異世界に喚ばれたので、異世界で住みます。
29.異端の魔術師がウォーミングアップを始めました
「…イオリ?」
「白帝。勝算の話なんですけど、五分五分にしといてください」
「あ、え、分かった。君でも五分五分って…一体、どうして」
《それは簡単なことだ。あれは人身御供を使った呪詛だ》
「うーわ。そりゃ無いわ。誰だよ神聖な泉に穢した人を捨てたの。死ねクソが」
「え、なにそれ」
「この泉に侵入できますか?」
「いいや、侵入したら私かシヴァに知らせが届く」
そんなこと知りたくなかったよぅ、始音。なに、人身御供って。何でそんなことする必要あるの。創造神の血と涙を浄化し、世界を慈しむ為にフエンテが作ったそんな泉に。何てことをするのかしら。
ソイツ等は、どうやら死にたいらしい。このクソ忙しい時期に、誰が泉を穢したというのか。こっち側に人員を割くなんて到底出来やしない。というか此処に人を入れるだけで、死んでしまうだろう。この穢れに勝てる人間なんて少ない。
「…っすっげー!!何、なんでこんなに穢れてんの!?」
《それはな、人間が穢れた人間を棄てたのさ!棄てたってよりアレ、生きてたから生け贄ってやつ?随分身を挺した生け贄っつうか命を大事にしねーよな》
「へぇ、んでこんなに空気も建物までも穢れてんだ?」
ひょっこり現れた我が兄と終歌。どうした、我が兄よ。何故そんなにテンションあがってんだ。可笑しいだろ。何、超久しぶりに終歌を見たからか?見てみろ、白帝の引きつった顔を。
「―――って、こんなことしてる場合じゃないんだよお兄ちゃん!可愛い弟妹が助けてって私の所に来てさ」
「ん?依織?」
「そそ、依織ちゃんね。お兄ちゃん、始音と終歌と一緒に泉に行って。あ、良かったら白帝陛下もどうぞ。始音と終歌の傍に居たら、少しは穢れもマシになるだろうし」
「いや、ナメたこと言ってんじゃねーぞ?終歌から、泉に行くのは自殺行為だって聞いてンぜ?」
チッと舌打ちが思わず出てきた。別に行かなくても良いんだけど、状況把握に行ってほしいから。いくら始音が覗いたからと言って、抜け穴などの気づいてないかもしれない。うーん。いや、うーんじゃないんだけども。さて、どうしようか。それしか脳裏を回っていかない。
「「今、舌打ちしたな!?」」
「え?何のことですかぁ?仕方ないんで、私が行ってきますね。ちょっと異物を取り除いてきます」
「はァ!?お前、いつもいつもふざけたこと言ってんじゃねぇぞ?」
「だって、此処でお父さんの、グレイアスの力を使わずして何処で使うのよ!良いじゃん、別にこの穢れぐらいで死にゃあしないわ!」
ふんと鼻息荒く抗議して、私は踵を返した。私を止める声がする。けれど、神聖な泉へと向かう足は止めない。止められない。止めてやるもんですか。ほとんど意地のようなものだった。此処で、やっと私は存分に自分の力を使えるのだ。異物を抜き取るのは朝飯前。
父から受け継いだチカラを、父の生まれた世界に見せつけることが出来る。
「ねぇ、時雨。見てて。私、父さんのチカラを存分に使うから。母さんのチカラをこの世界で使うから」
時雨が一番愛してくれたのだ。父のチカラを。母のチカラを。だから、見てて。やってやる。この世界に、私の存在を知らしめてやる。神なんざどうだって良い。世界だ。創造神キャナリアが創り残した世界よ、見ていろ。
世界を創り愛した世界を、異世界から来た魔術師――異物が守ってやるよ。
「白帝。勝算の話なんですけど、五分五分にしといてください」
「あ、え、分かった。君でも五分五分って…一体、どうして」
《それは簡単なことだ。あれは人身御供を使った呪詛だ》
「うーわ。そりゃ無いわ。誰だよ神聖な泉に穢した人を捨てたの。死ねクソが」
「え、なにそれ」
「この泉に侵入できますか?」
「いいや、侵入したら私かシヴァに知らせが届く」
そんなこと知りたくなかったよぅ、始音。なに、人身御供って。何でそんなことする必要あるの。創造神の血と涙を浄化し、世界を慈しむ為にフエンテが作ったそんな泉に。何てことをするのかしら。
ソイツ等は、どうやら死にたいらしい。このクソ忙しい時期に、誰が泉を穢したというのか。こっち側に人員を割くなんて到底出来やしない。というか此処に人を入れるだけで、死んでしまうだろう。この穢れに勝てる人間なんて少ない。
「…っすっげー!!何、なんでこんなに穢れてんの!?」
《それはな、人間が穢れた人間を棄てたのさ!棄てたってよりアレ、生きてたから生け贄ってやつ?随分身を挺した生け贄っつうか命を大事にしねーよな》
「へぇ、んでこんなに空気も建物までも穢れてんだ?」
ひょっこり現れた我が兄と終歌。どうした、我が兄よ。何故そんなにテンションあがってんだ。可笑しいだろ。何、超久しぶりに終歌を見たからか?見てみろ、白帝の引きつった顔を。
「―――って、こんなことしてる場合じゃないんだよお兄ちゃん!可愛い弟妹が助けてって私の所に来てさ」
「ん?依織?」
「そそ、依織ちゃんね。お兄ちゃん、始音と終歌と一緒に泉に行って。あ、良かったら白帝陛下もどうぞ。始音と終歌の傍に居たら、少しは穢れもマシになるだろうし」
「いや、ナメたこと言ってんじゃねーぞ?終歌から、泉に行くのは自殺行為だって聞いてンぜ?」
チッと舌打ちが思わず出てきた。別に行かなくても良いんだけど、状況把握に行ってほしいから。いくら始音が覗いたからと言って、抜け穴などの気づいてないかもしれない。うーん。いや、うーんじゃないんだけども。さて、どうしようか。それしか脳裏を回っていかない。
「「今、舌打ちしたな!?」」
「え?何のことですかぁ?仕方ないんで、私が行ってきますね。ちょっと異物を取り除いてきます」
「はァ!?お前、いつもいつもふざけたこと言ってんじゃねぇぞ?」
「だって、此処でお父さんの、グレイアスの力を使わずして何処で使うのよ!良いじゃん、別にこの穢れぐらいで死にゃあしないわ!」
ふんと鼻息荒く抗議して、私は踵を返した。私を止める声がする。けれど、神聖な泉へと向かう足は止めない。止められない。止めてやるもんですか。ほとんど意地のようなものだった。此処で、やっと私は存分に自分の力を使えるのだ。異物を抜き取るのは朝飯前。
父から受け継いだチカラを、父の生まれた世界に見せつけることが出来る。
「ねぇ、時雨。見てて。私、父さんのチカラを存分に使うから。母さんのチカラをこの世界で使うから」
時雨が一番愛してくれたのだ。父のチカラを。母のチカラを。だから、見てて。やってやる。この世界に、私の存在を知らしめてやる。神なんざどうだって良い。世界だ。創造神キャナリアが創り残した世界よ、見ていろ。
世界を創り愛した世界を、異世界から来た魔術師――異物が守ってやるよ。
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