異世界に喚ばれたので、異世界で住みます。

千絢

72.原因不明

まー、なんというか。各砦に飛ばされた魔術師たちから、何故か私に向かってクレームが相次いだ。言い分は分からんでもないが、無理言うなってやつ。








「いくら私でも、守護結界とか無理な」








「そうなのかい?」






「そーなのです。あれは体質のような所もあるから、根本的なところで私には向いてないんですよ。もちろん、お兄ちゃんだって向いてないですよ」






「向いてないってことは、出来ないこともないのか?」 






「…すみません、言葉を間違えましたね。私たちには守護結界とか出来ません。体質の他にも、魔力の性質も関わってきますから」








血の気が盛んで荒々しい魔力を持つ私やお兄ちゃんには、守りは向いていないのだ。結界とかは張れないこともないけど、やはり強度は低くて守りに入るぐらいなら、戦った方がマシとなる。








現在、シヴァ様とロベルト様とお仕事中だ。めっきり体力仕事の回数が減ったシヴァ様は、カリカリしながら書類を捌いている。ロベルト様は、どこかにこやかに仕事をしているのだがーーー








「現状の打開策も練らないと、私へのクレームは尽きないでしょうね」






「原因不明で、医者もマリベルも匙を投げたんだぞ?打開策などあるのか?」






「私からは何にも言えないですけど」 






「ヴィヴィ様とリヴェーダ様は何も変わりないんです。アルベルト様だけが臥せった、ということに何もありませんか?」






「まあ関係しているとしたら、その守護結界とかそっち方面でしょうね。この国を守護しているのは、白帝アルベルト様ですからね」








この国を魔術的要因から守っているのは白帝アルベルト様。武力的要因から守っているのは黒帝シュヴァルツ様。この国に根付く神聖な泉を守っているのは聖女ルシエラ様。








以前、神聖な泉に問題が起きた時、ルシエラ様に支障が出た。そう考えると、この国に魔術的要因の何かが起こっているから白帝が臥せったのだろう。










魔術的要因の問題は何なのか。そこが分からない。ここまでは、誰しもが突き止めていることだ。魔術的要因は魔術や魔物などがそうなのだけど、マリベル様が診ても分からないのだから、魔術の線はないだろう。だから、分からないのだ。








「医学は噛ってないから、私はなんとも」








お手上げだ。諦めてはないけど、糸口さえも見つからないのだから私には推測さえもできない。お兄ちゃんがいたら何か変わっていたかもしれないけど。居ないのだから、何を言っても仕方ない。

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