異世界に喚ばれたので、異世界で住みます。
83.言いたかったこと
ジエロ曰く、植物女とは既に隣国で面識があったらしい。魔王討伐に誘われたけど、自分じゃない自分の記憶があるから断ったと言っていた。嫌な記憶があったんだろう。賢い判断だと思う。マリアナの件もあるから、もう二度と女は信用しないと宣言されてしまった。どうやら女嫌いを拗らせてしまったらしい。
「ジエロくーん」
「なんですか」
「あの国が怪しい動きをしていたの、白帝は知っていたの?」
「だから、俺が派遣されたんだが」
「じゃあ今回の植物女…勇者召喚は、前々から練られていた案だったのかしら」
「魔王討伐に託つけて、この国を少しずつ削っていく算段だったらしい」
なるほど。で、勇者が思いの外使えるから、あることないこと吹き込んだのか。あの植物女に何を吹き込んだのか気になるが、それを易々と信じた植物女にも問題はある。それでも軍人か。
確か今18歳だから、軍に入って4年か。時雨が死んだ時に私が16歳で、植物女が軍に入りたての14歳だったから。初恋だったんだろうなー、とは思うけど時雨を譲るつもりはなかった。突っ掛かってきていたのを往なしていた日々が懐かしい。
「浅はかな算段ね。国だけじゃなくて、同時に私たちにも喧嘩を売っているし」
「愛し子の件か」
「そうよ。もっとも色濃く神の血を引く双子に保護されて、聖女に守られている精霊の愛し子たちを、あの国は偽者だと言っているんでしょう?」
「アイツ等は自分たちが優位に立つためなら、何をするのも厭わないぞ」
「そうね」
隣国の国王たちは植物女の色を見て、精霊の愛し子に仕立てた。シエルとセリカを引き摺り下ろす為に。そして政治を担う白帝の崩御を企み、シバルヴァを末の妹弟たちにばら蒔いた。この国を潰したいが為にしたことだろう。
「ま、お隣さんが何を思ってしたことか、知ったこっちゃないけど。大罪には違いないね」
「ドラゴンの件か」
「そっ。まさかシバルヴァが竜舎に生えていたとはねー」
どうやってこの国に植えたんだか。根絶やしにすることはもう出来ない。この国に、この世界に存在していなかったシバルヴァという魔物花が持ち込まれた。それも引っくるめて対策を考えなければ、この世界の生態系や理が狂ってしまうだろう。
「開戦間違いないな」
「そーよねえ。黒帝がどう判断するかにもよるけど」
「ふぅん。お前等が居るんだ、間違っても敗戦国にゃならねーな」
「まーね。アンタもそこに含まれるわよ?」
「あぁ?」
「アンタは時雨じゃなくてジエロとして生きている。だから、アンタがアンタで生きたら良い。私たちは、アンタを、ジエロを憎んでいる訳じゃないもの」
私の言葉にジエロは黙った。憎むのはお門違いことすれ、ジエロの大本は時雨だ。この世に無理矢理甦らされた、いわば被害者だ。だから、ジエロは自分の好きなようにすれば良いと思う。時雨への愛は、時雨を埋葬したときに一緒に葬った。ジエロへその感情を向けることもないし、ジエロはジエロとして見ている。
「好きなこと、したいことをすれば良いよ」
私が言いたかったのはそれだけだ。情報も聞けたし、ぼちぼちシヴァ様の所に戻ろう。昼から会議だし。原因が分かったから、後はどうするかだ。
「ジエロくーん」
「なんですか」
「あの国が怪しい動きをしていたの、白帝は知っていたの?」
「だから、俺が派遣されたんだが」
「じゃあ今回の植物女…勇者召喚は、前々から練られていた案だったのかしら」
「魔王討伐に託つけて、この国を少しずつ削っていく算段だったらしい」
なるほど。で、勇者が思いの外使えるから、あることないこと吹き込んだのか。あの植物女に何を吹き込んだのか気になるが、それを易々と信じた植物女にも問題はある。それでも軍人か。
確か今18歳だから、軍に入って4年か。時雨が死んだ時に私が16歳で、植物女が軍に入りたての14歳だったから。初恋だったんだろうなー、とは思うけど時雨を譲るつもりはなかった。突っ掛かってきていたのを往なしていた日々が懐かしい。
「浅はかな算段ね。国だけじゃなくて、同時に私たちにも喧嘩を売っているし」
「愛し子の件か」
「そうよ。もっとも色濃く神の血を引く双子に保護されて、聖女に守られている精霊の愛し子たちを、あの国は偽者だと言っているんでしょう?」
「アイツ等は自分たちが優位に立つためなら、何をするのも厭わないぞ」
「そうね」
隣国の国王たちは植物女の色を見て、精霊の愛し子に仕立てた。シエルとセリカを引き摺り下ろす為に。そして政治を担う白帝の崩御を企み、シバルヴァを末の妹弟たちにばら蒔いた。この国を潰したいが為にしたことだろう。
「ま、お隣さんが何を思ってしたことか、知ったこっちゃないけど。大罪には違いないね」
「ドラゴンの件か」
「そっ。まさかシバルヴァが竜舎に生えていたとはねー」
どうやってこの国に植えたんだか。根絶やしにすることはもう出来ない。この国に、この世界に存在していなかったシバルヴァという魔物花が持ち込まれた。それも引っくるめて対策を考えなければ、この世界の生態系や理が狂ってしまうだろう。
「開戦間違いないな」
「そーよねえ。黒帝がどう判断するかにもよるけど」
「ふぅん。お前等が居るんだ、間違っても敗戦国にゃならねーな」
「まーね。アンタもそこに含まれるわよ?」
「あぁ?」
「アンタは時雨じゃなくてジエロとして生きている。だから、アンタがアンタで生きたら良い。私たちは、アンタを、ジエロを憎んでいる訳じゃないもの」
私の言葉にジエロは黙った。憎むのはお門違いことすれ、ジエロの大本は時雨だ。この世に無理矢理甦らされた、いわば被害者だ。だから、ジエロは自分の好きなようにすれば良いと思う。時雨への愛は、時雨を埋葬したときに一緒に葬った。ジエロへその感情を向けることもないし、ジエロはジエロとして見ている。
「好きなこと、したいことをすれば良いよ」
私が言いたかったのはそれだけだ。情報も聞けたし、ぼちぼちシヴァ様の所に戻ろう。昼から会議だし。原因が分かったから、後はどうするかだ。
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