ルーチェ
32.「よく考え直せ、それは違う!」
「出来ない訳ないわ!いや、そうじゃなくて!!どうやったら、その結論に行き着いたのか知りたいの」
〈簡単なこと。その魂の繋がりがある故に〉
夜鷹姫の声が淡々と告げられる。
魂の繋がり。それはきっと前世のこと。
「いや、でもね…!?」
〈ルーチェはエノクの民で最も魔力に対して柔軟性がある。問題はない〉
相性も良いだろうと飛鷹。コイツ等、他人事だと思ってるようだけど!!一応、こっちは立場の問題があるんだよね!?
「どうしたどうしたァ?」
「珍しいですね、飛鷹様がお見えになるなんて」
やっぱりメル兄様とレイ兄様は流石だ。誰よりも先に我に返って、話を進めようとしてくれる。
「それが、陛下の循環を私に手伝えと」
「循環を?確かに、ルゥは適していると思いますが…」
「お前、循環の補助つったらセックスになるんだぞ?いくら、飛鷹王がそんなこと言ったとしても、なァ?」
恥じらいもなく言うメル兄様、素敵です。今、このタイミングでそんなこと言ってほしくなかったけど!ほら、第三皇子と海燕殿が私に斬りかかろうとしてるじゃんか!!
「閨事っつうか、うん、情交?」
「言い換えても無駄ですよ、メル」
「誰がそんなことしますか!それこそ不敬罪で打ち首じゃねぇか!!」
「コラ、言葉が汚いですよ。それに、我等の前に法など無意味ですから不敬も何もありませんよ」
「そうだけど、そうだけど!そうだとしても、彼らの気は収まらないからね?!」
No.1とNo.2がこんな調子で良いんだろうか?良くない気がするけど、他の怪物たちは話について来れていない。寧ろ、諦めの境地に達している顔だ。そうしているうちに、母上と父上が席に立った。話を聞くだけ無駄だと思ったんだろう。北の国に戻って、王子を説得してくるらしい。
まぁ、親としても娘の生々しい話なんぞ聞きたくないだろう。例え、私を生んで置いて行ったとしても。
「カイル!」
「何ですか、翔陽様」
「もう何なの、コイツ等!」
「我がエノクの化け物の三本柱ですが?」
「そうじゃなくて!どれだけ、陛下を侮辱すれば気が済むの!?」
「まぁ、翔陽様。それは違いますわ」
「アル!!でも、さっきから聞いてれば…!」
「確かに、侮辱だと思われるのでしょうけど、彼等なりの本心…ではなくて、本気で心配してますのよ。閨事などしなくとも、魔力に関してエノクきっての柔軟性を持つルー姉様なら大丈夫です」
アマルティア様…!!さっきは反抗期丸出しの子供みたいだったのに!すぐに隠してしまうなんて、私は何て事をしたんだろう!!子供の成長の妨げを私はしてしまったのか…!
「アル、だけどね?敬愛なる我等が陛下に対して、不敬を払われるのは僕たちからしても気分が悪いんだ」
「翔陽様も、お隣の方も、陛下が大好きなのは分かります。けれど、流石に此処まで濃厚な魔力を溢れさせ続ける陛下のお身体が、私たちも心配なのです。どうぞ、そのお心をお鎮め下さい」
そうさ、陛下の周りに凄い濃厚な魔力が溢れてるんだよ!陛下自身の魔力なんだけど、凄いねばっこくて、上限も下限も関係ないぐらい溢れ続けている。
 「…っ、いっそ首でも斬り落とす?」
「そこから一歩踏み出すと、このアマルティアは彩帝国から出て行きますからね」
「は!?」
 「――アマルティア、ルゥの好意を無駄にするなよ」
 「メルキゼデク兄様、大丈夫ですよ。私、これでも翔陽様に愛されていると思っているのですから」
「そうか」
 嬉しそうに笑うメル兄様だけど、私は笑えない。めっちゃ笑えない。そんなことされちゃ、国王と王妃に顔向けできないから。
「ルーチェ」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
悪役令嬢令嬢に転生?そんなもの知ったこっちゃないね!
-
4
-
-
《完結》解任された帝国最強の魔術師。奴隷エルフちゃんを救ってスローライフを送ってます。え? 帝国が滅びかけているから戻ってきてくれ? 条件次第では考えてやらんこともない。
-
2
-
-
復讐します
-
4
-
-
バッドエンドは全力でぶち壊す!
-
6
-
-
リアル乙女ゲームは、悪役さえも付いていない、ただの令嬢だった。~40オーバーおばさんの乙女ゲーム初デビュー~
-
1
-
-
鈴蘭には毒がある-見た目に騙されてはいけません-
-
5
-
-
パーティに見捨てられた罠師、地龍の少女を保護して小迷宮の守護者となる~ゼロから始める迷宮運営、迷宮核争奪戦~
-
5
-
-
婚約破棄された男爵令嬢〜盤上のラブゲーム
-
1
-
-
冷遇タンク 〜魔王軍に超高待遇でヘッドハンティングされた〜
-
1
-
-
異能力に目覚めた俺は変態でした。
-
2
-
-
100年生きられなきゃ異世界やり直し~俺の異世界生活はラノベみたいにはならないけど、それなりにスローライフを楽しんでいます~
-
4
-
-
日常のち冒険~俺は世界を超えて幼馴染を救う~
-
4
-
-
世界の真実を知るためには生贄が必要と言われ、問答無用で殺された俺と聖女 〜実はこっちが真の道!? 荷物運びと馬鹿にされた【空間魔法】で真の最強へ至る〜
-
1
-
-
最強聖女は追放されたので冒険者になります。なおパーティーメンバーは全員同じような境遇の各国の元最強聖女となった模様。
-
4
-
-
【ジョブチェンジ】のやり方を、《無職》の俺だけが知っている
-
2
-
-
異世界クロスロード ゆっくり強く、逞しく
-
7
-
-
居候人は冒険者で店員さん
-
1
-
-
【連載版】唯一無二の最強テイマー 〜最強の種族をテイム出来るのは俺だけです。俺の力を認めず【門前払い】したのはそっちでしょう。俺を認めてくれる人の所で過ごすつもりなので、戻るつもりはありません〜
-
1
-
-
銀の魔眼は楽園を夢見る
-
1
-
-
ある化学者(ケミスト)転生〜無能錬金術師と罵られ、辞めろと言うから辞めたのに、今更戻れはもう遅い。記憶を駆使した錬成品は、規格外の良品です〜
-
4
-
コメント