異世界に喚ばれたので、異世界で住みます。
95.異世界に喚ばれたので、異世界に住みます
今回の褒美として、お城の隅っこに一軒家が与えられた。何故、城の隅っこなのだ。解せぬ。しかしこれは、双帝の最大の譲歩でもあり、お兄ちゃんの最大の譲歩でもあるのだという。
精霊の愛し子を城下に出すのは恐ろしい、というのが双帝の意見。それを聞いたお兄ちゃんは、もしも私たちの不在時を狙われたらという考慮もして、妥協したそうだ。
狙われたら狙われたで、私たちは全力で報復をするつもりだがな。それでも、一緒に住むことが出来るのだから、私も最大の譲歩をしなければならないだろう。
そんな譲歩だらけの一軒家で、私はのんびりと休暇を満喫していた。洗濯したし、洗い物も、掃除も済ませた。あとは、のんびりと過ごすだけ。生まれてこの方、のんびりと過ごしたことがないから、どうやって過ごしたら良いのか分からなくて、とりあえず時間を無駄にしている気しかない。
そんな時にノルエルハが、奥方の手作りお菓子を手土産に来てくれた。
「依織、体調はどうだい?」
「大丈夫大丈夫!もう完全復活よ」
「にしても、双帝の剣まで浄化するとはねえ。1ヶ月で、目を覚ました方が幸いかい?」
「あー…そうかな?取り除くのに2日も掛かったことを考えると、ある意味最短ではあったかもね」
そう、私は依り代に使った双帝の剣の浄化に成功したのだ。1ヶ月も眠りこけたけど、それが最短での浄化日数だった。残留思念体の父さんや歴代の皇帝たちがいなければ、あと2、3ヶ月は要したかもしれない。それだけシバルヴァの毒は多かった。
1ヶ月という時間を寝て過ごしたが、幸いにも後遺症などは見られなかった。体力や筋肉の衰えは仕方ないからね。
「もう二度とあんな無茶しないでね」
「分かっている。次はないよ。心配してくれてありがとう、ノルエルハ」
「可愛い姪っ子だからね」
ふふっと上機嫌に笑ったノルエルハは、私の頭を撫でてた。私が眠っている間に、全てが終わっていた。隣国は領地となり、ノルエルハが領主として治めることになったらしい。
私の後輩であり、勇者(笑)の小娘は地下牢への幽閉が決まったそうだ。ちなみに、これも最大の譲歩らしい。こちらの都合で異世界から召喚された、ということもあるから殺さないでいてやんよ!とのこと。ちなみに、お兄ちゃん曰く白帝に一目惚れをしたらしく、迎えに来てくれると信じてやまないとかなんとか。
「それじゃあ、僕は報告に来た帰りだからそろそろ帰るとするよ」
「うん、ありがとう」
「いえいえ。依織に会いたかったからね。あぁ、またうちにも遊びにおいで。リーリンがいつ来るのかって、毎日聞いてくるからね」
「落ち着いたら行くよ」
「そう言っておくよ。じゃあね、無理しないでね」
「はーい」
スッと体を翻すと同時に姿が消えた。早く帰りたいからって、転移魔術使うだなんて。ドラゴンで来てたんじゃないんだねぇ。
《我が君、体調はどう?》
「メキド!なんか久しぶりだねぇ」
《そうかな?僕はずっとお見舞いに行ってたけどね》
「あ、そっか。でも、私が起きてからは来てないでしょう?」
《僕だって忙しかったんだよ?竜王夫妻が帰って来てくれたから、こうやって来れてるし》
意地悪っぽく笑うメキドは、大人へと成長していっているのが手に取るように分かった。竜舎の者たちも大喜びな感じだなあ。
「もうメキドたちに異常はない?」
《我が君が助けてくれたからね。みんな、恩を返す気満々だよ》
「恩だなんて、大層な。私はドラゴンたちが好きだからね!」
《ありがとう、我が君》
それからメキドは、竜王夫妻がどれほど凄いのかを一頻り話して帰っていった。アストラルやティエラを尊敬してるんだなあ。いつの間に、って感じだけど良い傾向だよね。
ーーーあー、なんかやりきったわ。燃え尽きちゃった。それでもまあ、まだまだ目標には、ほど遠いから頑張らないとなあ。
おっと、そろそろシエルとセリカを迎えに行かないと。今夜は何を作ろうかな。日本料理を振る舞っている最中だし、お兄ちゃんのリクエストに答えて今日は煮物かな。それっぽい味になるんだけど、お兄ちゃんには十分すぎるらしい。私は満足してないけど。
あ、そういえばリリーシャ嬢が明日来るんだっけ。私が叔母になるのも、そう遠くない未来だろうな。私が恋い焦がれた家族。幸せなことこの上ない。父さんも母さんも天国から、見守っていてくれることだろう。
「依織、シエルとセリカを迎えに行くぞー」
「あれ?お兄ちゃん、仕事放って何してんの?」
「放ってねぇよ。終わったから帰ってきたんだよ」
「ごめんごめん。早く迎えに行こう」
近い未来、徹夜続きでネジがぶっ飛んだ黒帝からのプロポーズがあったり、お兄ちゃんとリリーシャ嬢が大喧嘩して、竜舎の者たちとお兄ちゃんがガチバトルしたり、シエルとセリカが神様に見初められたり、色々あることを私はまだ知らない。
