲームから退室して行った。

 そのまま窓越しに見ていると、正面奥にある電子ピアノに向かってヘッドフォンをして練習を始めた。
 その様子を観察するとTシャツと短パンを着ているように見える。
 その後ろ姿をしばらく眺めていると、どんな部屋に住んでいるのかな?と、見て見たくなって来た。

 あれ?そういえば私はどんな格好してたっけ、と思って鏡をのぞいて見てみるとランニングにショートパンツで頭は爆発していて、とたんに、恥ずかしくなって目がスッキリと覚めた。

こんなとこ、、他の人には見せられないや、、、、。


 ヘットフォンを頭に被りながらオレは、今見た映像を思い返した。
(何だあの寝起きのエリ、ヨレヨレで可愛すぎだろ?)



 いつものように会社に着いてカズと別れると女子更衣室へ向かった。
 先に着替えていた人に挨拶をしてロッカーで着替えていると裏側にいる秘書課の女性の会話が聞こえて来る
「今週末お泊まりなの、オキョウんチに泊まったことにしてもよい?」
「え?私もお願いしようと思ってたのに、岡ちんは例の彼?金曜日あれからうまく行ったのか?おめでと」
「私も、あのマッチョに告られて週末にハワイアンお泊まりおデート」
「ヤベっ、ダブルでピンチじゃん」
「しっかし歓迎会の時の三日月王子。王子はピアノ男子だったんだ。イケメンすぎる高嶺の花だよね?」
「うん。年齢も謎。山下主任より年下?アラサーだね。」

   この声は大岡さんかな?秘書課女子はカズに興味があるのね、あの外見だから無理もない。
 寝起きのゆるゆる感が、更にたまらないと思いますよ、、。

 更衣室を出るドアの前で、今話していた秘書課の2人とバッタリ鉢合わせになり
「もし私でお役に立てれば、家に泊まったことにできますよ」
 とっさに口から出た。

あら?私らしくない、でも人と関わる努力をしてみよう

「佐藤課長良いんですか?それ助かります」
「お土産買って来ます」

 朝礼に向かう道すがらに2人から、講習を受ける。
内容はこうだ
1、課長の家デンに母親から電話が入る
2、「今シャワーに入ってますので出たら折り返します。」と、エリが返事をする。
3、大岡さんに電話が来たことをメールする
4、大岡さんのスマホから「シャワーから出たよ、今課長はシャワーです」と、自宅に電話する。

「これが私達が毎回使うアリバイ作りです。課長のアドレスと、家デン教えて下さい。後でメール入れておきます。本当に助かりました。ではでは」
 完全犯罪やるわね!これはパーフェクトじゃないの!

   あ、今日も山下主任が朝から近づいて来た。
今日はどんなネタを仕込んできたのかしら?

 思い返して見たら、彼が内勤になって私を構ってくれるようになってから、職場の雰囲気も明るくなったな。
「佐藤課長、今日の私は何も仕込んで来ていません。でも私の為に微笑んで下さい。」
「こら、主任毎朝カラムのやめてくださいよ!エリ笑うな!こんなヤツに笑顔は見せるな!」
「ココハちゃん、今日の私の円滑なお仕事の為にスマイルエナジーを分けてください。」
「ココハちゃん、ダメだぞ!山下主任に微笑んでしまったら、毎日ネダられるぞ!エリなんて3年間毎日付き纏われてるんだから」

「課長逃げましょう!生気が吸い取られる」
「本当に、あなたたちは毎日面白いわね。」
「あ!課長そんなに笑っちゃダメ!明日もからまれますよ!」 





「三日月」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く