ルーチェ

千絢

06.「カッコイイな、お前って」

〈強く生きろ、真夜〉








 「投げやりなフォローだな、オイ」








〈お前が思うままに受け取れば良いさ〉










クソ、飛鷹のくせにカッコイイな。








〈そら、もう昼前になろうかとしているぞ。早く城に上がってしまえ。そして、楽になれ〉








「さっさと荷を下ろして、楽になるよ」










飛鷹が大空に飛び上がり、私はアマルティア様を抱えて立ち上がる。此処暫くで、結構腕力が着いたと思う。本当に。








14歳の美少女と言えど、眠っているから普段よりも重たいんだよ。美女が軽いなんて誰が言ったんだ。










少し体力が回復したらしい馬に騎乗して、アマルティア様を落とさない様に体勢を整えて手綱を掴む。










目指すは王都。








飛鷹も空から着いて来てくれるらしいし、もう文句言わないわ。飛鷹が居れば心強い。そんな安心感があった。








「さ、行きますか」






亡命5日目の昼、私たちは彩帝国の王都に入った。無事に入国、というわけではないが入国ということで。さっさと登城するぞ。








 「ルーチェ!!アマルティア様!!」








オールバックにして固めた黒髪、意志の強い群青色の瞳を持ったガタイの良い男が、城門の前で突っ立っていたかと思うと、私たちに気付いて一目散に突っ走ってきた。








あ、そうか。自分で、通達を飛ばしていたんだった。彼が自分で導き出した答えに、私は不謹慎ながらも嬉しくなった。








この人が、言わずもがな彩帝国で自らの力だけで騎士団長へとのし上がった雨の怪物、ガーゴイルの名を持つカイル兄上である。








「よくぞ無事だった!」






「カイル兄上…」








「翔陽様たちには一応話を通してあるが、お前の口から真実を聞きたい。疲れていると思うが、語ってくれるか?」








「もちろんです。というか、まずはアマルティア様を」








「あぁ、そうだな」








馬から降りて、カイル兄上が門番に私の馬を預ける。良いのだろうか、門番に馬を預けても。不思議に思いながらも、私はアマルティア様を抱き直して門をくぐった。









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