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三日月

ghame

(26)10個の質問 ②

 
 店に入ると一番乗りだった
客のいない店に漂う独特の居心地の悪さがあったが、ドアの開く音を聞いて
「いらっしゃい、お仕事お疲れ様でした、」
 と、あゆママが奥から出て来ると、そんな空気も吹き飛び、早速並んでカウンターに座り、エリもビールを呑みたいと言うので生ジョッキを2つ注文した。

 お通しに揚げ出し豆腐が出てくると案の定エリの目が輝き、続いて生が運ばれて来たので
「お誕生日おめでとう!」と、乾杯をして2人とも一気に半分飲み干し一息ついた。

「エリ、スタートから飛ばしてるなー アルコール強いのか?」
「いや、強い方では無いけど今日は飲みたい気分。40なんて切りが良くてめでたいじゃ無い?」
 とは言っているが、顔は嬉しそうに見えないで、どちらかと言うと物憂げだ。

 無理もない。女性が独身で迎える40歳は、かなり堪えることだろうから話を変えて、今夜はエリをいっぱい笑わせなくては。
 しかし、そうは言っても、残念ながら面白い話のネタなんて持っていない。。

「カズ、今日と明日の歩きはどうするの?2日続けてお休みになるの?」
「そうだな、帰りを自転車に乗らないで 歩いて帰るとかどうだ?」
「わかった。土曜日にいっぱい歩こう。」

 そんな話をしているとき入口が開く音がして
(新しいお客さんが来たのかもしれない。)

「今晩わ、お疲れ様です」
 と、後ろから聞いたことのある声がしたにで振り向くと、三木谷さんが2人を覗き込んで立っていた。

「あら、三木谷さん1人?誰かと待ち合わせ?」
「いえ、晩ご飯を食べに来ました。課長お誕生日おめでとうございます。入社当初から一番お世話になっている気がします、手のかかる新人でごめんなさい」

 社長の馴染みの店なのでおじいちゃんと一緒にと夕食の約束ってとこかな?しかし、片手にケーキを持っている、あれはきっとオレがお願いしたエリのお誕生日ケーキだよな?

 更に三木谷さんはテーブルに座るではなく厨房へ入って行くのだ、これには2人で「?」となって顔を見合わせた。

 驚く2人にママが説明してくれた
「ココハちゃんは、三木谷建設でお勤めする前から忙しい時にお手伝いに来てくれていて、驚かせちゃったらごめんなさい、明日歓迎会があって来れないからって今日来てくれたのよ。」

 あゆママは、あらっ?と、してから話を続ける
「歓迎会って桜井くんのことかしら?おめでとう、お仕事順調なのね、何よりだわ」
「はい、おかげさまで、あの日からまだ1週間しか経って無いなんて信じられないほど、いろんなことがって楽しくやってます」

「お腹空いてるんじゃ無いですか?そろそろ何かご用意しましょうか?」
「ママ、お腹ペコペコなんでお願いします。エリ何食べたい?あん肝ポン酢なんてどう?後、牛タン塩焼き、軟骨の唐揚げ」

「良いわね、それと豆腐とアドカドのサラダ、シメサバをお願いします。」
「はい。少々お待ちください、ご用意します。」
「さてエリお昼の続きをしようか?スマホ出して!5の好きな言葉からだな。」

⑤  好きな言葉、
オレは「僕はこれから丸くなる途中の三日月なんだ」 
 と言う回答に「何それ?とっても良い言葉ね」とエリが言ってくれた。
 エリの回答は「人は人」
寂しいが彼女らしいと思った。
 オレも同じ気持ちだ。

⑥  好きな動物
   オレは「九官鳥を飼って言葉を教え込むのが夢で、言葉も決めてある「お前やるやん」それを言いまくってもらう」
   考えてみると、さすがにうるさいか?

 エリは白熊。
熊かよ?と、軽く山下主任を嫉妬したんだが、動物園に一緒に見に行こうと心に決めた。

⑦  好きなこと、
   オレは、ダラダラすることなんだが、そのせいでニートになってしまったので
「ダラダラしないこと」に 今日からシフトすることを宣言して「また ピアノを頑張る」と、付け足すと
 また「何それ?良いわね。」と言ってもらった。
 エリは、納得の「屋上でヘイデイ」屋上の空気は美味しいもんな。

⑧  好きな歌
   これは二人共ミスチルの「名もなき詩だ」歌詞が良いと、2人で軽く盛り上がった。
    
⑨  好きな場所
   オレは子供の頃からずっと歩いて来た家の周りの散歩道が好きだ。
  ここには、祖父や家族の沢山の思い出が詰まっている。
   エリは動物園だと聞いて 益々連れて行かなくては、と思った。

⑩  最後は願いだ。
  オレは、子供の頃から変わらず「空を飛びたい」一筋だ。
  願いが心変わりなどしたことは無いと言い切り「何それ、飛べると良いね」と、言われたが、流石に飛べないだろう。
   エリは男になりたいそうなのだが。
  それは大歓迎だ。
 確かにエリが男なら 引越しして来た日から親友になっていたことに違いない。
 「でも男ってそんなに良いもんじゃないぞ!」
と、先輩としてのアドバイスを 偉そうにしてやった。


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