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三日月

ghame

⑽ライン

 
   ピンポーン

 チャイムを鳴らすと、忍さんが顔を出す
事情を話すと、すぐエリを呼びに行ってくれた。

 間もなく、いつもと変わらず髪を一つに束ねた不機嫌なエリが顔を出した。
 普段着も会社へ行く時と変わらないパンツスタイルだ。

「おっ。エリ!休みなのに悪いな。仕事の事でさ、ちょっと、わからない事があって。少し教えてくれるか?」
 エリは、ちょっと考えて
「書類があるなら見たいわ。持って来れる?」
 相変わらず端的な回答だ。

  助かる。
「オレのノートパソコンも持って来る。エリありがと。10分待ってて。」

 エリは、可愛いくは無いが面倒見は良くて助かったゼ!!
  しまった。何て失礼な本音を!!

 訂正しよう
 エリを可愛いと思う人も中にはいると思うが、オレはタイプではない。 
 これも失礼だ。

 じゃあ、エリは異性でなく空気だ。
なんか詩人ぽくて良くね?これに決めた。

 あれっ?こんなこと、どうでも良くね?
だな。

 急いで荷物をまとめてエリの家へ戻ると、リビングにパソコンを用意してくれていた。

 エリの家は、我が家みたいに所帯染みてなくて、女性が住んでいる感に溢れていて、、、。なんか、居心地悪いが、仕方ない。

 まずは、忘れないように最初にライン交換しよう。

「エリのライン教えてくれる?ホントは、昨夜連絡したかったんだけど、連絡先わからなくて今朝まで待ったんだ。」

 急にアドレスを聞くのも変か?
「って、また何かあったら連絡しても良いか?」

 少し考えてバーコードを出して見せてくれた。
 
 連絡先を交換したら、すぐ仕事の続きに取り掛かるのだが、さすがに奥が深くてややこしい。
 でもエリの説明は要点がまとまっていて理解しやすい。
「あれ?エリ、営業事務も経験者?」

 少し考えて話はじめる
「経理の前に営業事務課にいたの。長く勤めると経理課になる場合が多いみたい。実は、カズがやっている仕事は長年私が担当していたの。それで、先週までは私が週末に溜まった書類を整理していて、今週はカズが来てくれたおかげでお休みできたわ。ありがと。」

 感謝の気持ちが本当にあるのか、相変わらずエリは無表情だ。

「あっ!だからあの日、営業事務課に配属になったか聞いたのか!! あの時オレの返事を聞いてホッとしたんだろ? エリが、笑ったからオレ気になってたんだ。こっそりニンマリしてたの見たぞ!」

 エリは、ギョッとしていた。

「これからも、エリが休日出勤しなくて済むようにオレ頑張るから、頼む。たまにまた聞いても良いか?会社では、流石に無理か。エリは、ランチどこで食ってるんだ?昼飯食いながら教えてくれないか?オレもそろそろ財布がピンチで弁当に替えたいんだ。」

 忍からの5000円が残りわずかになって来た。

エリは、少し考えて
「屋上。エレベーターで5階まで上がって、それから階段。メールくれたら、鍵を開けるわ。屋上の鍵は、経理課が管理しているの。」

 片手ガッツポーズで
「よっしゃ。来週から弁当だ。」

エリは無表情のままだ。

 しばらくして時計を見ると13:00になっていた。
「エリお腹空いてないか?付き合わせちゃって悪いな。オレ一旦帰るわ。って、また来ても良い?午後か、明日どうだ?」

 少し考えてから
「午後は、2時以降。夜も大丈夫。明日は、9時頃から大丈夫。メールして。」

「エリ、給料入ったら飯でもご馳走するよ。じゃっ」
 一旦部屋から出たが、また顔を覗かせ
「あっ!2:30にまた来る。」

 自宅に戻ると忍さんが居て、オフクロと2人で素麺を食べていた。
 この2人は本当に仲が良い。

 オフクロが先に口を開く
「終わったの?お昼は、素麺で良い?エリちゃんも呼んできてちょーだい。」

続いて忍さんが話す
「カズくん、お邪魔してます。なんだか、カズくんが会社に来てくれたおかけで、エリの休日出勤が無くなったって喜んでたわ。どうもありがと。」

最後はオレが口を開く番だ
「おばさん、いらっしゃい。こちらこそ、どうやらエリの仕事を引き継いだようですね。隅から隅まで教えてくれて大助かりです。それから、母さん。月曜日からお弁当持って行くことにするよ。お願い出来るかな?」

「じゃ、エリを呼んで来る。」


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