精霊の愛し子を城下に出すのは恐ろしい、というのが双帝の意見。それを聞いたお兄ちゃんは、もしも私たちの不在時を狙われたらという考慮もして、妥協したそうだ。
狙われたら狙われたで、私たちは全力で報復をするつもりだがな。それでも、一緒に住むことが出来るのだから、私も最大の譲歩をしなければならないだろう。
そんな譲歩だらけの一軒家で、私はのんびりと休暇を満喫していた。洗濯したし、洗い物も、掃除も済ませた。あとは、のんびりと過ごすだけ。生まれてこの方、のんびりと過ごしたことがないから、どうやって過ごしたら良いのか分からなくて、とりあえず時間を無駄にしている気しかない。
そんな時にノルエルハが、奥方の手作りお菓子を手土産に来てくれた。
「依織、体調はどうだい?」
「大丈夫大丈夫!もう完全復活よ」
「にしても、双帝の剣まで浄化するとはねえ。1ヶ月で、目を覚ました方が幸いかい?」
「あー…そうかな?取り除くのに2日も掛かったことを考えると、ある意味最短ではあったかもね」
そう、私は依り代に使った双帝の剣の浄化に成功したのだ。1ヶ月も眠りこけたけど、それが最短での浄化日数だった。残留思念体の父さんや歴代の皇帝たちがいなければ、あと2、3ヶ月は要したかもしれない。それだけシバルヴァの毒は多かった。
1ヶ月という時間を寝て過ごしたが、幸いにも後遺症などは見られなかった。体力や筋肉の衰えは仕方ないからね。
「もう二度とあんな無茶しないでね」
「分かっている。次はないよ。心配してくれてありがとう、ノルエルハ」
「可愛い姪っ子だからね」
ふふっと上機嫌に笑ったノルエルハは、私の頭を撫でてた。私が眠っている間に、全てが終わっていた。隣国は領地となり、ノルエルハが領主として治めることになったらしい。
私の後輩であり、勇者(笑)の小娘は地下牢への幽閉が決まったそうだ。ちなみに、これも最大の譲歩らしい。こちらの都合で異世界から召喚された、ということもあるから殺さないでいてやんよ!とのこと。ちなみに、お兄ちゃん曰く白帝に一目惚れをしたらしく、迎えに来てくれると信じてやまないとかなんとか。
「それじゃあ、僕は報告に来た帰りだからそろそろ帰るとするよ」
「うん、ありがとう」
「いえいえ。依織に会いたかったからね。あぁ、またうちにも遊びにおいで。リーリンがいつ来るのかって、毎日聞いてくるからね」
「落ち着いたら行くよ」
「そう言っておくよ。じゃあね、無理しないでね」
「はーい」
スッと体を翻すと同時に姿が消えた。早く帰りたいからって、転移魔術使うだなんて。ドラゴンで来てたんじゃないんだねぇ。
《我が君、体調はどう?》
「メキド!なんか久しぶりだねぇ」
《そうかな?僕はずっとお見舞いに行ってたけどね》
「あ、そっか。でも、私が起きてからは来てないでしょう?」
《僕だって忙しかったんだよ?竜王夫妻が帰って来てくれたから、こうやって来れてるし》
意地悪っぽく笑うメキドは、大人へと成長していっているのが手に取るように分かった。竜舎の者たちも大喜びな感じだなあ。
「もうメキドたちに異常はない?」
《我が君が助けてくれたからね。みんな、恩を返す気満々だよ》
「恩だなんて、大層な。私はドラゴンたちが好きだからね!」
《ありがとう、我が君》
それからメキドは、竜王夫妻がどれほど凄いのかを一頻り話して帰っていった。アストラルやティエラを尊敬してるんだなあ。いつの間に、って感じだけど良い傾向だよね。
ーーーあー、なんかやりきったわ。燃え尽きちゃった。それでもまあ、まだまだ目標には、ほど遠いから頑張らないとなあ。
おっと、そろそろシエルとセリカを迎えに行かないと。今夜は何を作ろうかな。日本料理を振る舞っている最中だし、お兄ちゃんのリクエストに答えて今日は煮物かな。それっぽい味になるんだけど、お兄ちゃんには十分すぎるらしい。私は満足してないけど。
あ、そういえばリリーシャ嬢が明日来るんだっけ。私が叔母になるのも、そう遠くない未来だろうな。私が恋い焦がれた家族。幸せなことこの上ない。父さんも母さんも天国から、見守っていてくれることだろう。
「依織、シエルとセリカを迎えに行くぞー」
「あれ?お兄ちゃん、仕事放って何してんの?」
「放ってねぇよ。終わったから帰ってきたんだよ」
「ごめんごめん。早く迎えに行こう」
近い未来、徹夜続きでネジがぶっ飛んだ黒帝からのプロポーズがあったり、お兄ちゃんとリリーシャ嬢が大喧嘩して、竜舎の者たちとお兄ちゃんがガチバトルしたり、シエルとセリカが神様に見初められたり、色々あることを私はまだ知らない。
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